2022年3月11日(金)に「2022 J-Winダイバーシティ・アワード」授賞発表を行い、同日にオンライン開催された「2021年度 NPO法人J-Win拡大会議」にて表彰式を執り行いました。
「J-Winダイバーシティ・アワード」には、企業におけるD&Iを推進し、女性リーダーを継続的に輩出している先進企業を表彰する「企業賞」と、企業においてD&I推進と定着に顕著な貢献をした個人を表彰する「個人賞」があり、
2022 J-Win ダイバーシティ・アワードを受賞した企業賞の4社と、個人賞の2名、各授賞理由及び 審査委員長の講評を以下にご紹介いたします。
*企業名・肩書などは受賞当時のものです。
【発表資料(ニュースリリースPDF)
企業賞:
準大賞 | 日本アイ・ビー・エム株式会社 |
準大賞 | 株式会社ベルシステム24 ホールディングス |
ベーシックアチーブメント 大賞 | 株式会社日立ハイテク |
ベーシックアチーブメント 準大賞 | 三井住友信託銀行株式会社 |
個人賞:
日本アイ・ビー・エム株式会社 代表取締役社長執行役員 山口 明夫 様 | |
リーダー・アワード | EY Japan Consulting パートナー 佐々木 惠美子 様 |
<授賞理由>
D&I推進に継続して取組み、進化させてきた同社にあって、女性活躍推進への取組が停滞する時期もあったが、現経営トップの就任後、D&I推進のプライオリティを上げ、推進活動を加速させている。経営トップ自らが社員の生の声を聞き、スピーディーに施策を立ち上げ実施へと移行させている。また、企業内における女性活躍推進のカウンシルやコミュニティ活動において、課題分析や施策の提言・実行を行い、ボトムアップによりD&I推進活動をさらに進化させている。今後意思決定層への女性登用がさらに加速することが期待される。
特に評価された施策・取組は、次の通り
●経営トップのコミットメント
― 経営トップが就任時にIBMの「機会均等に関するポリシー」に署名し、社員はいつでも
トップのコミットメントを閲覧可能な状態としている。
― D&Iは企業が持続的に発展していく上で必要なイノベーションを起こすための重要な
要素であることに加え、企業経営が厳しい状況であってもD&Iの目標や優先順位を
変えず取組むべきという姿勢を、経営トップが発信し続けている。
― 経営トップが常に社員の生の声を聞き、共に課題を解決していく姿勢が社内に
浸透している。
●女性活躍推進のためのカウンシル・コミュニティ活動
― 社員自身が現状把握・課題分析を行い、施策の提言や実行を行い、
変革するカルチャーが根付いている。
― JWC(Japan Women's Council)
女性営業職・コンサルタント職のカウンシル
2019年から男性社員も活動に参加
― COSMOS
女性技術者・研究者のコミュニティ
●女性管理職育成プログラム「W50」
― 管理職を目指す女性社員数の伸び悩みを背景に、役員のもとでリーダーシップを
育成する1年間のプログラムを2019年から導入。スキル育成、マネジメントの疑似体験、
社内外のネットワーク構築、スポンサーシップなど。
― 2019年メンバーの約6割、2020年メンバーの約3割が部下を持つ管理職に昇進。
<授賞理由>
多様なバックグラウンドを持つ人材を活用し、女性活躍を企業戦略として位置づけている。経営会議において事業本部毎の育成目標と実績を公開し事業本部単位でのD&I推進活動の活発化を図っている。また、各事業本部から変革のコア人材となる男性管理職が参画してネットワーク活動を行い、男性の意識改革にも取組んでいる。今後さらに高い女性管理職輩出目標を掲げ、意思決定層への女性登用が加速されることが期待される。
特に評価された施策・取組は、次の通り
●全社D&I推進体制
― 経営層のリーダーシップとダイバーシティ推進グループ、事業本部社員参画型
全社横断プロジェクトにより全社体制でD&Iを推進。
●トップダウンによる女性活躍推進
― 新たな社内目標として2024年までのストレッチした管理職比率目標を再設定。
― 経営会議において事業本部毎の育成目標と実績を公開、比較。
― 役員メンター制度の対象者数を倍増。
●管理職の意識改革
― 部下の女性社員の育成プラン作成を業績評価目標に記載。管理システムにより
育成状況の可視化・共有。
― 各事業本部からの変革のコア人材による男性管理職ネットワーク活動を実施。
女性活躍推進を活性化し、管理職に対する意識向上施策を自ら企画推進。
●女性の意識改革・育成
― 上級管理職候補女性選抜ビジネス力強化研修。
― 女性役員・上級役職者によるラウンドテーブル。
― 外部キャリアメンタリング。
<授賞理由>
