2025年度活動収支報告

特定非営利活動法人ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク(以後J-Winと記載)は、以下の目的に沿って活動を行っています。

  • 業種や専門分野を超えて相互研鑽の機会を提供し、女性リーダー育成を支援する
  • 企業の「経営戦略」である、ダイバーシティ&インクルージョンの促進を支援する
  • 日本社会へのダイバーシティ&インクルージョンの浸透、理解促進をめざした活動を行う

【総括】

NPO法人J-Winは、2025年度をもちまして設立18年目を迎えました。会員企業89社、グループ企業を含む活動参加企業193社から、総勢1,000名を超えるメンバーの皆様にご参加いただきました。

J-Winは、女性リーダー育成を支援する「女性三層ネットワーク」、企業変革を支援する「D&I推進三層システム」、そして推進状況を数値化・見える化する「D&Iアセスメント」を活動の核に据えています。今年度はこれらの相互連携をさらに深めるとともに、他団体との新たな共創機会の創出にも注力してまいりました。

変革のスピードを加速させるため、今年度は「J-Winパーパス・ミッション」を軸に活動プログラムを抜本的に再構築しました。時代に即したプログラムへの挑戦も恐れず、一過性の取り組みに終わらない「仕組みとして成果の出る活動」と、企業の持続的成長に不可欠な「経営戦略としてのD&I」の実装を、今後も強力に推進・支援してまいります。

また、活動の基盤となるガバナンス面におきましても、情報管理体制の強化を行いました。「個人情報保護に関する基本方針」の策定・公開をはじめ、関連規程の整備や物理的セキュリティの強化を実施し、メンバーの皆様がより安全に、安心して深くコミットできる環境を整えております。

【女性リーダー育成支援事業】

J-Winの女性リーダー育成に向けた女性ネットワーク活動は、管理職一歩手前を対象とした「High Potentialネットワーク」、部長層・課長層を中心とした「Next Stageネットワーク」、執行役員以上が集まる「Executiveネットワーク」の三層から成り立っています。
2025年度においては、三層共通の活動指針として「自分を/企業を/社会を変えるためのチャレンジ・ラボ」を掲げ、業界・業種の枠を越えて様々な活動に取り組みました。
特に三層が連携した活動は、企業経営の中枢を担う執行役員から管理職に上がる前の若手まで、職位も年齢も幅広い女性たちが越境型ネットワークを形成することができるJ-Winならではの取り組みとなっており、三層連携プログラムの拡大と深化を目指しました。
まず、三層メンタリングプログラムでは、ExecutiveネットワークメンバーとNext Stageネットワークメンバーがメンター・メンティとなる「JEN/Nextメンタリング」が5年目を迎え、24組が半年間にわたってメンタリングを行うとともに、2025年度にはあらたにNext StageネットワークメンバーがメンターとなってHigh Potentialネットワークメンバーにアドバイスする取り組みを28組からスタートさせました。
また、Executiveネットワークメンバーは次世代にとってのロールモデルとして、High Potentialネットワークのキックオフや半日定例会の講師として講演を行う一方で、Next Stageネットワーク定例会でもパネルディスカッションを通して自らの経験と知見を伝えるなど、三層を通じたGive Back活動に取り組みました。
さらに、2025年度の新規企画として、日本最大のIT・テクノロジー総合展示会である「CEATEC2025」において、三層メンバーが一緒になって最新の技術を実地見学する「三層合同CEATEC視察会」を開催し、合計81名が参加しました。加えてCEATEC運営事務局からの要請を受けて、幕張メッセコンベンションホールで「多様性が生み出す変革」をテーマにしたパネルディスカッションをJ-Win主催で実施し、300名弱の経営者や技術者に向けてD&Iの重要性を訴え、「チャレンジ・ラボ」を実践する機会となりました。

1) 第15期High Potentialメンバー活動(2025年度メンバー数 229名)

