J-Winダイバーシティ・アワード
2024年09月11日
「2024 J-Winダイバーシティ・アワード」特集
2024 J-Winダイバーシティ・アワードで企業賞を受賞された4社より、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の優れた取り組みや女性活躍推進などについてご寄稿いただきました。
以下に紹介いたします。
「2024 J-Win ダイバーシティ・アワード」受賞企業4社の取り組み紹介
企業賞 アドバンス部門
企業賞 ベーシック部門
企業賞【アドバンス部門】 大賞
大日本印刷株式会社
女性経営リーダー育成の課題と展望 ~203030達成を目指して~
大日本印刷株式会社
ダイバーシティ&インクルージョン推進室 室長 根本和子 様
<多様な個を活かすD&Iの中期ビジョン>
DNPグループでは「人的資本ポリシー」に基づき、多様な個を活かすD&I推進を中期経営計画の重要課題として取り組んでいます。D&I推進の中期ビジョンは「インクルージョンがあたりまえになっている」状態の実現です。どのようにインクルージョンがあたりまえにある状態にしていくのかを、以下(図1)で表し、各組織でこの「インクルージョンループ」を循環させるための各施策を実施しながら浸透を図っています。
(図1)インクルージョンループのイメージ
<意思決定における多様性、女性役員比率203030 30%達成に向けて>
政府より女性版骨太の方針が示されたことをきっかけに、意思決定における多様性の確保、上級管理職の女性比率向上に向けての機運が高まるなか、DNPでは社長が全社員に向けて、部長クラス以上の女性人数の増加を加速させることを発信しました。特に仕事を通じた経験機会を提供することを課題として、①所属部門による更なる育成機会の提供②スポンサーシッププログラム※③異部門ローテーションを上げ取り組んでいます。
※2021年度より開始した「スポンサーシッププログラム」については、2024年度より全役員が育成に関与することとし、女性対象者の所属部門の役員がスポンサーとなり、登用までの育成計画を描き、その責任役割を果たしていきます。また、女性対象者のいない部門の役員はメンターとして、プログラムに参加することで、今後の自組織の女性育成に対しての意識を高め、プログラムに参加する女性育成に関わっていきます。2021年度受講者の90%、2022年度受講者の80%が職位をあげる成果につながっています。
また、上級管理職への継続した女性登用に向けた母集団を作るため、リーダークラスのパイプライン拡大を目的とした「実践型リーダーシップ研修」を実施しています。キャリアビジョンを早い段階で持ち、ライフイベント後にも自信をもって職場に復帰し、リーダーシップを発揮することで、マネジメントへの興味を促す研修となっています。2023年度からは、対象をグループ会社にも拡げて実施しています。約半年間に渡り研修でのインプットと職場でのアウトプット、実践を繰り返すもので、職場の上司もその支援を通じて対象者との対話の機会を増やす仕組みとなっています。上司に加え、所属とは異なる部門の本部長クラスであるD&I推進リーダーが、職場実践におけるアドバイザーとして参画します。アドバイスをするだけではなく、女性の意識やポテンシャルを知り、D&I推進リーダーとして自職場でのD&I活動にも活かしていくといったマネジメントの意識改革にもつなげています。
目標達成に向けては、“関係する社員は全社員である”として、2023年度11月より、社長、役員、グループ会社社長をはじめとし、階層別に全社員に向けて「アンコンシャス・バイアス研修」を開始しています。自分の中にある無意識の思い込みによる決めつけをなくし、自分の意見を正直に出せる心理的安全性のある対話が進む組織風土づくりを行って参ります。
<職場の実態調査の実施>
2024年4月には、職場の実態調査を実施しました。「昇進や等級の公平性」に関する調査結果では、 昇進が公平だと感じる割合は男女ともに同じであるが、男性は女性に比べ女性優遇だと感じる割合が多い。「管理職に関する認識の違い」では、女性は男性に比べ、管理職になると働き方の自由度が下がると感じる社員が多く、管理職は家族やプライベートを犠牲にしていると感じる割合が多い。管理職のやりがいについては、男女ともに職位が上がるにつれて高まっている結果データなどが出ており、調査から見えた職場の実態については問題の本質を探るとともに、課題解決にむけ、新たに施策を検討し、今後進めていきます。
