2019年3月14日(木)、「NPO法人J-Win 2018年度拡大会議」(於:ホテルイースト21東京)にて、「2019 J-Winダイバーシティ・アワード」の表彰式を行いました。
「J-Winダイバーシティ・アワード」は、ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)を推進している先進企業を表彰することで、日本企業におけるD&I推進を加速することを目的として、2008年より毎年実施しています。12回を迎えた本年は、内閣府、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、経済同友会、日経ウーマノミクス・プロジェクト、他のご後援をいただきました。
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「J-Winダイバーシティ・アワード」には、企業におけるD&Iを推進し、女性リーダーを継続的に輩出している先進企業を表彰する「企業賞」と、企業においてD&I推進と定着に顕著な貢献をした個人を表彰する「個人賞」があります。本年度企業賞には「アドバンス部門」に14社、「ベーシック部門」に31社、合計で45社の応募がありました。
表彰式では、企業賞受賞4社、個人賞受賞2名を発表し、J-Win内永理事長より表彰状及びトロフィ―を授与。各受賞者のスピーチと、審査委員長の講評スピーチが行われました。
以下に表彰式の写真と授賞理由、および審査委員長 樋口 恵子氏(東京家政大学 名誉教授)の講評を紹介いたします。
*企業名・肩書などは受賞当時のものです。
企業賞:
大賞 | 全日本空輸株式会社 |
準大賞 | 日本航空株式会社 |
ベーシックアチーブメント 大賞 | デロイト トーマツ グループ |
ベーシックアチーブメント 準大賞 | SGホールディングス株式会社 |
個人賞:
経営者アワード | イオン株式会社 取締役 兼 代表執行役社長 グループCEO 岡田 元也 様 |
リーダー・アワード | デロイト トーマツ合同会社 パートナー グループダイバーシティ担当 公認会計士 林 敬子 様 |
「2019 J-Winダイバーシティ・アワード」企業賞
【アドバンス部門】
大賞 :全日本空輸株式会社
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代表取締役社長 平子 裕志 様 |
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<授賞理由> 2015年「ANAグループ ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を策定して以来、経営トップのメッセージは明確で、一貫した力強い推進を継続している。加えて、ダイバーシティ推進体制を構築し、様々な取組を実施検証し横展開することで、複数の女性役員を輩出するなど短期間で確実な実績に結び付けている。男女役割分担意識のあった職種に、女性あるいは男性の活躍の場を増やすなど、職域の拡大も意識的に行われており、今後の進化が期待される。 特に評価された施策・取組は、次の通り ●経営トップのコミットメントと強力な推進体制 -女性取締役をトップに置いたANAグループ「女性活躍推進体制」構築と グループ人事労務部長との連携強化による運用 -女性役員を含む各層の女性登用に関する明確な数値目標設定 -上位職への女性育成のための女性管理職ネットワーキング(ANA-WINDS)の 仕組み化と活用 ●男性の意識改革 -経営トップから各職位までの意識変革 ・経営トップおよび部長層のイクボス宣言を全社員にイントラネット配信 ・男性社員の育児休暇取得率100%を目標に設定 -ダイバーシティ&インクルージョンフォーラムの開催(毎年) ・役員、ミドルマネジメント、男性管理職中心に参加 ●働き方の変革 -部室長対象の業績評価型「ANA's Wayアンバサダー制度」の新規導入による風土改革 ・約60の間接部門の部室長対象、部室長が行動することで働きやすい職場風土改革 に繋げる ・社員満足度評価スコアの大幅向上 -「カイゼン」推進の全社展開 ・「カイゼン」標準作り、ムリ・ムラ・ムダの排除とデジタル化による時間創出により 価値創造への環境づくり |
「2019 J-Winダイバーシティ・アワード」企業賞
【アドバンス部門】
準大賞 :日本航空株式会社
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人財本部 部長 福家 智 様 |
