2019年10月16日(水)に「2019年度 第7回ダイバーシティ推進責任者会議」を機械振興会館にて開催しました。

ダイバーシティ＆インクルージョン推進の参考になる情報を広く発信する目的で、会員企業のエグゼクティブの方の講演と、J-Win事務局より今年度のJ-Winの活動(女性ネットワーク／企業支援)の中間報告、「2020 J-Winダイバーシティ・アワード」の開催概要・募集要項などの説明を行いました。

■講演

「2018 J-Winダイバーシティ・アワード」にてベーシックアチーブメント準大賞を受賞され、女性のトップを輩出されたEY新日本有限責任監査法人様の推進活動について、トップ自らお話しいただきました。

以下に講演の様子をダイジェストでご紹介します。
(＊肩書き等は講演当時のものです。)

●変化の激しい環境だからこそ、女性トップとして自分が象徴になる

自分のキャリアのスタートは、上司の後押しで異動を経験したことです。仕事の幅や視野を広げるチャンスだと前向きに捉えることができるようになりました。きっかけは何であれ、新しいことへのチャレンジは自分の可能性を広げ、成長に繋がりますので、新しいことに躊躇しないで経験してほしいと思います。

「力の強い人ではなく、常に物事をポジティブに考える人がトップにふさわしい」とEY Japanを統括していた当時のトップの言葉が印象に残っています。その言葉から私らしいリーダーシップスタイルもありではないかと思うとともに、世の中の変化が激しい今だから、女性である自分の方が組織に変革を起こせるのではないかと思い、立候補してトップになりました。

女性のトップがまだまだ珍しいこともあり、メディアに取り上げられることも多いのですが、改めて日本の女性活躍の現状が遅れていることを認識しています。トップになって良かったことは、トップの世界は楽しいということ。多くの経営者から刺激を受け、若い人にその楽しさを伝えて育成する楽しみがあります。一方、トップになった今の方がオールド・ボーイズ・ネットワークを感じることがあります。男性ならではのネットワークや阿吽の呼吸があり、色々な場面で、暗黙の内にコンセンサスができています。コンセンサスを取るべき人が検討時に入っていないときは、もう一度検討してもらうように常に気を付けています。

●監査法人のD&I推進

変化の激しい環境では、あらゆる角度から物事を考えるチーム構成にし、新たな気づきや斬新なアイデアを出していく必要があります。EYのグローバルの中で女性の管理職比率は、日本と韓国が常に最下位を競っている状態です。部長職の女性比率は欧米が30％、タイ・マレーシアが80％に対し、日本は7.5％であるため、より積極的に女性活躍を推進していきます。

女性活躍推進のキーワードは「増える」、「続ける」、「伸びる」です。公認会計士を希望する人を増やし、公認会計士試験の合格者女性比率を現状の20％以上に上げていくことで、働く女性の裾野を拡大します。働き方・時間・場所など、選べる環境整備を行い継続就労に繋げる一方で、女性の3層ネットワークを作り、女性が働き続ける取り組みを行っています。具体的な取り組みのひとつとして、スポンサー制度を導入し個別に成長支援を行っています。事業部長クラスをあえてスポンサーとすることで、対象の女性が昇格していかないプレッシャーを感じてもらうことで、何より事業部長の意識が変わりました。

評価についてのアンコンシャスバイアスは仕組み化することで解決していきます。要件を満たしている女性は昇進面談に必ず全員進ませ、評価についてもなぜその評価になったかを明確にしています。機会には下駄を履かせますが、評価は公正に見ます。地道に継続してチェックしながらやっていくしかないと思っています。 一方、日常の業務はしっかりやるが、管理職として責任を負うのは希望しないという人もいます。また、制度に対する甘えも解決しない課題の一つです。組織としてルーチン業務を担う人は必要ですが、顧客ニーズの変化に対応することを望みます。本人自身も5年後、10年後輝いていられるか、成長することを目指して欲しいと思います。

最後に、2018年のJ-Winダイバーシティ・アワードの受賞で、取引先など社外の見る目が変わりました。それ以上に、「ウチはこんな活動をやっていたのか」と社内の意識が変わったのが大きかったです。顧客からも高い品質が求められており、今後もD&Iを進めることで多様性に富んだしなやかで強い組織にしていきたいと思っています。


＜参加者のアンケートコメント抜粋＞
　－実体験で身近なこともあるので、リアルで分かりやすい内容でした
　－具体的な質問にも回答いただいて、制度評価への考え方等非常に参考になりました
　－トップがここまでD&Iに真剣に取り組んでいらっしゃるのがうらやましく思いました


■ダイバーシティ アセスメント 「2020 J-Winダイバーシティ・アワード」募集開始

2008年より毎年実施し、今年で１3回目を迎える「2020 J-Winダイバーシティ・アワード」の募集を開始しました。「J-Winダイバーシティ・アワード」は、D&I推進の進捗度を数値化して絶対評価するアセスメントと、推進状況の相対評価により表彰を行うコンテストの2つの側面を持っています。詳細を確認の上、D&I推進の取り組みを加速していただくツールとしてぜひ活用ください。

【ダイバーシティ アセスメント「2020 J-Winダイバーシティ・アワード」　実施要領】