Executiveネットワーク

開催日:2023年09月12日

「Executiveネットワーク9月度定例会」を開催しました

9月12日(火)、「J-Win Executiveネットワーク 9月定例会」を会場(九段会館テラス)とオンラインによるハイブリッドで開催しました。会場41名、WEB17名、計58名の参加となりました。

2023年度、Executiveネットワーク定例会のテーマは 「グローバル」 と 「STEM」。 「グローバル」テーマでの2回目として、第30代日本銀行総裁、青山学院大学特別招聘教授、J-Win理事の白川 方明氏をお迎えし、「日本の真の課題に向き合う ―根拠なき楽観論と意思なき悲観論を排す―」の演題でご講演いただきました。

「日本の真の課題に向き合う - 根拠なき楽観論と意思なき悲観論を排す」
第30代日本銀行総裁 青山学院大学特別招聘教授 J-Win理事
白川 方明 氏

《ご講演内容》
  • 日本経済を巡る過去の議論と現在の状況
  • 日本の低成長の原因
  • 日本の社会や企業が取り組むべき課題
  • 世界経済の直面する状況
  • 役員の皆さんに望むこと
  • 経済・金融についての情報収集はどうすべきか

白川氏には昨年度もグローバルについてご講演いただいたことから、今回は日本にスポットをあて、日本の現状を直視したうえで取り組むべき課題を明らかにし、世界経済における日本の位置を捉えるというストーリーでのご講演となりました。 2000年代以降、よく聞かれたのは「デフレ議論」。
物価が上がれば、低成長の問題は解決するのか? 仮にそうだとして、大胆な金融緩和政策を実行すれば物価は上がるのか? という議論であった。
多くの企業経営者や国民は大胆な金融緩和で問題が直ちに解決するとまでは思ってなかっただろう。しかし、厳しい経済情勢下あって、そうした政策にある程度トライしてもいいのではないかという気分に傾いていた。

2013年春以降、日銀のバランスシートは劇的に拡大したが、物価は上がらなかった。

「最大の課題はデフレの解決」「しつこいデフレマインド」など曖昧な認識、曖昧な言葉から日本の直面する課題解決に向けた改革のエネルギーは生まれない。日本の低成長の原因に関する正確な認識が不可欠となる。

日本の真の課題は少子高齢化と生産性上昇率の低下にある。対応策としては、高齢者を中心に労働参加率の引き上げ、外国人労働者の受け入れ、出生率引き上げの努力、海外直接投資の拡大、生産性の引き上げなどが考えられる。

白川氏のご講演を通じて、問題の本質を考え抜き、現実を正確に認識することの重要性を学ばせていただきました。 加えて、悲観するのではなく、現実を直視し、各々が意思をもってそれぞれの課題解決を進めることで、状況は改善するだろうというエールまでいただきました。

ご講演の最後はExecutiveネットワークメンバーに向けてのアドバイス。
現在、社会、経済の閉塞感は強いが、誰も問題解決の正解を知っている訳ではない。
日頃から問題の本質をよく考えぬく習慣が大事である。

経営トップになると、自社ビジネスを超えた社会的発言も求められるようになり、その人の教養、識見が問われるようになる。自社にとってのプラスを日本経済全体にとってのプラスと同一視する「狭い」経営者であってはならない。

企業経営とマクロ経済について総括となるメッセージが白川氏より届けられました。

白川氏には質疑応答後も懇親会までお付き合いいただき、多くの質問にも一つひとつ丁寧にご対応いただき、Executiveネットワークメンバーは日本の課題に向き合うことへの理解を深めるとともに、各々が行動を起こす決意を新たにしました。