Executiveネットワーク
開催日:2022年10月19日
「Executiveネットワーク10月度定例会」を開催しました
2022年10月19日、「J-Win Executiveネットワーク10月度定例会」をオンラインにて開催し、45名のメンバーが参加しました。
第1部 定例会
定例会幹事よりこれまでの振り返りと今後の予定、グローバルネットワーク委員会より、駐日女性大使とのメンタリングプログラム、キックオフ開催の報告とともに今後の活動について情報共有が行われました。
後進育成担当幹事からは、Next Stageメンバーのメンターを務めるExecutiveネットワークメンバー同士の学びの場の提供、幹事長からは、第2回 内永会長理事とのラウンドテーブルの企画についての共有がありました。
第2部 講演「持続可能な共感資本社会について ~産みの苦しみを喜びに変える~」
非営利株式会社eumo(ユーモ) 代表取締役 新井和宏氏
投資・運用業界を長年経験し、「お金とは何か」を人生の問いとしてきた講師の新井和宏氏。共感資本社会の実現を⽬指し、2018年に非営利株式会社eumoを立ち上げました。
共感資本社会とは、共感という⾒えない、貨幣換算できない価値を⼤切に育み、それを基礎(資本)として活動していける社会のこと。「個」が自由に共生しながら、自分たちが共感し広げたいモノに対して投資(ギフト)する社会です。eumoは共感資本社会の実現のために、人材の育成(eumo Academy)とともに、使用期限付きのデジタル通貨によるスマホ決済アプリ(eumo(ë))や、それをベースとしたコミュニティコインを拡げる活動を行っていることをお話しいただきました。
Q&A(一部抜粋)
「共感資本社会」という新たな概念を学んだメンバーは、自分ごとに落とし込むために積極的に講師に質問を投げかけ、新井氏はそれに一つひとつ丁寧に答えてくださいました。一部を抜粋してご紹介します。
Q:これからの大企業の変革のありかたとしては、企業そのものが共感するビジネスに変革するのか、共感するビジネスを産みだすことを支えることになるのか?
A:これまで企業では売上利益の大きさが評価の対象とされてきたが、ESGなどにより企業が評価される、評価経済に時代は向かっている。上場企業である限り数値で評価されることは仕方がないが、数値化されない部分をどう評価するかが重要になってきている。今は数値化できない評価の手法(人材評価、CVC)の流れが増えてきている過渡期。皆さんはこの流れの方向性を感じておいて、打って出ていく時のために備えておくことが必要。
Q:現在はモノ・サービス・価値観などの全てを通貨という同じ尺度で評価する仕組みであるが、共感といった価値観が基準になると、その尺度を評価するのは難しい。そのような世界ではお金が不要になるということなのだろうか?
A:法定通貨しか選択肢がないことが今の社会の課題。法定通貨がなくなることはないが、それだけで社会を変えることには限界がある。コミュニティ通貨や物々交換などが混在する社会になり、個人が心地よく使いたいお金を使うようになることを経て、最終的にはテクノロジーなどによりお金が無くなる世界も可能になっていくと思う。
Q:共感社会は良いことだが、「わかって欲しい」という思いが強くなりすぎて、反対されることもある。はじめの一歩として何をすべき?
A:同じ価値観や想いを持つ仲間を探すことがまず必要。お金を変えれば資本主義は変わる。お金を信じるのではなく人を信じる世界に変わって欲しいと強く思う。同じ想いを持つ人たちが集まり動きを起こすことが重要。
新井氏より共感資本社会について伺い、質疑応答にてその理解を深めていったメンバーたちは、これまでの資本主義社会とは違う、貨幣換算できない価値に基づいた社会のイメージをそれぞれの頭の中に描いていきました。
本年度のExecutive ネットワークの定例会テーマは「新しい資本主義」。
「新しい資本主義」の形について示唆を得、それについて経営者の目線で考え、未来の資本主義につながる「何か」を得るきっかけとなった貴重なご講演でした。
参加者感想(事後アンケートより抜粋)
- 自分自身は競争社会の最前線で、数字での結果を求められており、近未来とのギャップを大きく感じて危機感を持った。
- これまでの講演会と少し異なる哲学的なお話で、いつもと脳の違うところを使う非常に刺激的な会でした。元投資家としてのコメントも刺さりました。
- 心の底から社会を本当に変えていきたい、という強い意志を感じた。正解もない、見えない状況においても、強い信念を持ってお話いただいて、勇気をいただいた。
- 新たな社会像を実践したいという、ぶれない熱い想いに非常に感銘を受けました。また、質問に対する受け止め方、ソフトな語りは、世の中がスピード重視の中で、立ち止まって考える時間が必要だよ!とメッセージをいただいているように感じました。
- 共感資本社会という言葉は初めてだったが、価値観が多様化し、既存の貨幣だけでは測れなくなってきていると感じていたので、大変「共感」した。