High Potentialネットワーク

開催日:2022年01月13日

「J-Win 第11期High Potentialネットワーク1月度定例会」を開催しました

「J-Win 第11期High Potentialネットワーク 1月度定例会」を2022年1月13日(木)に開催し、東京、関西、九州のメンバー214名がハイブリッド開催に参加しました。

【テーマ】

  • 『TOPの視座を学ぶ』

【ゴール】

  • TOPとしての責任を理解し、TOPになろうとする覚悟をもつ
  • TOPの魅力を考え、TOPに求められるものを理解する

High Potentialネットワークメンバーは講演前に、目指しているTOPとその責任、求められるものについてそれぞれが考え、グループワークで共有し、TOPの視座を学ぶための講演に備えました。定例会当日は講師をお務め頂いた小柴氏より、講演が一方通行にならないようにと質疑応答の時間を多く設けていただくなど、大変有意義な学びの場となりました。

※以下に講演の様子をダイジェストでご紹介します。

「Day 1: Everyday is a "Day of Beginning」
「世の中で言われているDigital Transformationの本質とは?」Cdots合同会社/JSR株式会社名誉会長 小柴満信

Day 1: Everyday is a "Day of Beginning"について

「DAY1」とは、amazonの創業者であるジェフ・ベゾスが好んで使った言葉。毎日が「はじまりの日」で、自分のキャリアを振り返ってもDay1の積み重ねであったと思う。
学生時代に奨学金でアメリカに留学し、その後、「日本合成ゴム株式会社(現在のJSR)に研究者として入社した。今、JSRのCEOはアメリカ人。企業が変革追求すると自然にDE&Iに向かっていく。JSRの変革は「毎日がDAY1」である。
振り返ると、高校時代の経験が今につながっている。「女性だから」「男性だから」という意識は、当時も今も全くない。入社から8年経った頃、再びアメリカに行く機会がやってきた。半導体製造に使われる材料を欧米で市場開拓するため、ベルギーの会社と一緒に、その子会社をアメリカに作ることになった。
「インクルージョン(多様な人々が、個性を認められながら、一体となって働く)」ということを、特に意識していたわけではないが、多種多様な従業員たちと会社を作っていく中で、自然とDE&Iの世界が作られていったように思う。
2000年に米国の大手企業から誘いを受けた。JSRの年功序列に大きな不満を持っていたし、その企業はよく知った競合企業だったので移籍を考えた。しかし、もしJSRが企業文化を変えて、自分に経営層を任せてくれるならば、その会社よりJSRの方が絶対競争力があると確信していたので残留し、もう一度やってみようと思った。2009年、53歳の時に社長になった。
自分のリーダーシップは、周りに同化しないように個性を大事にすること。アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾスは、「自分だけの個性に価値があると教えられ、自分らしくいるべきだと思う。」と話している。個性を大切にし、自分らしくいるにはエネルギーが必要。それをやり続けてほしい。

 

世の中で言われているDigital Transformationの本質とは?

DX(デジタル変革)というと、現時点では、プログラム言語を使うコーディングが必要だが、おそらくあと3年もすれば、複雑なもの以外は、自然言語処理でコンピューターが自動で書いてくれるようになる。2015年にGoogleのAlphaGoが囲碁のチャンピオンを破った。これらは本当に大きな変化で、AIはこれから非常に大きな力になる。
2年、3年先は、AIの革新により、これまで達成できなかった多くのことができるようになっているかもしれない。そう考えて、いろいろなサービスを作っていくべきであり、スティーブ・ジョブズはそれを実行していた。
何故DXが必要なのかについて、ひとつには、「顧客の行動変容」がある。今の顧客は、店に行くときにはほぼ購入を決めており、あと一押しのために店に行っている。この顧客の行動変容はかなり大きい。企業の側は、顧客に向けて、かなりの情報をバーチャルに、サイバー空間で提供しておかなくてはならない。
DX企業として持つべき特徴は「高度にデジタル化されたオペレーション」「グロース企業としての売上成長率」「OODA(『Observe:観察』『Orient:方向付け』『Decide:判断』『Action:行動』)で表される企業カルチャー」である。
DXのために、オペレーションのデジタル化、人材確保なども重要だが、いちばんポイントとなるのは、企業風土の変革。これはどこの会社でも難しい部分だ。DXとは、IT技術ではなく企業風土の変革である。「先端技術を使って何ができるか?」に意識を向けてほしい。

 

講演の感想 ~参加者アンケートより~

  • 毎日がはじまりの日"という言葉は非常に素敵で、日々成長し勉強し突き進むといった、小柴様の経験談がこの言葉につまっているなと感じました。また、"2割の課題に取り組めば、8割改善する"といった言葉も非常に印象的でした。
  • 常に価値を創造し、新しい挑戦をしていかなければ、企業や組織の目的は衰退していく」というお言葉が最も印象に残りました。所属企業の企業理念の中に「新たな価値の創造」という理念があり、その意味を真に理解することができました。
  • 「個を大切にすること。同化することは死ぬことと同じ」という言葉が印象的でした。小柴様が「個」を大切にされているのは、自己実現を大切にされている、つまり"こういう世界を作りたい"という想い・エネルギーを持ち続けることだと理解しました。その想いやエネルギーを持つためには、ビジネスを客観的に数字で見ること(マクロトレンド含む)や、先端技術の研究、グローバル企業の研究といった知的好奇心を持つことと相互関係があると理解できました。小柴様のお人柄・オーラが素敵で一瞬でファンになりました。
  • 質の高い情報が集まり、見える景色が違うということで、どのような景色が見えるのかとても魅力的に感じた。
  • TOPは自己実現のためになるもの、という言葉を聞いて、やりたいことを明確に持ち、ビジョンや思いを伝えてやり切る力が必要だと理解できた。

【小柴 満信氏のPROFILE】

1955年東京生まれ 千葉大学工学部卒業、同大学院修了

  • 米国ウィスコンシン州立大学大学院材料科学科に留学後、1981年に日本合成ゴム株式会社(現JSR株式会社)入社。東京研究所にて半導体材料(フォトレジスト)の研究開発に従事。
  • 1990年に米国シリコンバレーに赴任。
    モトローラ、IBM、インテルなどの米国顧客、半導体開発組合SEMATECHなどとの関係を構築。
    2002年に帰国後、電子材料事業部長、ファイン事業担当役員を経て2009年に代表取締役社長に就任。
    2019年に代表取締役会長、2021年6月より名誉会長(現職)に就任。
  • 現在は、経済同友会副代表幹事、出光興産株式会社、Aホールディングス株式会社、株式会社TBM、Cambridge Quantum Computingの社外取締役を兼任。