オールド・ボーイズ・ネットワーク

2023年04月20日

女性活躍を阻む壁 「オールド・ボーイズ・ネットワーク」

世界経済フォーラムから男女格差を測る「ジェンダー・ギャップ指数」が発表されています。
2022年版の日本の順位は146カ国中116位。男女平等を力強く推進する諸外国と比べ、大きく取り残されています。
変化が激しいグローバル環境にあって、企業競争力を継続的に強化するためには、イノベーションを起こし、新たなビジネスモデルにチャレンジしていくことが極めて重要となります。そのためには組織の中核を成す意思決定層に多様な価値観を持つ人材の登用が必要であり、グローバルでは多くの企業が女性活躍を有効な経営戦略であると認識して、積極的な取り組みを行っています。
日本では女性活躍に向けた施策が整っているにも関わらず、女性管理職はなぜ増えないのでしょうか。NPO法人J-Winでは女性活躍を阻む問題は大きく3つあると考えています。「将来像が見えない」「仕事と家事/育児とのバランス」、そして「オールド・ボーイズ・ネットワーク」です。

女性活躍を阻む3つの問題

女性活躍を阻む最大の壁となっている「オールド・ボーイズ・ネットワーク」とは何でしょう。
終身雇用、年功序列が長く続いた日本の企業ではマジョリティであり、同じ成功体験を持つ男性が中心となって企業風土や仕事の約束事がつくられてきました。しかし、組織の中で仕事を進めるために大切な教育や暗黙知はマイノリティである女性にはほとんど伝えられず、これが女性活躍を阻む要因の一つとなっているわけです。
本人たちは、自分が「オールド・ボーイズ・ネットワーク」であることに気付いていません。


そこでJ-Winの女性ネットワークメンバーに「オールド・ボーイズ・ネットワーク」と考えられるものに、どんなものがあるのかを聞いてみました。

男性がつくってきたビジネスルール

自分達の経験によって得た知識前提で話を進めていく/暗黙の了解/根回し文化

男性だけのネットワークの場

男性同士の雑談、タバコ部屋、飲み会、ゴルフコンペなどでの情報交換・意思決定

上司(役員)に対する忖度文化

上位職の会議になるほど意見がでない/議論が少なくなる/本音を言わない

無意識の行動・バイアス

昇格者を無意識に男性から選ぶ/必要な会議に女性を呼ばない/資料・情報を共有しない

女性への過剰な配慮、思い込み

チャレンジングな業務、緊急・トラブル対応は男性/サポート業務は女性がおこなう

職場環境

空調温度設定/食事の時間/歩く速さ/深夜・長時間労働/早朝出勤


つまり、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」とは

歴史のある成功した組織や企業の中で培われてきた明文化されていない約束事、ルール、仕事の進め方、会話の仕方等でその組織を支えてきた、暗黙の文化や雰囲気

と、言うことが出来ます。

これまでマジョリティであった男性を中心に培われてきた為、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」 または 「オールド・ボーイズ・クラブ」と言われています。

さらに特徴的なものを加えれば、「世界中に存在しているが、特に日本ではその度合いが強い」こと、それは「モノカルチャー、年功序列、終身雇用制度」が生んだもの。それでも、オールド・ボーイズ・ネットワークは悪いことばかりではなく、「時代の変化がゆるやかな時には全体効率が高く、意志統一がやりやすい」などの評価を受けてきました。

かつて日本は高い経済成長により、世界から<JAPAN AS No.1>と言われていました。 多くの日本人が共有した成功体験です。しかし、一度 勝ち取った成功体験を打ち破ることは難しく、デジタル技術の革新によって世の中がどんなに変化しようとも、多様な発想や新しいビジネスモデルを排除し、変革することを無意識のうちに拒み続けてしまったのです。

「オールド・ボーイズ・ネットワーク」の壁を低く、薄くする

世界中、どこにでもある「オールド・ボーイズ・ネットワーク」。マジョリティであり、長い期間、実権を握ってきた人達にとっては都合のよい暗黙の文化や雰囲気です。グループ以外のメンバーには積極的に知らせていない、苦労して築き上げてきた自分たちの地位や役割を奪われたくないと考える「オールド・ボーイズ・ネットワーク」の壁を少しでも低く、薄くするにはどうすればいいのでしょうか。

先ずは「オールド・ボーイズ・ネットワーク」に気づき、自分事化すること。そして「見える化」することが必要となります。
世の中が大きく変わろうとしている時に、これまでのやり方を続けるのは難しいことです。これまで、閉ざされたコミュニティで受け継がれてきた約束事やルール、仕事の進め方といったことを、誰もが知ることのできる、誰もが理解できるように「見える化」をすることなのです。
ここでの「見える化」とは、多様性を受け入れる「風土」を生みだしていくことです。そして、この風土こそが、企業経営の継続的な強化へと繋がっていくことを理解しなければなりません。

J-Win男性ネットワーク活動の目的

J-Winには女性リーダー育成活動の「女性3層ネットワーク」と、企業のD&I推進支援活動の「D&I推進3層システム」という2つのプログラムがあります。 「女性3層ネットワーク」と「D&I推進3層システム」

J-Win男性ネットワーク

D&I推進3層システムにおいて、男性管理職層を対象にChange Agentを目指してくのが、3層の中央に位置する「男性ネットワーク」です。

男性ネットワークでは女性活躍を阻む問題「オールド・ボーイズ・ネットワーク」をテーマに、グループワークやディスカッションなどを通じてダイバーシティ推進の本質価値に気づき、理解を深めていきます。
女性活躍を推進するために男性管理職がとるべき行動や施策を自らが考え、実行に結び付けていく活動となっています。2022年度は89名の男性ネットワークメンバーが参加しています。

男性ネットワークの目的

「オールド・ボーイズ・ネットワーク」とは 《J-Winレポート特集》

広報誌J-Winレポートでは「オールド・ボーイズ・ネットワーク」の特集を組み、女性活躍推進の壁となっている実態やJ-Win男性ネットワークメンバーや理事による対談などを紹介しています。