Executiveネットワーク

開催日:2021年11月16日

「J-Win Executiveネットワーク11月度定例会」を行いました

「J-Win Executiveネットワーク11月度定例会」を開催しました。
今回の定例会では青年会館ホテル会議室に16名が参加、オンラインには26名が参加となり、合計で42名のメンバーによるハイブリッド開催となりました。
講師に一般財団法人日本総合研究所 会長、多摩大学 学長 寺島 実郎氏をお招きしてご講演いただきました。メンバーにとってはグローバルな視点を深め、これからの自身のビジネス・行動にいかに繋げていくかを考える機会となりました。

11月度定例会 第一部

第一部では、新メンバーの自己紹介から始まり、『日本の近現代史と憲法研究会』『日本文化 研究会』『これからの日本を考える会(通称:これ日)』の3研究会からは活動報告がありました。
引き続き行われたグローバルネットワーク委員会からは、駐日女性大使メンタリングキックオフ模様と事後アンケート、振り返りの結果の報告がありました。また、グローバルイベントや内永理事長とのラウンドテーブル、次回定例会の開催案内など、今後の活動についての紹介がありました。

11月度定例会 第二部

第二部では、一般財団法人日本総合研究所 会長、多摩大学 学長 寺島 実郎 氏をお招きしてご講演いただきました。

(*肩書き等は講演当時のものです。)

講演 「世界認識と日本・日本産業の針路
日本人の知らない欧州 ~英国とEUの戦略~」
一般財団法人日本総合研究所会長、多摩大学学長 寺島実郎氏

経営とは、時代認識である

生きている時代を正しく認識することは意外と難しい。日本は「そこそこうまくいっている」との思い込みがあるが、世界の中での日本の埋没は急速に進んでいる。ピーク時(1994年)は、世界GDPの中で18%を占めていたが、2020年には6%までになっている。
アベノミクスは掲げたGDP目標2020年600兆円に達していない。しかも、ゼロエミッションが前提とする経済活動(2030年のGDP)の議論が抜け落ちている。
エネルギー政策には、原子力専門家が不可欠(太陽光も核融合)。しかしながら、福島の地震、原発事故後、原子力エンジニアが消えてしまった。情緒的な脱・原発に流されてはいけない。
日本は基礎的な物資(粗鋼、エチレン)や製品(自動車)の国内生産がここ20年で2割落ちした。 国民の生活も豊かになっていない。今こそ健全な危機感が必要。MRJ開発の挫折は総合エンジニアリング力の欠如が一因である。
時価総額でGAFAに圧倒される日本企業。時価総額の差は、投資体力の差となる。アベノミクスは金融緩和、財政出動によって、株高と円安を導に導く政策だ。今の円安は、悪いサイクルに入りつつある。
時代は、冷戦とともに産業資本主義が終わった後、金融資本主義とデジタル資本主義の併存の方向に動いている。加えて、中国のような国家資本主義が交じる。このような大きな転換期を俯瞰的に見て、日本の生きる道を考えるべきである。
工業生産力モデルで成功を収めた後、失速した日本の生きる道は、イノベーションを使いながらファンダメンタルズの強化をするしかない。特に、食と農業が大切。日本の食料自給率は異常に低い。医療・防災も大切。イノベーションに酔いしれず、安心して生きるための産業基盤をつくることが重要だ。

~講演の感想 参加者アンケートより~

  • データから時代を読み解くことにより、経営陣として持つべき健全な違和感を改めて考える時間となった。
  • 普段思いを巡らせない時間軸と対象テーマの広さに圧倒されながら、日本が埋没していく状況をどのように周囲と共有し何をすべきか考え込んでしまった。
  • 早いテンポで広範囲にわたる内容をカバー頂き、必死にぶりつきで拝聴致しました。沢山の示唆に富んだキーワードでノートが一杯になりました。SDGsどころではない!日本人はルールを作る側にならなければならない。そして全体知。日々手にする情報の受け取り方がいかに甘いかを痛感致しました。
  • 弊社の関わるお客様、業界に関する話題もあり、数字を踏まえたご講演は非常にわかりやすく、改めて危機感を強く認識する貴重な機会になりました。
  • 現在が混迷の時代であるということ、その中にあって日本が思考停止に陥っているということを具体的なファクトに基づいてご説明いただき、なんとなく感じていたことを裏付けていただいた。変わっていることは分かりながら、産業資本主義、あるいは日本人の軸であるPHPから抜け出せずにいることを改めて痛感した。

【寺島 実郎 氏のPROFILE】

一般財団法人日本総合研究所会長
多摩大学学長
1947年北海道生まれ。
1973年早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、同年三井物産株式会社に入社。
米国三井物産ワシントン事務所長、三井物産業務部総合情報室 室長、三井物産戦略研究所所長、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授、三井物産株式会社 常務執行役員を経て、現職。
各省庁の委員長等を歴任。
メディア出演、著書多数。