特定非営利活動法人ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク(以後J-Winと記載)は、以下の目的に沿って活動を行っています。
- 企業の「経営戦略」としてのダイバーシティ&インクルージョンの促進と定着を支援する
- 業種や専門性の枠を超えた会員企業、メンバーの相互研鑽の機会を提供し、女性リーダー育成を支援する
- 日本社会へのダイバーシティ&インクルージョンの浸透、理解促進をめざした活動を行う
総括
22023年度、NPO法人J-Winは設立17年目を迎え、会員企業96社、そのグループ企業を含め175社から1000名を超えるメンバーにJ-Win活動にご参加いただきました。
企業におけるD&I推進を支援する「D&I推進3層システム」と、女性リーダー育成支援の「女性3層ネットワーク」の2つの活動体制、加えて、D&I進捗状況を数値化・見える化するダイバーシティ・アセスメントを活動基盤として、「経営戦略」としてのダイバーティ&インクルージョン(D&I)推進支援を進めて参りました。
今年度は、各プログラムの充実により会員企業のD&I推進に寄与すること、会員企業の経営層/管理職層へJ-Winの価値浸透を図ること、経営戦略としてのD&I活動の広がり(発信力)を活動方針として、以下の活動を行いました。
女性リーダー育成支援活動
J-Winの女性リーダー育成に向けた3層女性ネットワーク活動では、管理職一歩手前を対象とした「High Potentialネットワーク」メンバー(233名)、部長層・課長層を中心とした「Next Stageネットワーク」メンバー(256名)、執行役員以上を対象とした「Executiveネットワーク」メンバー(74名)の総勢563名が業界・業種の枠を越えてさまざまな活動に取り組みました。
3層が連携した活動では、Next Stage後進育成委員会メンバーはHigh Potentialネットワークの分科会活動にアドバイスを行い、ExecutiveメンバーはHigh PotentialおよびNext Stageネットワークメンバーに対してラウンドテーブルを行いました。加えてExecutiveメンバーによるNext Stageメンバーとの1対1のメンタリングも実施され、メンター、メンティー共に多くの気づきが得られました。
1)第13期High Potentialメンバー活動(233名)
J-Winの掲げる「Women to the TOP!」のもと、キャリアアップに対する意識のSwitch-onをはかるため、2023年度 第13期メンバーは「No Limit ~自分を信じ、未来を創ろう」をスローガンに一年間の活動を行いました。「私たちは自らの手で自信をつかみにいきます」「妥協せず考え抜き、チームで最高の成果を出します」「“Top”になる自分を描き、自らの考えと行動でキャリアを切り拓きます」という活動方針のもと、233名のメンバーが幹事会・実行委員会に主体的に関わり、自分のキャリアをどうしたいかを考え、チームビルディングしながらリーダーシップを磨く一年間となりました。
2)Next Stageメンバー活動(256名)
Next Stageネットワークは、「企業で上級管理職として活躍し、自らが企業・社会を変える原動力になる」というビジョンのもと、企業内で部長・役員層といったDecision Makingができる実力ある上級管理職として活躍できるよう十分な経験とスキルを習得することを目的とした活動を行いました。企業内で女性が意思決定層(役員・部長)に登用されていくために、まずはNext Stage世代がマインドチェンジして成長していくことが欠かせず、そのためにはメンバー自身がNext Stage活動の「目的」「ビジョン」「価値」を認識し真に力を身に付けていくことが重要です。そこで2023年度は目指す姿を「本質をつかむ力を身につけ、さらに実践につなげる ~3つの取り組みを通じて自己成長を遂げる航海~」として、「組織運営の経験」を深め、「知識・学びの深化」に取り組み、「企業人としての覚悟」を決めるという方針を掲げ、定例会・勉強会・研究会・合宿などのプログラムに取り組みました。
3)Executiveネットワーク活動(74名)