企業賞【アドバンス部門】 準大賞
株式会社みずほフィナンシャルグループ
人多様性を力にするDEI※の推進
みずほフィナンシャルグループ
人材・組織開発部 ダイバーシティ・インクルージョン推進室長 柳川佳代 様
日々変化するビジネスニーズに応え、イノベーションを創出し続けるためには、一人ひとりの人材力の強化に加え、あらゆる多様性を尊重し、日々の業務推進や意思決定においてDEIを推進していくことが不可欠です。〈みずほ〉では、DEIコミットメント(3つの約束)として「多様性を力に」「自分らしく働き人生を豊かに」「認め合い高め合うカルチャー」を掲げDEIを推進しています。
※ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン
▶〈みずほ〉のDEI推進のロードマップ
新たな人事の枠組み〈かなで〉
〈みずほ〉は、新たな企業理念のもと、価値創造の源泉である人材を持続的に強化していくため、グループ主要5社共通の新たな人事の枠組み〈かなで〉へ移行しました。〈かなで〉という名前には、これからの〈みずほ〉を社員と会社が「ともに創り、ともに奏でる」という思いが込められています。
〈かなで〉においては、一人ひとりの「自分らしさ」を起点とした社員ナラティブ(物語)を重視しています。社員が強みや持ち味を発揮し、心身ともに活力に満ち、成長に喜びを感じ、〈みずほ〉で働く意義を実感できるように、一人ひとりに向き合っていきます。社員の「働きがい」を高め、「働きやすさ」を感じられるよう、「挑戦を支える」「貢献が報われる」「働きやすさを感じる」の3つの取り組みを行っていきます。その具体的な取り組みの一つが女性活躍推進です。
女性社員に対するキャリア形成支援
女性が仕事とプライベートの調和を図りながら100%の能力を発揮して「やりがい」や「誇り」を感じながら活躍していくためには、ライフステージを踏まえた女性特有の課題へのきめ細かい対応が必要です。
〈みずほ〉では、2016年度より、キャリアステージごとに異なる課題に対応するため、女性社員へのキャリア形成支援策「女性向けキャリアサポートプログラム」を実施しています。
▶ 女性向けキャリアサポートプログラムの個別内容(一部抜粋)
■ 部長相当職
「社内メンターによるメンタリング」
組織を牽引する立場にある女性社員の、自らの資質特性に基づくキャリアイメージの明確化や、めざすリーダー像と現状のギャップおよび課題に対するマネージャーとの認識共有、新たな業務アサインメントの付与等を通じリーダーシップ発揮・向上の機会を提供。また、役員自らがメンターとして主体的に関わることで女性活躍推進の理解を深め、組織を牽引する女性社員の育成に貢献しています。
「女性新任部店長研修」
新任部店長を対象に、研修や経営リーダーとの座談会を通じて、組織のトップとして自らの意思で物事を決定し実行していくための「自信」、および、リーダーシップを発揮して活躍し続ける「覚悟」を醸成しています。
■ 課長相当職
「リーダーシップ強化研修」
女性社員を対象に女性リーダーが直面しがちだといわれている様々な問題に着目し、女性がキャリアを築いていくために必要な行動様式の土台となる考え方を学ぶ機会を提供しています。
互いを認めあい高めあい、自分らしさを感じることができる組織の実現
〈豊かな実り〉を実現するためには、意思決定層における多様性確保に加え、社員一人ひとりが自分らしく活躍できる環境を整備し、互いを認め合い高め合うことが必要です。〈みずほ〉では、“誰もが働きやすい職場、自律的に成長できる職場”をめざし、人と人のつながりを通じた自発的な挑戦を後押しするネットワークであるERG(Employee Resource Group: 社員の自発的なグループ活動) のほか、M-DIM(Mizuho Diversity, Equity & Inclusion Month:社員参加型DEI推進月間)やアルムナイネットワーク等、多様な活動が様々な場所・機会で活発に行われています。
今後も 〈みずほ〉では、DEI推進を加速させ、社員一人ひとりが自分らしく輝く組織となることで、〈みずほ〉に関わるすべての人や社会に新たな価値を生み出せるよう、取り組んで参ります。
企業賞【ベーシック部門】 ベーシックアチーブメント準大賞
株式会社ブリヂストン