2025年度 第15期メンバーは「挑戦と経験」をスローガンに「キャリアアップ意識の確立/リーダーシップの醸成/課題設定能力の獲得/ネットワークの構築」を目指して一年間の活動を行いました。一年間限定のHigh Potentialネットワークでは、活動を自分事として捉えられるよう「一人一役」をメンバーに選んでもらい、幹事会・実行委員会・分科会オフィサーズなどJ-Winにおける自らの役割を明確化したうえで各プログラムの企画・運営に取り組みました。
定例会などの実行委員会活動では、メンバー自らが何を目的にどんな成果を目指すのかを考え、プログラムの進行を組み立て、具体的にはオンライン海外研修において、実行委員会メンバーの発案でアートづくりを協働するワークショップを導入することができました。
分科会活動では、15名による15のチームに分かれて、CEOやCOOなど中心的役割を担うオフィサーズがプロジェクトマネジメントを行いながら企業や社会にインパクトを与えられる提言の策定に取り組みました。2月に開催した分科会発表会で15の分科会が研究成果を発表し合い、リーダーシップとチームビルディングを学ぶ1年間となりました。

2)Next Stage メンバー活動(2025 年度メンバー数 248 名)

Next Stage ネットワークは、「超える。共に。」をスローガンとして「“経営の実践者”を目指し相互研鑽の中で自分の境界線を越える」というビジョンのもと、「カッツ理論」と「ラーニングピラミッド」に基づき大幅にプログラム構成の改革に取り組みました。
まず、Next Stage ネットワーク活動に複数年参加することを前提として、全プログラムに参加できる「フルコース」と毎月の定例会など最低限の参加にとどめる「ライトコース」を選択できるように変更しました。
また、新規プログラムとしては、研究会活動を発展させたラーニングサークルを立ち上げ、NextStage ネットワークメンバーが自らの意思で同じ志を持つ仲間とともに学び合い高め合うサークル活動が開始されました。中でも「未来を探索する会」は部長職のみに参加者を絞ったことで、自社では相談できない悩みやマネジメント事例を共有し部長職同士が越境交流する場となりました。さらに、クロス1on1 では、メンバーが自分のキャリアを開示し合い、アドバイスを受けたい相手を選んでフリートークができる仕組みを作りました。
そして上級管理職に必要なコンセプチャルスキルを磨くことを目的とした「経営シナリオ・ワークショップ」を開催し、少人数でケーススタディに基づく発表や討議を行うシミュレーション研修を通じて、多くの参加者が「自己認識・自己受容・自己研鑽」の気づきを得る場となりました。

3)Executiveネットワーク活動(2025年度メンバー数 76名)

Executiveネットワークは「日本を代表する企業のExecutiveとして、経営戦略としての女性活躍推進を牽引し、企業および日本の更なる発展に寄与する」「日本最大級の女性役員コミュニティであるExecutiveネットワークの価値を最大限活用し、活動・連携を通して社会にインパクトを与える」という目標を前年から継続して掲げて活動を行いました。2025年度は特に「Social Impact」に力点を置き、国内外の様々な団体とのコラボレーションを進めることで、J-WinおよびExecutiveネットワークの認知度向上を図りました。
J-Winの中においては、企業支援部と連携して男性ネットワークに参加する中間管理職の男性メンバーと意見を交換し、女性の視点からの経営課題を共有すると同時に、会員企業の要望に応じてExecutiveネットワークメンバーを派遣して若手女性社員とのラウンドテーブルを行う出張講座を実施しました。
また、外部団体との関わりでは、各国大使館からの要望に積極的に対応し、外交官や各国ビジネスパーソンとのネットワークを広げるとともに、大学と連携してこれから社会に出る学生を対象としたオリジナル講座を開講するなど、Executiveネットワークの価値づくりを深化する1年となりました。

【企業支援事業】

企業支援事業として、「CEO会議/実行リーダーの会」、「企業責任者会議」、「男性ネットワーク」、「D&I推進者会議」、「D&Iアセスメント/2026 J-Winダイバーシティ・アワード」の各プログラムを実施しました。特に2025年度は「連携と対話」を重点施策とし、「J-Win各プログラムの連携」、「会員企業の皆様同士のネットワーク連携」、「会員企業の皆様とJ-Winとの対話の機会」を重視し活動を行いました。

