「2016年度 第1回 J-Winダイバーシティ推進責任者会議」が、4月27日(水)にTKP市ヶ谷カンファレンスセンターで開催され、77社から107名が参加しました。J-Winが展開する3層のネットワーク活動の中で、今期より新体制をスタートしたJEN(J-Win Executive Network)の役割や位置づけ、活動方針を内永理事長が説明。事務局からは、今年度の女性メンバーネットワーク(6期)とNext Stageの活動方針をそれぞれ発表しました。
また、「2016 J-Winダイバーシティ・アワード」における、 応募企業全体のD&I推進の進捗状況、受賞企業4社の取組み施策なども共有されました。
ここでは会議の内容をダイジェストでご紹介します。
◆2016年度JEN新体制について
NPO法人J-Win
理事長 内永ゆか子
J-Winでは女性リーダーの育成を目指し、3層のネットワークによる活動を行っています。最初の一年は、キャリアアップ意識の確立やリーダーマインドの醸成など、" Switch-On!"することを目的とする「女性メンバーネットワーク」、次に、リーダーとしての自覚とスキルを身に付け、企業人としてさらに"Gear up!"することを目的とした「Next Stageネットワーク」、そして、エグゼクティブとしてさらに自己研鑽を積み、後進の育成にも貢献することを目指す「JEN(J-Win Executive Network)」へとつながっています。
特に今年度は、女性のキャリアアップを支援するという活動目的をより明確化するために、ネットワークの最上部に位置するJENを新たな体制でスタートしています。JENの活動においては、女性がキャリアアップしていく中で、必要なマインドや知識などをしっかりと身に付けていく3層のネットワークのトップとして、後進となる他の2層の女性メンバー達に経験を"Give back!"していただくことも期待しています。今後は、3層合同での幹事会や、ネットワーク戦略会議を実施するなど、縦の連携を更に強化していく予定です。
J-Winならではの3層の女性ネットワークを相互に連携させて活動していくことで、会員企業の中で活躍する女性リーダーを育てていくことに、一層のスピード感をもって貢献していきたいと思っております。
◆2016 J-Winダイバーシティ・アワード 総括について
2016 J-Winダイバーシティ・アワードは、例年を大幅に上回る71社もの企業から応募がありました。その内訳はベーシック部門53社、アドバンス部門18社で、製造業とサービス・流通業がそれぞれ32%を占めています。昨年応募した企業の80%から今年も応募いただくなど、継続的な取り組みとして定着しています。
J-Winでは、各企業の登用や採用などの実績と、D&I推進に係る取り組み施策の状況により、スタートアップの段階である「ステージⅠ」と、展開・発展の段階である「ステージⅡ」のどのレベルにあるか、各企業のD&I推進状況を測っています。本年度の応募企業のデータを分析した結果、全体の5割の企業がステージⅠのL2(推進体制が整い、PDCAを回し始める段階で、実績は限定的)でした。全体の2割弱の企業が、ステージⅡのL4(社員の理解が進み、意識・行動に変化が現れ、実績が出ており、女性管理職輩出のパイプラインが形成されつつある段階)であり、組織風土が形成され、女性リーダーが継続的に輩出されているL5に進んでいる企業は1社もありませんでした。
具体的な実績として、女性役員が1人以上いる企業は応募企業の70%強に及び、社外取締役を中心に女性役員の登用が進んではいるものの、まだまだ全役員に対する女性比率は5.2%と低い状況にあります。管理職(課長職・部長職)における女性比率も8.6%と低く、過去3年の年平均伸び率は9.4%であり、2015 J-Winダイバーシティ・アワードでの伸び率11.6%からむしろ鈍化している傾向も見られました。一方、採用に関しては、女性比率が3割を超え、在籍の女性社員比率を10ポイント上回っており、男女同数には達しないまでも、積極的な採用が行われているようです。
J-WinではD&Iを推進する上で重要な活動として、以下に示す8つの領域に関する施策を推奨しており、その取り組み状況でもD&I推進の進捗状況を把握しています。
●J-Winが提唱する重要8領域
1.経営トップのコミットメント
2.D&I推進実行体制
3.管理職のアカウンタビリティ
4.女性の育成
5.女性の意識改革
6.働き方の変革
7.業務プロセス・評価プロセスの見える化
8.組織風土の変革
この8領域においての各企業の進捗度合いは、各レベルにより差があり、各領域の取組施策は他の領域に波及するので、レベルが上がるほどに8領域すべての取り組みがバランスよく実施されている状況であるとことが表れています。施策を継続的に、確実に行うことでD&I推進が進み、実績に結びついていますが、取り組みが全体的に進んでいるL4のレベルにおいても、まだ働き方変革に関する施策が他の領域に比べて若干弱いことが分かります。また、L2レベルの企業群においては、女性の意識改革に関する施策への取り組みが遅れています。
資料: 2016ダイバーシティアワード総括.pdf