High Potentialネットワーク
開催日:2023年08月08日
「J-Win 第13期 High Potential ネットワーク 8月度定例会」を開催しました
8月8日(火)、第13期 High Potential ネットワーク 8月度定例会は、会場(機械振興会館)とオンラインによるハイブリッドスタイルでの開催となりました。
8月度の定例会は、第30代日本銀行総裁、青山学院大学特別招聘教授の白川 方明氏をお迎えしご講演いただきました。白川氏にはJ-Win理事もお務め頂いています。
「日本銀行時代を振り返って皆さんに伝えたいこと - 経済観と仕事の哲学」
第30代日本銀行総裁 青山学院大学特別招聘教授 J-Win理事
白川 方明 氏
《ご講演内容》
- 総裁時代の5年間を振り返って
- 1990年代以降の日本の経済議論を振り返って
- 私が大事にしている経済
- 中央銀行の仕事
- 私の仕事の哲学と学びの方法論
- 経済・金融についての情報収集はどうすべきか?
日銀総裁時代というのは、2008年のグローバル危機にはじまり、震災、政治の不安定、日本銀行の金融政策運営に対する様々な批判など「激動の5年間」であった。金融政策を決定する責任の大きさを常に感じていた。
結果が出るのは5年後10年後になるが、世論や市場は短期的な動きに左右されるため、気にしすぎて判断を誤ってはならないことを意識していた。 1990年代以降の日本の成長率の低下については、未曾有のバルブ崩壊による影響、生産年齢人口の激減、グローバル化・情報通信革命に日本経済・社会が対応できていなかった。
日本銀行の目的とは通貨価値の安定であり、そのためには「市場の声に従え」という議論に代表されるような短期指向の落とし穴から逃れる強靭な精神力も必要となる。
企業経営にとっても同様、大切なのは短期的な予測の正確性とではない。経済や社会の先行きの予測は難しいが、大切なことは大きなトレンドや変動について大きく間違った判断をしないこと。そのためには自分なりの経済観を持つことが重要となる。
仕事は常に「プロフェッショナルとして“内なる声”に正直でありたい」と考える。
あらゆる知識を総動員する必要があるため、情報収集を行い学ぶこと。相手の話をよく聞き、自分を疑うことが必要となる。
日頃から理論・現実観察・歴史から学び、常に好奇心を持つこと。心理的安全性のある場を作ることも大切。上から目線で話さない。相手の話をさえぎらない。書くことで自分が何を思考しているか深く考えることの出発点になる。
講演後は質疑応答。目まぐるしく変化する世界経済、低迷する日本経済の動向に関するメンバーからの質問にも、白川氏からは丁寧なご回答をいただきました。
質疑応答後に行われたグループワークでは、講演内容を自分自身や仕事においてどのように活かしていくかを見つけ出し、メンバー同士で意見を交換し、情報の共有を行いました。
経済情勢を知ることの重要性を理解し、白川氏の仕事の哲学からも多くの気づきと学びを得ることができた今回の定例会。High Potential ネットワークメンバーにとっては視座を高くし、知見を広げることの認識をさらに深めることになりました。