Executiveネットワークは「日本最大級の女性役員コミュニティのネットワークを自らの力とし、一人一人が組織・社会に変革を導く輝くExecutiveになる」という活動方針を掲げ、1年間の活動を行いました。そのために「“ひろげる、たかめる、つながる”を“必達(ひったつ)”しよう!」と「メンバー一人ひとりが自律的に活動し、お互いを高めあおう!」のふたつを活動方針に掲げ、国内外の団体とのコラボレーションを進めました。Executiveネットワークの「Challenge」プログラムでは、「TOPリーダーに必要な知見・経験」「社内外・国内外に通用するグローバル視点」「TOPリーダーにふさわしい教養・素養」を身につけることを目標に定例会・研究会活動に取り組みました。また「Give Back」プログラムとして「女性活躍推進のロールモデル」の立場でNext Stageネットワークメンバーへのメンタリングなどの活動を行いました。
企業支援事業
企業支援活動は「CEO会議/実行リーダーの会」(19社 38名)、「企業責任者会議」(77名)、「男性ネットワーク」(87名)、「ダイバーシティ推進責任者会議」(243名)、からなる「D&I推進3層システム」の活動体制(総勢445名参加)を継続、各プログラムの充実を図るとともに相互の連携を行いました。
1)CEO会議/実行リーダーの会 (19社38名)
2023年度CEO会議、実行リーダーの会は19社に参加いただき、それぞれ3回開催しました。CEO会議では、「D&I推進の重要性・意義について」1-2名のCEOから想いを語っていただき、その後のディスカッションで共通の課題、取組事例の共有を行っています。今年度はJ-Winプログラムの連携として、男性ネットワークメンバーとの意見交換を行いました。実行リーダーの会では、1-2名の実行リーダーから課題や取組事例を共有いただき、その後のディスカッションでさらに議論を深めました。
2)企業責任者会議(77名)
2022年に「J-Win活動の理解を深め、D&I推進の一助としていただくこと」を目的として発足した企業責任者会議を2023年度は3回開催しました。企業責任者による自社取組事例の紹介、D&I推進者や男性ネットワークメンバーによる活動報告、企業責任者同士の情報交換などにより率直な討議が行われました。
3)男性ネットワーク(87名)
7年目を迎えた男性ネットワークは87名が参加。初めて幹事会による自律的な運営としました。定例会ではJ-Win Executiveネットワークメンバーや会員企業のD&I推進者とのラウンドテーブル、また、男性ネットワークOBよりD&I推進への参画の意義などを語っていただきました。プログラム修了の3月には企業責任者への活動報告を行い、激励、協働の提案等を頂きました。
4)ダイバーシティ推進責任者会議(243名)
ダイバーシティ推進責任者・担当者の多様なニーズに対応するために、J-Win活動報告やJ-Winダイバーシティ・アワード受賞企業によるベストプラクティスの共有会など、情報提供に加え、参加者同士の情報共有を目的とする定例会を全6回開催しました。また、2023年度はD&I推進者の経験が浅いことに注目し、就任2年未満のメンバーを対象に、「D&I推進の真の意味を語る」ことから自律的にD&I推進のPDCAが回せる基盤作りができることを目的にD&I推進 A to Z 研究会を発足させました。12人のメンバーがリーダー会を中心に活発な議論を繰り広げました。
5)2024 J-Win ダイバーシティ・アワード
本年度17回目となる「2024 J-Winダイバーシティ・アワード」を、内閣府、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、経済同友会、アメリカ大使館のご後援をいただき実施しました。会員企業、非会員企業の合計43社からご応募いただきました。企業賞として、アドバンス部門 大賞・準大賞、ベーシック部門 ベーシックアチーブメント大賞・準大賞の合計4社、個人賞として経営者アワード、リーダーアワードの2名を表彰しました。
授賞企業・授賞者ならびに授賞理由等はNPO法人J-Winホームページでも公表しております。
(https://j-win5.jp/topics/20240312_5424/)
企業賞 | ||
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アドバンス部門 |
大賞 | 大日本印刷株式会社 |
