2009年Ｊ－Ｗｉｎアワードにおける調査をもとにまとめました。

【　2009　J-Winアワード調査レポート（サマリー版）　】

３．女性リーダー輩出、ダイバーシティ施策の進捗と関係する要因の分析
女性リーダーの輩出、およびダイバーシティ施策進捗に、どのような要因が関係しているかを知るために相関分析を行いました。 以下に「相関がある」としたものは、両側検定1％水準、あるいは5％水準で有意なものです。

＜「女性リーダーの継続的輩出」と関係する要因＞

　　

１）「女性リーダーの継続的輩出」の実績値は、企業の「経常利益」と相関が見られました。 女性リーダー輩出の実績値（女性採用数、管理職一歩前数、管理職数の2008年度の比率と最近5年間の伸び率を勘案した値） が高い企業は、経常利益も大きい、ということになる。もちろん、このことだけで女性活躍と業績の関係を明言するわけにはいかないまでも、 なんらかの関係があることが示唆されています。
（アメリカのダイバーシティの調査組織として著名なCatalystの調査においても、企業の財務指標と女性活躍の間には有意な関係がある ことが示されています。）

　　

２）また「女性リーダーの継続的輩出」の実績値は、「（業務および評価）プロセスの見える化」領域の施策、特に「昇進･昇格の基準の明示」 とやや相関がありました。一般に、　ダイバーシティ推進施策を展開しても、すぐにその成果として女性リーダーが輩出されるわけではなく、何年かの時差がある ので、女性リーダー輩出実績と施策実施の相関は出にくいのですが、昇進・昇格の基準が明示されるような人事制度、あるいはそれを当然とする風土は、女性リーダー輩出と関係がありそうです。

＜「経営トップのコミットメント」と関係する要因＞

　　

１）「経営トップのコミットメント」が強いことと、ダイバーシティに関する専任部署・独自予算の有無が、強い関係があるようです。

　　

２）また、「経営トップのコミットメント」の強さは、すべての施策領域の推進度と高い相関があります。
　　　　 特に相関の高いのは、「女性のキャリア開発・育成･登用」、「管理職のアカウンタビリティ」です。
　　　　 経営トップのコミットメントが強いと、女性の育成･登用促進に直接影響を与え、また「管理職のアカウンタビリティ」、
　　　　 つまり管理職を本気にさせるかどうかの仕組み作りも、トップのコミッメントに強く関係しているようです。

＜「管理職のアカウンタビリティ」と関係する要因＞

　　

１）「管理職のアカウンタビリティ」の施策と、「女性のキャリア開発･育成･登用」領域の施策とが関係が強いことが示されています。
管理職にアカウンタビリティを持たせることにより、女性育成に積極的になることがわかります。

　　

２）また、「管理職のアカウンタビリティ」は、「多様な働き方の促進」領域の「女性の仕事継続の工夫」ともかなり強い相関があります。
これらを見ると、管理職のアカウンタビリティを強化することと、女性の活動が活発化することも、大いに関係がありそうです。

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