D&I推進者会議

開催日:2021年07月02日

「2021年度 第4回 ダイバーシティ推進責任者会議」を開催しました

内永理事長

2021年度 第4回 ダイバーシティ推進責任者会議を2021年7月2日に開催し、今回は38社81名のダイバーシティ推進関係者の皆様にご参加いただきました。

【第4回ダイバーシティ推進責任者会議 アジェンダ】

  • 内永理事長 講話
    「経営戦略としてのダイバーシティ・マネジメント」
    ・「なぜD&I推進に取組むのか」、「なぜ女性活用なのか」について理解
    ・D&I推進責任者・担当者の重要性の理解
  • 質疑応答

内永理事長 講話
経営戦略としてのダイバーシティ・マネジメント

毎年、1/3のダイバーシティ推進担当者が異動となり、会社としてダイバーシティの推進を継続していても、担当者としては経験が無いという方も少なくありません。まず始めに、何のためのD&I推進なのか、なぜ女性活用なのかを理解して欲しいと思います。

今年3月に世界経済フォーラムから発表された「ジェンダーギャップ指数2021」では、日本は調査対象156カ国の中で120位。2012年の安倍政権発足以降、女性活躍推進が盛り上がり、日本国内の絶対値としては進んだかもしれませんが、グローバルで見た相対値としては進んでいません。世界はダイバーシティの必要性を十分に理解し、真剣に取り組み、その結果、日本だけがそのスピードに追いつけず取り残されてしまっています。世界のフラット化により時間的、物理的な壁がなくなり、戦いのルールがどんどん変わる。世界の変化が瞬時に自国のビジネスにも影響する時代となりました。

このような中で企業競争に打ち勝つ為には、時代に合ったビジネスモデルへと変えていかなければいけません。自動車も銀行も、ビジネスモデルを変革する時代になりました。会社は否応なしに変わらざるを得ない。これが一番のポイントです。20世紀型アルゴリズムタイプ(下から上へ、上から下へと一段階ずつ長い承認手続きの段階を経て、実行するサイクルのPDCA)から21世紀型はヒューリスティックタイプ(一人一人が能力をつけて、試してみる) へと、会社の仕組みも変わらないといけません。ひとつずつ時間をかけてチェックしているよりは、試行錯誤しながらでも前へと進む。まずはやってみる。やってみてダメなものからも、良いことも得られます。

ただ、この新しい仕組みを考える人たちが、今までの同じ成功体験に基づくモノカルチャーの人だけでは、固定化してしまいます。モノカルチャーから抜け出せない。それゆえ、価値感が違う人、違う体験を持つ人の発想や意見をいかに取り込めるかが大事なのです。その意味で、今まで成功体験を共有してこなかった女性の活用はD&I推進の第一歩であり、企業がイノベーションを起こす、変革していくための経営戦略となります。J-Win「女性3層ネットワーク」と「D&I推進支援3層システム」の2つを連携させながら、企業のD&Iを皆さんと一緒に推進していきたいと考えています。

質疑応答

(※一部抜粋)

Q)インクルージョンが上手く行っているかどうか、どのように評価すれば良いか。
A)D&IのDとIは切り離せない。多様性(D)を受け入れで、色々なポジションで活躍できるようにすることが(I)。すなわち、「ダイバーシティ推進」という言葉を使ってきたが、インクルージョンの取組を含んでいる。

Q)グローバルでのD&I推進のポイントは。
A)グローバルでの推進は、共通は女性だと思うが、国によって人種などマイノリティが違ってくる。女性は共通なので、まずは女性活躍を指標とすることを推奨する。次にLGBTや人種などあるが、各地域において何がマイノリティかをきちんと捉えることから実施すると良い。

Q)役員メンタリングも導入しており、経営層は理解が進んでいる。30代以下も意識があるが、その間の層の男性の意識改革が進んでいない。中間層のアンコンシャス・バイアスの改善策のヒントが欲しい。チャンスが均等に与えられていないようにも思う。
A)まさしく 粘土層で、チャレンジングな層。全員への教育やセミナーをやっても急な変化は難しいので、何人かチェンジエージェントをつくるのが良い。この人は理解があるというようなキーマンが男性ネットワークにいると、本当に変わる。大人数でなくても良いので、2人でも3人でもそのような人材を作り、岩盤のどこかに穴をあけ広げていくのが良いのではないか。男性ネットワークの定例会では、オールド・ボーイズ・ネットワークの壁を経験された理事や女性ネットワークのメンバーなどから多くのインプットがある。大きな岩盤にダイナマイトを入れて一気に崩すのと同じで、男性は一旦気が付くと、行動力はすごい。半年過ぎるとガラッと変わる。最初から全員を変えようとせずに、チェンジエージェントを作って粘土層を切り崩して欲しい。

Q)D&Iは重点課題のひとつとしているが、経営陣からD&Iの話が一切出ない。経営陣が自分事化していない印象。社長は理解していると思うが、優先度はまだ高くない印象。
A)そのような社長こそ、CEO会議に入って欲しい。投資家はESG、SDGs、特に日本企業のD&Iに注目しており、株価に影響するし、採用でも有効に働く。そのような外圧の影響や効果を社長に見せると良い。あとは評価で表すしかない。社長の評価は難しいが、社長の部下評価に組込むと良い。D&Iを女性の為だと思っている限り進まない、企業の為だと何回も刷り込むと良い。

Q)社内にD&Iを推進させるために効果的な社長メッセージのヒントを頂きたい。
A)自分の言葉で語ってもらうこと。全社メッセージだけでなく、ことあるごとに「君の部門のダイバーシティ推進はどうなっているか」と聞き続けてもらうだけで、役員、部門長などの意識が変わる。役員、部門長も自分事になってくる。