1)CEO会議/実行リーダーの会(20社)

CEO会議、実行リーダーの会は20社に参加いただき、それぞれ3回開催しました。2025年度は、CEO会議参加企業の枠組みで、コラボ企画を行いました。CEO会議では、CEOと各社の女性部長の意見交換を、実行リーダーの会では、実行リーダーと各社の女性管理職候補者のクロスメンタリングを実施しました。また、1 月CEO 会議では、前年からスタートしたCEO と実行リーダーが一同に会し、異なる企業のCEO と実行リーダーがグループディスカッションを行う場を設けました。

2)企業責任者会議(約80 名)

経営トップとD&I 推進実務者をつなぐ”要”の方として、「J-Win 活動の理解を深め、D&I 推進の一助としていただくこと」を目的として発足した企業責任者会議は4 年目を迎えました。J-Win ダイバーシティ・アワード受賞企業や企業責任者による自社の取組紹介、D&I 推進者による活動報告、J-Win の様々な活動・プログラムのご紹介に加え、企業責任者同士の情報交換を実施しました。

3)男性ネットワーク(98 名)

男性ネットワークは9 年目を迎え、メンバー98 名で活動を行いました。定例会では 有識者の講演、Executive ネットワークメンバーやD&I 推進者、男性ネットワークOB とのラウンドテーブルや講話を行い、D&I 推進についての意見交換を行いました。分科会は、11 チームそれぞれのテーマで、様々なアンケートやヒアリングなどを行い、チェンジエージェントとしての意識醸成を図りました。3 月には企業責任者やD&I 推進者、Executive ネットワークメンバーに向けて活動報告会を行いました。最後に各自がチェンジエージェント行動宣言をまとめました。

4)D&I推進者会議(約300名)

会員企業のD&I 推進に関わる方々の「知る機会、気づく機会、知り合う機会」として、定例会と2つの研究会活動を行いました。全6 回の定例会では、有識者講演(2 回)、ダイバーシティ・アワード授賞企業の取組紹介、2つの研究会の活動報告などを行いました。2 つの研究会の内、事例研究会では26 名のメンバーが参加し、3 つのテーマで各社の取組を共有し成果物をまとめました。D&I 推進 A to Z 研究会では、着任2 年目未満の方を中心にご参加いただき、D&I 推進の基礎からメンバー同士で学び合いました。両研究会とも取組を共有し学ぶだけでなく、メンバー同士の関係構築にも役立つ活動となりました。

5)D&Iアセスメント/「2026 J-Win ダイバーシティ・アワード」

19回目となる「2026 J-Winダイバーシティ・アワード」を、内閣府、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、経済同友会のご後援をいただき実施しました。会員企業、非会員企業の合計49社からご応募いただきました。企業賞として、「アドバンス部門 大賞・準大賞」、「ベーシック部門大賞・準大賞」の合計4社、個人賞として、「経営者アワード」1名、「リーダー・アワード」3名を表彰しました。授賞企業・授賞者ならびに授賞理由などはNPO法人J-Winホームページでも公表しています。応募企業にはアセスメントレポートを提供し個別に説明会を実施しました。

【広報・渉外事業】

広報・渉外事業は会員企業を始め、広く社会に対し、NPO法人J-Win(ジェイ・ウイン)の認知拡大とともに、ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)の理解促進に向けた情報発信の強化に努めています。女性リーダー育成支援の女性3層ネットワークと企業支援のD&I推進3層システムでの定例会活動報告、さらには1年間の活動報告を行う拡大会議やJ-Winダイバーシティ・アワード表彰式などのイベント開催、他団体とのコラボ企画などでは、J-Winホームページへの掲載、Facebookへの投稿など、オウンドメディアを活用した積極的な情報発信を行っています。