経営トップが社員との対話を積極的に行い、「経営戦略としてのD&I推進」を自らの言葉で説き、D&Iの浸透を図っている。全社ダイバーシティ推進ワーキンググループと拠点毎のダイバーシティ推進組織による全社体制でD&Iを推進している。新卒女性採用比率KPIを設定し、着実に女性社員を増やし、2030年度女性管理職比率を2020年度女性社員比率と同等とすることを目標とし、取り組んでいる。女性活躍推進の課題を階層毎に設定し、各種施策に取り組み、パイプラインの拡充を加速しており、今後、女性管理職の輩出実績が高まることが期待される。
特に評価された施策・取組は、次の通り
●経営トップのコミットメントとD&I推進体制
― 「経営戦略としてのD&I推進」を経営トップ自らの言葉で語る機会として、
社員との対話を積極的に実施。
― 役員会議にて、四半期に1回程度、D&I推進について議論し、施策立案、
計画見直し等のPDCAを実施。
― 全社ダイバーシティ推進ワーキンググループと拠点毎のダイバーシティ推進組織
による全社体制で推進。
●女性社員の育成
― 役員・本部長候補の育成
意思決定層への積極的な女性登用に向け、選抜教育、タフアサインメント、
外部評価等の本部長以上候補者育成プログラムを実施。
●男性社員の意識改革
― 男性育休100%をめざす「全力育児応援プロジェクト」の実施。
(2021年12月実績:取得率84%、平均取得日数17.4日)
<授賞理由>
経営トップが、「D&Iは多様な社員の相互作用で独自の付加価値を創出する源泉である」とのメッセージを繰り返し発信し、強いリーダーシップを発揮している。人事部と各事業統括部の両輪でD&Iを推進している。2030年女性店部長比率30%という社内目標を設定し、その実現のために、役員が主体的に女性育成を行うサポーター役員制度を導入し取組み始めた。目標達成に向けて、さらなる女性活躍推進の加速が期待される。
特に評価された施策・取組は、次の通り
●経営トップのコミットメント
― 「多様な社員の相互作用で独自の付加価値を創出する源泉である」というD&I推進は
自社のDNAであるという考えを社員に繰り返し発信している。
― 人事部(D&I推進室)と各事業統括部の両輪でD&Iを推進。
― 2030年女性店部長比率30%という社内目標を設定。
●女性の育成
― サポーター役員制度の導入。(2021年10月~)
対象者は、将来の役員、店部長候補の女性社員。(調査役以上)
初年度40名、来年度60名、3年で累計160名の規模を予定。
●男性の意識改革
― 男性育児休業100%は2019年達成し定着。
「男性育児休業1ヶ月取得」の推奨に向けて環境整備と制度の見直しを実施。
<授賞理由>
企業経営が厳しい状況であってもD&Iの目標や優先順位は変えるべきでないという考えの下、経営トップからのメッセージを発信し続け、推進活動を加速させている。常に社員の生の声を聞き、共に課題を解決していく姿勢が、社内に浸透している。このD&I推進への強い思いと、スピーディーに変革し続ける実行力に敬意を表する。
<授賞理由>
DE&Iリーダーとして、リーダーシップと熱意をもってDE&Iを推進している。社員やコミッティメンバーとの対話を通じて、必要とされる各種推進施策を経営層に提言し、自ら実現をリードしている。具体的に、マネジメント会議の多様性の促進を実現させている。このダイバーシティ推進への熱意と実行力に敬意を表する。
■審査委員長講評
井上 詔三 氏 早稲田大学総合研究機構 招聘研究員 (トランスナショナルHRM研究所)
「2022 J-Win ダイバーシティ・アワード」の第二次審査は、昨年に続き全てリモート(Zoom)で行われた。
終わりの見えない感染爆発で暗雲に覆われた経営環境ではあるが、「アワード」応募企業数はここ数年一定数を維持している。会員企業のD&I推進活動へのコミットメントの強さを窺わせる。特筆すべきことに、応募はJ-Winへの新規入会または入会3年以内の企業が目立つ。審査結果についてのJ-Winからのフィードバックを踏まえて、D&I推進体制が効率よく築きあげられていくに違いない。
アワード授賞企業が取り組んだ重点課題は何か、課題を生んだ根本原因は何か、どのような解決策をとったかは学ぶ好事例となろう。ダイバーシティ推進責任者会議の場などで経験交流の題材としてもらいたい。
今年度のアドバンス部門では大賞が出なかった。J-Winからの助言を活用して、より一層D&I推進のギヤを上げてもらいたい。
次回の「アワード」審査で格段に進展した会員企業に再会することを楽しみにしている。
なお、企業賞における第一次審査の結果、D&I推進の実績と取組状況が進んでいることが伺え、先行企業として模範となる企業(ファイナリスト)は、以下の通りです。
(企業名 50音順)
【アドバンス部門】 ・EY Japan ・日本アイ・ビー・エム株式会社 ・株式会社ベルシステム24 ホールディングス ・株式会社りそなホールディングス |
【ベーシック部門】 ・アズビル株式会社 ・エーザイ株式会社 ・株式会社日立ハイテク ・三井住友信託銀行株式会社 |
【「2022 J-Winダイバーシティ・アワード」詳細はこちら】