「ブリヂストンの多様な人財が“輝く”ためのDE&I推進」
株式会社ブリヂストン
HRXカルチャーチェンジ・DE&I推進部 部長 本間涼 様
ブリヂストングループには、1931年の創業から、1988年の米国ファイアストン社の買収などを経て、様々な人財を受け入れ、グローバルで多様性を育んできた歴史があります。変化が常態化する時代において、社会やお客様の困りごとに寄り添い、解決することを目指す中、今後の当社グループの成長に向けては、多様性がますます重要になると考えています。事業戦略と連動した付加価値創造により、企業価値向上を図ると共に、個人の成功・自信の波及を通じて、多様な人財が輝ける様になることを人財戦略の軸にしており、DE&Iを人的創造性向上、新たなDNA創造と共に「基盤」として、様々な取り組みを加速させています。
日本においては、当社グループの海外拠点と比べ女性活躍推進等のDE&I領域でギャップがあるとの認識の下、その解消に向け、カルチャーチェンジと連動してDE&Iを推進すべく、様々な取り組みを実施しています。また、2021年からはJ-win アワードにも参画開始し、評価項目となっている8つの取組領域(①経営トップのコミットメント、②DE&I推進実行体制、③管理職のアカウンタビリティ、④女性の育成、⑤女性の意識改革、⑥働き方の変革、⑦業務プロセス・評価プロセスの見える化、⑧組織風土の変革・男性の意識改革)の観点も踏まえ、当社課題の切り出しを行ない、以下ご紹介する打ち手にもつなげています。
■ ライン長のダイバーシティマネジメント意識と行動強化
2022年よりライン長(管理層)全員を対象に、DE&Iの本質理解と推進への共感・行動を促進する「DE&Iマネジメントワークショップ」を開催、2023年からは階層別研修に織り込み、新任ライン長向け同ワークショップを実施し、組織のチーム力を高めるためのDE&Iマネジメントの促進を図っています。
■ 男女問わないDE&I意識の醸成(誰もが働きやすい環境づくり)
女性特有の健康課題をテクノロジー活用により解決するフェムテックプログラムを2023年に全社導入し、女性従業員向けの個別改善支援プログラムと共に、女性だけでなく当社で働く全従業員が女性特有の健康課題に対して正しい知識を理解・習得することを推進するため、全従業員を対象とした「女性のカラダを理解するセミナー」もオンラインで開催しています。女性は、各ライフステージにおいて女性ホルモンの影響により女性特有の様々な健康課題に直面することがあり、パフォーマンスやキャリア形成の阻害要因のひとつとして影響している可能性があると言われていますが、当社はこれらの取り組みを通じて、従業員一人ひとりが輝ける職場環境の整備を進めています。
■ 女性活躍推進に向けた取り組みのひとつとしての役員メンター制度
当社では、女性の採用強化、育児との両立支援等の様々なライフステージに応じて女性が自分らしく働き続けるための定着・活躍支援に加え、基幹職への登用促進にも注力し取り組んでいます。具体的な目標として、当社における女性基幹職比率※1を2025年までに7.5%にすることを掲げ、役員メンター制度をはじめとした各種取り組みを進めています(2023年12月時点実績:4.3%)。
当社は、女性基幹職登用促進プログラムの一つとして、女性社員の意識改革、ポテンシャルある人財の能力開発を目的に、役員がメンターとなり女性基幹職候補者のキャリア支援を行う役員メンター制度を2021年から導入しています。また、社内の女性基幹職による候補者とのメンタリング機会や候補者同士の横のつながりを強化するネットワーキング等、プログラムの拡充も併せて図っています。当制度にはこれまで3年間で54名が参加し、2024年1月までに半数以上が登用されています。
※1当社の女性基幹職比率の目標及び実績には、当社所属の他社/他地域への出向者を含んでいます。
上記の通り、当社は、「多様な人財が輝く」を軸とした人財戦略の推進に向けて、DE&I推進の取り組みを進めていますが、今後もPDCAをしっかり回しながら、引き続き取り組み強化していきます。
企業賞【ベーシック部門】 ベーシックアチーブメント大賞
古河電気工業株式会社
古河電気工業株式会社のダイバーシティ&インクルージョン、女性活躍推進の取り組みについては原稿内容が確定次第、J-Winホームページに追加掲載させていただきます。今しばらくお待ちいただけますようお願い申し上げます。