High Potentialネットワーク

開催日:2021年09月16日

「J-Win 第11期High Potentialネットワーク9月度定例会」を行いました

2021年9月16日(木)に「J-Win第11期High Potentialネットワーク9月度定例会」をオンラインにて開催し、 217名のメンバーが参加しました。 時代を変える新しい技術は、社会と時代の要求に呼応して進化していきます。今回の定例会は過去から現在までの技術進歩と社会変化を概説いただき、テクノロジーの視点からみた社会、企業の未来について考える機会となりました。

9月度定例会テーマ:視座を高め、知見を広げる / テクノロジー

<定例会のゴール>
テクノロジーとは何かを理解する。
テクノロジーが私たちの生活を、ビジネスをどう変えたのかを理解する。

<ゴールに関して>
日本企業がテクノロジーを生み、イノベーションを起こす企業に発展するために、 変化の時代に競争力を維持するテクノロジーとは何か、テクノロジーがどのように社会・企業を変えてきたのかを理解する。

以下に講演の様子をダイジェストでご紹介します。
(*肩書き等は講演当時のものです。)

講演 「テクノロジーから見る社会の未来」
日本アイ・ビー・エム株式会社
常務執行役員 最高技術責任者兼研究開発担当 森本典繁氏

過去のテクノロジーについて

オリンピックで即時の集計ができるようになったのは、1964年。オンラインシステム360が運用され、世界中に広まった。1969年、20年後の世界未来を想像するのが流行っていた。今、PC、テレビ電話、お掃除ロボット等さまざまなものが普通になった。未だに空飛ぶ車が無いのが残念。今、50年振り返って、これからの未来を考えよう。ターゲットは2050年。

想像する未来

未来を想像するとき、科学技術白書のように、客観的に見ているものがある。しかし、主観的にも見る必要がある。「自分たちの世界はこうなる!私はこういう未来を作りたい!」と主体的に考えることが重要である。メンバーアンケートにおいて、「自分自身が未来を変える能力、責任があるか」について、「能力はないけど責任がある」と回答した人が多いとの結果になったことはすごいことだ。
立石電機の社長の言葉のように「自らが先駆けとなって」という想いが重要である。立石電機がどのように未来を見通したか。それは制御技術をまとめた本を読み、機械ができることは機械に任せると人間はクリエイティブ仕事ができると考え、開発して大成功した。その方法論では、科学と技術と社会は単独で存在するのではなく、一連に作用しあう。川のように並んで進んで行く、とした。その中では、コンピューターもまだ使ってない時代に、情報化社会から最適化社会へ行く、その先には自立社会、自然社会(SDG'sの先)がやってくることを予言している。
サイエンスが、テクノロジーが刺激を与えることを可能にし、社会にイノベーションを与え、ビジネスにつながる。ただ、サイエンスとソサエティの間には需要と拒絶があり得るのは注意が必要。3つの関係を見て、丁寧に追っていけば先が見える。

未来の社会を想像してみよう

皆さん、想像するように宇宙、循環等いろいろな社会がある。その社会のKPIも考える必要がある。

 

経験則に元づく主観的な未来予測

IBMの例を見る。テクノロジーが発展し、その時のビジネスのポートフォリオをみると、ビジネスの形態、サイエンスを中に展開していく仕組みが変わっている。みんなの産業はどうか、これからの未来像は?あなたは何をしたいか?ちなみにすべての会社が進化していくわけではない。例えば手工業革製品のブランドはそのままでいい。2050年、固定電池の寿命は100倍になるだろう。コンピューターの性能は100万倍になる。これまでのスピードから計算することができる。量子コンピューターも実用化される。乗り物が電動化、ごみはリサイクルされ、平均寿命100歳を超え、月旅行は5000万を切る。

経験則に元づく主観的な未来予測

IBMではノーベル賞を受賞する人がおり、特許の数も非常に伸びている。特許は5年後10年後に使う技術である。イノベーションはこれからたくさん起きてくる。まず、データ、コンピューターは写真の画素数によって、処理が非常に増える。世の中のデータ量は毎年倍増している。あとで使うかわからない大量のデータがある。データが多いとセキュリティが危険だ。クオリティもコントロールしないといけない。間違った情報をAIに勉強させると、想定しない結果になることもある。信頼できるデータ、信頼できるプロセス、信頼できるモデルを作ることが重要。

人間と討論するシステム

システムが相手の言葉を聞いて、相手が言い終わった後に、相手に反論をする。その内容は機械が作ったか人間が作ったか、もうわからない。一つの正解があって、それをロジカルに展開することができる。これは新しい技術。
これから20-30年、100万倍のコンピューターでも対応できないことも量子コンピューターができるようになる。
ここから先、いかにサイエンス社会のニーズに応えて、皆さんがやっていかなくてはならない。
ゴールを達成するために政策・社会、科学技術、経済、どれが一番大切か、それは社会のニーズ、そして、
これはテクノロジーの話だから関係ないじゃなく、すべての人が、担っていくことで、理解することが重要である。

講演の感想 ~参加者アンケートより~

  • サイエンス・テクノロジー・ソサエティの3つが作用し合っているというお話が、とても納得感があり腑に落ちました。また、自分事として捉えること・視野を広げることの大切さを改めて感じました。「自分も未来を創る責任者の一人である」という言葉が印象に残りました。私は忙しいことを言い訳にして目の前のことしか考えず、目の前と未来が断絶しているような感覚でしたが、森本様のお話を聞いて、自分の未来に直結することであるし、正に自分事なのである、ということに気づかされました。ご講演により、少し先には明るい希望があるような感覚を得ることができ、未来にワクワク感を持つことができました。
  • テクノロジーとは自分とは縁遠く、専門の人が導いてくれるものと感じていましたが、過去を振り返りつつ、身近な事例から2050年までの展望をご説明いただき、非常に理解が深まり、以前よりも身近なものに感じました。特に、オムロンの立石さんのSINIC理論は以前書籍でも目にしたことがあり、考え方も印象に残っていたので、今回改めて科学、技術、社会のとの相互作用でテクノロジーが進化することを認識し、最適化社会へつながっていくのだと感じました。その中で、わたしは何ができるのか?考えながら前に進んでいきたいと感じました。
  • テクノロジーだけではなく、社会と経済の中にいるということ。理系職種にいるとテクノロジーそのものを追及しがちであるが、それが社会でどのように活用され、経済的に寄与するか考えていくことが必要であると認識しました。
  • 技術系として深堀することを続けてきたが、隣を見る、広く見る、俯瞰的に見るということが重要という言葉が印象的でした。技術系は時としてその領域における洞察を推奨されるが、広く周りを見て望まれている部分を理解することが重要だということを改めて感じました。

【森本 典繁 氏のPROFILE】

日本アイ・ビー・エム株式会社
常務執行役員 最高技術責任者兼研究開発担当
1987年入社後、メインフレームやPC用のCRT及び液晶ディスプレイの開発を担当。1995年に米マサチューセッツ工科大学(MIT)留学を経て、1996年IBM東京基礎研究所に転入。以後、音声、画像、映像処理と著作権保護技術、モバイル・コンピューティングの研究プロジェクト・リーダなどを担当。2004年にIBM Business Consulting出向。2006年に米IBMワトソン研究所赴任、グローバル研究戦略担当を経て、2009年にIBM東京基礎研究所所長に就任。2015年にIBM Asia Pacificに転出しChief Technology Officerを担当。2017年に日本アイ・ビー・エム執行役員 研究開発担当。2020年に最高技術責任者を兼任。2021年より常務執行役員 最高技術責任者兼研究開発担当。