<授賞理由> 人財戦略を経営戦略の要に据え、経営の明確な意志として目標を掲げるトップダウンと、グループ横断ネットワークのボトムアップで全社一体となった女性活躍の推進を行っている。加えて、ライフイベントに対応した取組を仕組み化することで、女性の活躍が拡大している。また、正確な分析をもとにした女性リーダー輩出に対する課題認識を持ちつつ、目標達成に果敢に挑戦しており、今後の発展が期待される。 特に評価された施策・取組は、次の通り ●経営トップのコミットメントと強力な推進体制 -経営トップのコミットメント「私の考えるダイバーシティ」を発信 -クロスファンクショナルチーム「JALなでしこラボ」に代表されるボトムアップ活動 ・D&I研究、提言を具現化するラボプロジェクト ・グループ各社が連携して女性活躍推進法に基づく行動計画を策定・推進する グループプロジェクト ●女性の育成と登用 -人財確保および定着とキャリア継続への取組 ・職域を超えた人財配置、ジョブリターン、ワークアゲイン人財(※)採用 ・早期復職支援、休職制度の拡充(配偶者転勤同行休職など) ※育児や介護などを理由に、一度仕事から離れた女性 -個の育成と登用に対する取組 ・リーダー勉強会、自律型リーダーの育成(JAL OODA活動の浸透) ・人事評価制度の見直し(印象評価の排除と評価を育成につなげる仕組みを構築) ●ワークスタイル変革 -時間と場所にとらわれない働き方の実現 ・短日数乗務制度、テレワーク制度、コアタイムなしフレックス制度、 ワーケーション(休暇中に一部業務を行う働き方) -業務の可視化と定型業務のRPA化による業務プロセスの改革 |
「2019 J-Winダイバーシティ・アワード」企業賞
【ベーシック部門】
ベーシックアチーブメント 大賞 :デロイト トーマツ グループ
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CHRO 浜田 健二 様 |
<授賞理由> 「Inclusiveな風土を醸成し、誰もが認めるD&I推進企業」実現のために、グループCEOの力強いリーダーシップのもと、グループ内の主要法人トップが積極的に関与する推進体制を構築している。専門職集団という業界において、パイプラインも限定されている中、経営意思決定の場における女性登用を着実に進めている。D&Iをグループの重点課題に掲げ、一貫した施策を展開することで、Inclusiveな職場環境が実現しつつある。この力強く、地に足の着いた取組により一層の推進が期待できる。 特に評価された施策・取組は、次の通り ●経営トップのコミットメントと強力な推進体制 -トップマネジメント層の多様性強化 (女性ボード議長を含むボードメンバー女性3名、監査法人の執行役1名) -登用・評価関連会議でのKPI・数値目標の確認およびモニタリングの徹底 -全社員・職員を対象としたInclusion研修の実施 -第23回国際女性ビジネス会議など、社外に働きかけるカタリスト(触媒)の役割を担う ●働き方の柔軟性・多様性(組織風土の課題への対応) -長時間労働撲滅、休暇取得促進による早急な現場改善 -上位者からの変革を推進するため、全役員が働き方改革を宣言 -ワークライフバランスの取りやすい職場実現のため、在宅勤務等のテレワークの拡大 -多様なキャリア促進を目指し、フロントビジネス間のJobポスティングスキームを構築中 ●ワークライフマネジメント(サポート制度の課題への対応) -企業内保育園を2018年4月に開園(日本のBig 4では初) -働き方や育児・介護支援における制度やサービスを整備 ・在宅勤務制度、シッター利用料補助制度、育児コンシェルジュなど ●若い世代に対する意識醸成 -女性を対象としたリクルーティングイベントを開催 -採用ブランディングの強化(活躍する女性職員を紹介するビデオの作成) |
「2019 J-Winダイバーシティ・アワード」企業賞
【ベーシック部門】
ベーシックアチーブメント 準大賞 :SGホールディングス株式会社
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取締役デリバリー・ロジスティクス事業担当 兼 佐川急便株式会社 代表取締役社長 荒木 秀夫 様 |
