High Potentialネットワーク

開催日:2022年02月09日

「J-Win 第11期High Potentialネットワーク2月度定例会」を開催しました

J-Win 第11期High Potentialネットワーク 2月度定例会を、2022年2月9日(水)に開催し、東京メンバーに関西・九州メンバーを加え212名がオンライン参加しました。2月度定例会は第11期生にとって最後の定例会開催となります。

【ゴール・ねらい】

ゴール:
TOPを見据え、自分らしい5年後の"なりたい姿"を明確にし、明日から新しい一歩を踏み出せるようにする。

ねらい:
2月度は最後の定例会であり、1年間の集大成である。第11期メンバーは、それぞれ異なるバックグラウンドを持っており、たとえ今仕事に全エネルギーを費やせない環境であっても、諦めずに自分ならではのやり方でTOPを目指したいと考える。ゲスト講演者の視座を自らの糧にしつつ、自分ならではの志をもって仕事に向き合うことを再考し、"5年後のなりたい姿"を明確にする。そして、未来に向かって自らの組織や社会に貢献できるよう、明日からのアクションプランを考えることを目指す。

※以下に講演の様子をダイジェストでご紹介します。

「キャリアビジョンを描く 卒業へ向けて」EY新日本有限責任監査法人 理事長
EY Japanアシュアランス マネージングパートナー 片倉正美氏

監査法人のトップになって

理事長になる前に、どうなりたいと思っていたかを語ると、監査を取り巻く環境は変わっていくと、うすうす感じていた。脅威でもあり、チャンスでもある。そんな場面で、TOPを陰で操る軍師のような役割をやりたいと思っていた。そのときは自分が理事長になる姿は描けていなかった。TOPは投票権の9割以上を男性が占める選挙で選ばれ、50代後半の男性がなる通例だったからだ。
自分が理事長になるに当たって、監査を取り巻く環境が変わる前に、直ちに組織の大変革に取り掛からなければならないと感じた。誰ができるかを考えたときに、オールド・ボーイズ・ネットワークに染まっていない条件を満たすのは自分だと思った。米国人の元上司がメンターであり、「君は素晴らしい。もっと上のリーダーになるべき」と言ってくれ影響を受けた。日本の男性上司はモチベートすることが得意ではない。もう一つはJ-Win Executive ネットワークの影響。JENメンバーからはTOPにならなきゃダメと言われ、なったら喜んでくれるだろうと思った。そして選ばれた。
TOPになってどうだったか、それは「エキサイティング!」の一言。大きな変革をスタートさせ、判断し、みんながその方向に動くのが鳥肌もの。女性役員比率を25%にあげた。見える世界や入ってくる情報も大きく違う。自分が固定概念を外して、立候補して、エキサイティングを実感した。孤独どころか、みんな味方になってくれる。
TOPは目指す価値のある役割だと強く思っている。"Women to the TOP" は単なる標語ではなく、皆さんの未来だと信じてほしい。多くのJ-Win Executiveメンバーが子会社含め社長を経験している。私には無理だ、現実的でない、と思わないでほしい。

キャリアの軌跡を振り返る

キャリアのターニングポイントは3回あった。最悪な時期もあるが、上向きな時期は必ず来る。徐々に信頼されて仕事を任されるようになった。初めての異動で、株式公開を目指す企業の担当になった。営業とコンサルティングの知識が求められて、まずは必要な知識を身に着け、チームの中に居場所を確保することに専念した。早い段階でこれらを身に着けたことは、良かった。
次の異動ではグローバル企業の担当になった。チームも一気に300名規模になった。担当テリトリーが広すぎて、自分だけでは限界がある。チームの中で成果を出すだけでは不十分でチームそのものの成果を出す必要があった。ライフイベントとも重なる時期で、タイムマネジメントも重要だった。効率的に、人の力を結集することを学んだ。そこで評価されパートナーに昇格できた。
3つ目のポイントは、担当企業で、監査が遅延するトラブルが起き、チームは疲労困憊。ある時チーム内で対立が起きた。主なメンバーは口も聞いてくれなくなった。でも主張は変えず、クライアントと会話し、基本を遂行していくことで、徐々にチームも協力的になった。それまでは上司も部下も関係ないフラットな関係でいいと思っていたけれど、上司は逃げられない、責任をとる。上司と部下の大きな違いを感じた。

今、何をしたらよいかを考えよう

ロールモデルに期待をしても、完璧なロールモデルなどはいない。ロールモデルは女性であるべきという思いこみもあるかもしれない。男女問わないと考えたほうがいい。そして、今は自分を成長させるために時間を捻出しなければならない。自社の経営戦略を知っているか、中期経営計画をみたり、会社を俯瞰してみることもおすすめ。
皆さんの年代は皆さん自身が能力を高めていくべき大事な時期。自分を成長させるために時間をしっかり使ってほしい。自社が外部に公表している中計や有報等の数値的なもの、将来の姿を言語化したものにしっかり目を通す。そういうことも自分のキャリアを考える上でのヒントになる。管理職になったつもりで、チームマネジメントに力を入れていく。自分のペースを保つことも重要。色々なことを相談できるメンターを自分で見つけることも大事だ。ポジティブシンキングで、話す言葉はポジティブにしてアドレナリンも自分でコントロールするといい。

仕事とプライベートのバランスはマイペースでいい。自分も介護で、2度ほど、仕事を周りに頼んで、介護に時間を使った。理事長選挙の時に父が他界して、その時、時間を取ってなかったら一生後悔した。友人との先約があれば会議も入れない。ゴルフの練習も仕事帰りに行く。やりたいことは犠牲にせず、両方やれるよう時間を調整していく。いつも全力投球でなく、両方マイペースでやる。これが秘訣。仕事が忙しいことがストレスでなく、時間の選択が自分でできるようになるとストレスフリーになる。
リーダーシップを発揮する上で大事にしていることは、メッセージを分かりやすい言葉で発信していくこと。双方向のコミュニケーションも大事。有事には逃げないことが必須。何か起きたとき、誰がやった、はどうでもよくて、情報を集めて次のアクションを判断し指示することを意識している。
やりたいことは行動して初めて実現する、ぜひ、考えてばかりでなく行動してください。

全体の感想 ~参加者アンケートより~

  • 片倉さまのご講演が、私たちHPNメンバーに寄り添った構成となっていて、大変わかりやすく、自分事としてキャリアプランを考えるきっかけになった。
  • TOPはExcitingという言葉はすごく励まされました。J-Winの活動を通して、トップの方の話を身近に聞くことができ、やはりトップってかっこいいと思いました。私もその一人になるように頑張りたいと思います。
  • 『言霊』の話は、非常に納得感がありました。自身が発する言葉は、できる限りネガティブでなくポジティブにと、意識しようと素直に思えました。自分のなりたい姿を考える上で、固定概念を外してみるということは大事だと思いました。
  • TOPが具体的に描けていなかったが、片倉様の「考えるだけじゃなく行動を起こすこと」という言葉で、もやもやと考えていたことをまずやってみようという気持ちになれた。

【片倉 正美氏のPROFILE】

EY新日本有限責任監査法人 理事長
EY Japanアシュアランス マネージングパートナー
大手監査法人初の女性理事長として、EY Japanにおけるアシュアランスサービスをけん引。
IPOから米国上場するグローバル企業に至るまで、多くの日本企業の監査に従事。
2019年7月、EY新日本有限責任監査法人 理事長就任。
2020年7月、EY新日本有限責任監査法人、アシュアランス・イノベーション本部長を兼任。