準大賞 | 株式会社みずほフィナンシャルグループ | |
ベーシック部門 | ベーシックアチーブメント大賞 | 古河電気工業株式会社 |
ベーシックアチーブメント準大賞 | 株式会社ブリヂストン | |
個人賞 | ||
経営者アワード | 株式会社りそなホールディングス 取締役兼代表執行役社長兼グループCEO 南 昌宏 様 |
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リーダー・アワード | デロイト トーマツ グループ パートナー 栗原 健輔 様 |
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*企業名・肩書などは授賞当時のものです。
広報事業
広報事業は会員企業を含め、広く社会にJ-Winを認知していただき、女性活躍推進に向けた活動を理解していただくための情報発信力強化に努めています。女性リーダー育成支援を目的とする女性3層ネットワーク活動と企業支援のD&I推進3層システム、さらには女性経営者育成塾や女性技術者育成塾、年間での活動報告を行う拡大会議やJ-Winダイバーシティ・アワードの開催に関しては、メールマガジンの発行、Facebookへの投稿、J-Winホームページへの掲載など、オウンドメディアを通じた積極的な情報発信をおこなっています。
2023年度の広報誌J-Winレポートは、8月(43号)の発行を行っており、巻頭を飾るトップインタビューやオールド・ボーイズ・ネットワークをテーマにした男性ネットワーク卒業生と理事長による懇談、強化プログラムの女性経営者育成塾、女性技術者育成塾などの紹介に加え、つくば合宿の開催などを報告しています。
PR活動の一環として、記者、編集者といったメディア関係者とのリレーション強化を目的に、年間で複数回のJ-Winメディア懇談会を開催しています。毎回、D&I推進に関するテーマを設定し、J-Winとの情報共有、意見交換の場としています。
結果、メディア掲載はテレビや新聞やWebメディアを中心に年間45件の露出、掲載を獲得しました。4月30日のNHKスペシャル“男性目線”変えてみたシリーズの「無意識の壁を打ち破れ」では、女性活躍を阻むオールド・ボーイズ・ネットワークの問題にJ-Win男性ネットワークが取り組み、メンバーがそれぞれの企業でD&I推進のチェンジエージェントとして活動する様子などが取り上げられています。
J-Winのプログラム、活動内容を伝えるツールとして「J-Win案内パンフレット」「J-Win活動プログラムのご案内」を作成しました。J-Winの価値を理解いただくとともに、新規会員企業の獲得に向けた渉外活動やグローバル活動など、さまざまな場面で活用できるように大幅な改定作業を行っています。
拡大会議
2023年度活動総括の場である拡大会議は、2024年3月8日に会場(ベルサール新宿グランド)とオンライン配信のハイブリッド形式で行われました。拡大会議では、女性3層ネットワーク、D&I推進3層システムの活動報告と、2024J-Win ダイバーシティ・アワード表彰式、第13期High Potentialネットワーク卒業セレモニーが行われました。1000名を超える方々にご参加いただき盛会となりました。
活動・収支報告、貸借対照表
2023年度の収入は、会員企業からの年会費が135,450千円、Executive、Next Stage、女性経営者育成塾等のネットワーク事業への参加会費が26,808千円、男性ネットワーク、CEO会議等の企業支援事業への参加会費が10,577千円、その他の収入が4千円で収入の合計は172,839千円でした。
一方、ネットワーク事業として52,750千円、企業支援事業として21,970千円、広報として11,817千円、拡大会議として5,474千円、進捗診断事業として349千円、計92,360千円の支出となりました。
これら事業を進めるために管理費として、役員・管理部門人件費、IT関連費、家賃・光熱費、その他法人運営費等、71,371千円を支出しました。結果、2023年度経常増減額(特別費用含まず)は、9,108千円の黒字となりましたが、特別調査費用、カタリスト本廃棄損等を特別損失として計上した結果、2023年度経常増減額は47,427千円の赤字となり、次期繰越正味財産額は194,414千円となりました。