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<授賞理由> トップの強力なコミットメントのもと、「収益の30%を女性が担う体制の確立と企業文化や業界の地位向上」に向けて、「わくわくウィメンズプロジェクト」を軸にグループ一丸となって持続的にダイバーシティ&インクルージョンを推進している。男性中心の業界で女性活躍に先駆的に取り組み、労働環境の整備、職域拡大・管理職登用、女性参画のビジネス展開など一歩踏み込んだ施策を実施している。加えて男性の意識改革にも取り組んでいる。これらの継続的な取組から今後さらなる推進が期待できる。 特に評価された施策・取組は、次の通り ●経営トップのコミットメントと強力な推進体制 -「わくわくウィメンズプロジェクト」 (女性活躍推進のためのグループ横断プロジェクト)の立上げ -グループ各社のトップを責任者に任命することで、強力なグループ横断型の D&I推進体制を構築 -女性発案のビジネス創出等の取組を表彰する「わくわくアワード」の創設 -女性の育成への経営層の積極的な関与 ・メンタリング、女性を対象とした研修や社内イベント時のメッセージ発信 -経営層の評価にダイバーシティの項目を含める ●女性が働きやすい労働環境の整備 -ライフスタイルに適したビジネス構造への変革により、短時間勤務の集配業務を 可能にする -女性の扱いやすい車両や工具などの開発により、ドライバー、整備士への女性の 職域拡大 -事業所内保育園の開設により、育児中の社員の柔軟な働き方の実現 ●男性の意識改革 -管理職対象ダイバーシティフォーラムの実施(毎年) -会長、社長、事業会社社長、佐川急便全支店長が「イクボス宣言」表明 |
「2019 J-Winダイバーシティ・アワード」個人賞
経営者アワード :イオン株式会社 取締役 兼 代表執行役社長
グループCEO 岡田 元也 様
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取締役 取締役会議長 横尾 博 様 |
<授賞理由> 「日本一女性が働きやすく活躍できる会社。日本一女性が働きたい会社」を目指し、女性管理職比率2020年50%という高い目標を掲げ、内外に示し、長期にわたり緩めることなく女性活躍を推進している。グループ企業70社にダイバーシティ推進責任者と担当者を200名体制で配置。ダイ満足(ダイバーシティ推進)活動を広く展開するとともに、制度改革も実施。グループ女性管理職比率を大幅に上昇させるとともに、新規事業への女性社長の抜擢などの実績もあげており、ダイバーシティ推進に対する決意と取組は、称賛に値する。 |
「2019 J-Winダイバーシティ・アワード」個人賞
リーダー・アワード :デロイトトーマツ合同会社 パートナー
グループダイバーシティ担当 公認会計士
林 敬子 様
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<授賞理由> ダイバーシティ&インクルージョン担当就任の当初より女性が活躍できる環境づくりに注力し、制度の新設・改定やネットワーク構築など、グループ一体で取組を進める状況をつくりだし、女性活躍推進に多大な貢献をした。 また、女性公認会計士のネットワーク作りの支援や研修会等、社外における推進活動にも大きく貢献している。業界の女性活躍推進のパイオニアであり、自身もロールモデルとして女性の活躍を支える存在で、社内外で発揮されるリーダーシップは、称賛に値する。 |
■審査委員長講評
樋口 恵子 氏 東京家政大学名誉教授
ようやく時代が、「J-Winダイバーシティ・アワード」に追いついてきたと痛感しました。
入管法の改正に関する賛否はそれぞれあるとしても、日本が労働経済の上で「第二の開国」を迎えていることは事実です。ダイバーシティの基本の基をすすめてきたJ-Winの活動こそ日本社会の活動の原型です。
ことし、これまでと少し変わった、女性の活躍があまり目立たなかった企業からファイナリストが登場したことは、まことに嬉しいことでした。視点を変えれば、女性の活躍が期待できる新天地が広がります。また「常連」のファイナリスト企業がまた一段も二段も階段を上がっている様子が視覚化され、心強い限りでした。
そのトップの言われたことばが印象に残っています。「ダイバーシティは、視覚化見える化できますね。インクルージョンはそれがむずかしい。しかし自分の持ち味を出し合って、全体の質を高める、それを体感する楽しさでしょうか」
そうです。仕事をする場が、努力して自分を高め変えることが、社会の正義に叶うことであるように、その中に身を置くことが、わくわく感に満ちた楽しい愉快な場となること、その大切さを改めて感じた次第です。D&Iは社会全体の正義の基盤です。
なお、企業賞における第一次審査の結果、D&I推進の実績と取組状況が進んでいることが伺え、
先行企業として模範となる企業(ファイナリスト)は、以下の通りです。 (企業名 50音順)
【アドバンス部門】 ・イオン株式会社 ・全日本空輸株式会社 ・ソニー株式会社 ・株式会社千葉銀行 ・日本航空株式会社 |
【ベーシック部門】 ・SGホールディングス株式会社 ・株式会社ジュピターテレコム ・デロイト トーマツ グループ ・株式会社ベルシステム24ホールディングス |
以上