広報誌「J-Winレポート」の巻頭企画として連載していた「トップインタビュー」をJ-Winホームページに動画映像、記事原稿として掲載し、新たな公開の場としています。トップインタビューのインタビュアーは横尾敬介理事長が務め、2025年度は、会員企業の経営者でありCEO会議メンバーから、第一生命保険株式会社の隅野俊亮社長、株式会社リコーの大山晃社長、アズビル株式会社の山本清博社長、NTTテクノクロス株式会社の岡敦子社長にご登場いただきました。

この「トップインタビュー」に続き、2025年度からは、男性ネットワークの卒業生たちが企業に戻り、チェンジエージェントとして企業変革に貢献する「チェンジエージェントに訊く」がスタートしています。D&I推進、女性活躍がなぜ必要かを自分の言葉で語り、仲間を増やし、大きなうねりへと結び付けていく活動をホームページに記事掲載しています。

ホームページでは女性リーダー育成支援、企業支援に加え「トピックス」ページを増設し、J-Win NEWSとして内閣府 男女共同参画局との「オールド・ボーイズ・ネットワーク」に関する啓発活動や人事院女性管理職養成コース研修での「J-Winセッション」、外国大使館とのイベント開催、女性ネットワーク三層合同 CEATEC2025視察会などを紹介。J-Winでの活動に留まらず、広く外部団体との交流に関しても積極的な情報発信に取り組んでいます。これらの活動を通じて、J-Winは社会全体への意識啓発とネットワークの拡大を図り、多様な立場の人々と協働しながら、女性リーダーの育成とダイバーシティ経営の推進に貢献しています。

PR活動の強化として、記者、編集者といったメディア関係者とのリレーション強化を目的に、「J-Winメディア懇談会」を開催しています。毎回、D&I推進に関するテーマを設定し、J-Winとの情報共有、意見交換の場としています。
結果、メディア掲載はWebメディアを中心に年間67件の露出、掲載となりました。3月13日に行ったJ-Winダイバーシティ・アワード表彰式では、授賞企業各社の広報との連携強化が奏功し、37件の新聞、Webメディアに取り上げられています。

J-Winのプログラム、活動内容を伝えるツールとして「J-Winご案内パンフレット(日本語・英語)」「J-Win活動プログラムのご案内リーフレット」を作成しました。J-Winの価値を理解いただくとともに、新規会員企業の獲得に向けた渉外活動やグローバル活動など、様々な場面で活用できるように年度ごとの更新作業を行っています。

【拡大会議】

2025 年度活動の総括の場である拡大会議は、2026 年3 月13 日に会場とZoom ウェビナーによるオンライン配信のハイブリッド形式で行いました。会場を大手町の日経ホールに移し、初めての劇場型ホールでの開催となった今回の拡大会議では、これまで報告が中心だった内容を大幅に見直し、J-Win 活動に参加するメンバーが自らステージに上がって生の声を伝える場となりました。女性三層ネットワークの発表パートでは、三層幹事長によるトークセッションと三層連携パネルディスカッションを通じて、女性活躍を次のステップに進めるための意見交換を行いました。また、D&I 推進三層システムのパートでは男性ネットワークメンバーが自らの意識改革の経緯についてパネルトークを実施し、J-Win ダイバーシティ・アワード表彰式ではアドバンス部門の大賞を受賞したアフラック生命保険株式会社様よりD&I 推進の具体的取り組みをご紹介いただきました。当日は、会場288 名、オンライン304 名、合計592 名の方々にご参加いただき盛会となりました。

■活動・収支報告、貸借対照表

2025年度の収入は、会員企業からの年会費が136,500千円、Executive、Next Stage、女性経営者育成塾等のネットワーク事業への参加会費が26,776千円、男性ネットワーク、CEO会議等の企業支援事業への参加会費が11,658千円、その他の収入が662千円で収入の合計は約175,596千円でした。
一方、ネットワーク事業として58,297千円、企業支援事業として33,475千円、広報として14,496千円、拡大会議として3,609千円、計109,877千円の支出となりました。
これら事業を進めるために管理費として、役員・管理部門人件費、IT関連費、家賃・光熱費、その他法人運営費等、54,169千円を支出しました。結果、2025年度経常増減額は、11,550千円の黒字となり、次期繰越正味財産額は222,705千円となりました。