High Potentialネットワーク

開催日:2023年01月13日

「High Potential ネットワーク1月度定例会」を開催しました

1月13日(金)、第12期 High Potential ネットワーク1月度定例会が開催され、会場となった日本青年館ホテル(東京)には52名、オンラインには119名の合計171名が参加しました。

定例会の目的

「<視座を高め、知見を広げる>TOPの視座を学ぶ」

目的

  • 会社が成長するということはどういう事で、成長するためには何が必須かを学ぶ。
  • 仕事をしていく上での価値観、倫理観、成功するためにはどのような行動様式をとるべきかを学ぶ。経営者の視座とはどのようなものかを考える。
  • TOPに求められるものを理解し、今 自身が描いている理想のリーダー像との差異を認識し、その差異を埋めるべく理想の姿を更新する。
  • TOPに求められるものを理解し、今 自身が描いている理想のリーダー像との差異を認識し、その差異を埋めるべく理想の姿を更新する。
  • 更新した理想の姿と、現実の自分の姿とのギャップを可視化し、それを埋めるために何を成すべきかを、明確にする。

『TDKと私』 ~私が経験し、学んできたこと
TDK株式会社 取締役会長 石黒 成直 氏

アジェンダ

  1. TDKという会社について
  2. 「TDKと私」 ~私が経験し、学んだこと
  3. 多様性とスピード

TDKという会社について

1935年、齋藤憲三氏によって東京電気化学工業=TDKが設立され、世界で初めてのフェライトの工業化を目指した。創業者 齋藤憲三氏の経営とは農業と工業を共に発展させて豊かな町へという農工一体思想であった。
電子部品事業、磁気テープ、磁気ヘッドと時代のニーズに合わせた挑戦を通じてTDK全社の成長をドライブ。その後も高周波フィルター、二次電池ならびにセンサ・アクチュエーター事業への投資を積極的に推進している。

「TDKと私」 ~私が経験し、学んだこと

1982年に東京電気化学工業株式会社に入社(現TDK株式会社)。
1970年代のTDKは挑戦する文化であった。磁気材料を微粒粉化しバインダーと共にフィルム上に薄層塗布、蒸着した記録媒体への挑戦。このテープ事業の成功により、電子部品の会社からの脱却とともに未知への挑戦とそれを支援する企業風土が生まれた。
1990年代はHDDヘッド事業への挑戦。磁気素材と技術を応用した磁気記録用ヘッドを事業化した。このHDD事業の成功により得たものは、買収した会社を事業のコックピットにすることが出来たこと。このブレークスルーがなければ、現在のTDKの他国籍型経営モデルと経営のスピード感の実現はあり得なかったのではないかと思う。
リーダーとしてのほろ苦い経験についても話しておきたい。
始めてリーダーになったのは1990年にルクセンブルグに赴任した時、33歳であった。部下は全員が外国人。部下に仕事を教える立場にありながら、現地での生産管理の仕事を自分一人で抱え込み、ついには救急車で病院に運ばれる事態となった。部下を信じて、部下を頼って、仕事をしなかった私の間違いであると猛省した。

私の考えるリーダーの役割とは、「変革の連続を実現する」こと。
そして、私の考えるリーダーシップとは

  1. 組織の目的を話す
  2. そこにたどり着く方法を示す
  3. 関係者を説得する
  4. 人をやる気にさせる/励ます
  5. 希望を伝えて成果を共有する
  6. 感謝と不満を明確に示す、であると考えています。

多様性とスピード

私たちが置かれている環境と変化を認識すること。具体的には以下の環境変化への対応です。

  • 国際競争環境の目まぐるしい変化、中国の台頭と米国一強体制の変化。
    1980年から続いてきた「グローバリゼーション(国際水平分業)」時代の終焉を迎えます。
  • デジタル化社会の成立に伴う「情報付加価値」の増大化
    従来は利用できなかった情報がデジタル化で付加価値を生む
  • 社会が企業に求めることの大きな転換~多様化
    3つの経営のバランス ~経済/テクノロジー/サスティナビリティ(社会課題の解決)

講演後は、会場・オンラインで参加するHigh Potentialネットワークメンバーとの質疑応答。
質問に対し、体験された多くの事例をご紹介いただきながら、その時の状況や具体的な対応策、その成果についてなど、わかりやすくお話いただきました。

ワークショップ

講演、質疑応答後はグループに分かれてのワークショップ。石黒氏のご講演での気づきや意識変化についてディスカッションが行われ、改めて今回の定例会でのテーマであった「自身が描いている理想のリーダー像との差異を認識し、その差を埋めるべく理想の姿を更新する」。そして、「更新した理想の姿と、現実の自分の姿とのギャップを可視化し、それを埋めるために何を成すべきかをそれぞれが明確にする」に対して答えを出していきます。

第12期 High Potential ネットワークとしての定例会は今回の開催が最後となりました。
2022年度、年間活動方針は 「私たちは、自分の武器を知り、一段高いステージに踏み込みます。Why So, So What を繰り返すことにより成長し、リーダーとしての価値を高めていきます」です。3月の拡大会議に向けた分科会活動もラストスパートを迎え、メンバー全員が年間活動方針の実現に、手ごたえに近いものを感じ始めているようです。

石黒成直氏のPROFILE
1982年1月  東京電気化学工業株式会社~現TDK株式会社入社
2002年4月  TDK株式会社 レコーディングメディア&ソリューションズビジネスグループ
       欧州営業部 経営企画担当部長
2004年7月  同 ヘッドビジネスグループ HDDヘッドビジネスディビジョン 日本オペレーション
       企画グループ リーダー
2011年4月  同 ヘッドビジネスグループ デピュティゼネラルマネージャー
2012年6月  同 ヘッドビジネスグループ ゼネラルマネージャー
2014年6月  同 執行役員
2015年4月  同 磁気ヘッド&センサビジネスカンパニー CEO
2015年6月  同 常務執行役員
2016年6月  同 代表取締役社長
2022年4月  同 代表取締役会長
2022年6月  TDK株式会社取締役会長(現任)