2018年3月2日(金)、「NPO法人J-Win 2017年度拡大会議」(於:ホテルイースト21東京)にて、「2018 J-Winダイバーシティ・アワード」の表彰式を行いました。
「J-Winダイバーシティ・アワード」は、ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)を推進している先進企業を表彰することで、日本企業におけるD&I推進を加速することを目的として、2008年より毎年実施しているものです。
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表彰式では企業賞受賞4社、個人賞受賞2名を発表し、J-Win内永理事長より表彰状及びトロフィ―を授与。各受賞者のスピーチと、審査委員長の講評スピーチが行われました。
以下に授賞理由と表彰式の写真、および審査委員長 樋口 恵子氏(東京家政大学 名誉教授)の講評を紹介いたします。
*企業名・肩書などは受賞当時のものです。
企業賞:
大賞 | アフラック |
準大賞 | サントリーホールディングス株式会社 |
ベーシックアチーブメント 大賞 | 全日本空輸株式会社 |
ベーシックアチーブメント 準大賞 | 新日本有限責任監査法人 |
個人賞:
経営者アワード | 日本航空株式会社 代表取締役社長 植木 義晴 様 |
リーダー・アワード | アフラック 専務執行役員 営業・マーケティング部門統括担当 有吉 浩二 様 |
「2018 J-Winダイバーシティ・アワード」企業賞
【アドバンス部門】
■ 大賞:アフラック | |
日本における代表者・社長 古出 眞敏 様 |
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<授賞理由> 「活力ある企業風土の醸成」実現のために、経営トップのリーダーシップのもと、トップから各部門に至るまで、PDCAを回す強固な推進体制を短期間で整え、多くの施策を実施し、意思決定を行う管理職層における女性リーダー輩出を心がけている。加えて、各部門における推進状況の偏りがなく、自主的な活動へと進化しており、さらなる発展が期待できる。 特に評価された施策・取組は、次の通り ●経営トップのコミットメントと強力な推進体制 -高水準な数値目標公表(2020年末までに指導的立場に占める女性の割合を30%以上 2025年にライン長ポストに占める女性の割合を30%以上) -日米経営陣のコミット(Aflac Women in Leadership Global Conference 共同宣言) -タウンホールミーティング全国開催、ダイバーシティ・ラウンドテーブル ●強化層に集中したメリハリの効いた施策実行 -強化層女性社員(課長代理)へ集中した施策実施 ・役員を巻き込み育成計画策定、キャリアプラン研修・面談など -営業部門の女性パイプライン拡充 ・ロールモデルの組織化、経験の拡充・人脈の構築(一時転勤制度など) ●働き方の変革 -一人ひとりが業務特性やライフイベントに応じた柔軟な働き方を選択 ・在宅勤務、サテライトオフィス(首都圏8か所)、モバイルワーク、フレックス勤務・シフト勤務 |
■ 準大賞:サントリーホールディングス株式会社 |
執行役員 人事部長 神田 秀樹 様 |
<授賞理由> 創業の精神のもと、多様性がイノベーションの源であると明確に宣言し、ONE SUNTORYとして一体となってD&Iを推進している。女性ネットワークの構築や柔軟な働き方など企業の風土改革を推し進める中で、社員それぞれが、立場、職位、性別などの違いを活かして、お互いが自発的に行動しており、さらなる進展が期待できる。 特に評価された施策・取組は、次の通り ●女性リーダーの育成・登用にむけた取組 -柔軟な働き方と育休前・中・後の両立支援 ・テレワーク(10分単位で設定可能)、フレックスタイム(コアタイムなし) ・期中復職と早期フルモード化、それを支えるマネジメント層の意識改革 -S(サントリー)流パイプラインの確立 ・部長職から役員の継続的輩出(女性リーダー・フォーラム) -部門間格差の解消(営業部門、生産研究部門) ●男性の意識改革 -職場・上司を巻き込んだ活動「ちちおやガイダンス」 -一人ひとりの考動革新 ●働き方の改革の強化 -IT活用を軸としたビジネスプロセス再構築のさらなる推進 ・高性能TV会議利用による遠距離コミュニケーション、テレワークの利用促進 -働き方改革推進リーダー制度により改革をスピードアップ -ナレッジ創出・展開の強化により、好事例を素早く横展開 ・サントリー働き方改革ナレッジサイト「変えてみなはれ」 |
【ベーシック部門】
■ ベーシックアチーブメント 大賞:全日本空輸株式会社 |
代表取締役社長 平子 裕志 様 |
<授賞理由> グループ行動指針「ANA's Way」のもと、「ANAグループダイバーシティ&インクルージョン宣言」を発信し、経営トップの強い覚悟とリーダーシップで、グループ全体を巻き込んだ推進体制を整え、経営層から管理職、現場の社員に至るまでダイバーシティの価値を受け入れる組織風土を醸成している。加えて、多様な職種にICTを活用し、働き方や組織風土の変革に積極的に取り組んでいる。力強い取組により一層の推進が期待できる。 特に評価された施策・取組は、次の通り ●経営トップのコミットメントと強力な推進体制 -ANAグループ ダイバーシティ&インクルージョン宣言 -経営層全員が率先してD&I推進の価値理解と展開(役員会でのワークショップや議論) -グループ全体での推進における課題の把握と解決策実施、各社の女性活躍推進担当者 (35名)との強力な推進体制 ●男性の意識改革 -ダイバーシティ&インクルージョンフォーラムの開催(毎年) ・役員、ミドルマネジメント、男性管理職中心(ANAグループから約200名) -経営トップから各職位での意識変革(イクボス宣言やセミナーなど) ●働き方の変革 -フロントライン(客室乗務員、パイロット、整備士、空港係員) ・ICT活用によるモバイルワークでイノベーションを創出 -デスクワーク ・「いつでも」「どこでも」「どの端末でも」、場所に捉われない働き方を実現するプロセス変革 とマネジメント変革でイノベーションを創出 |
■ ベーシックアチーブメント 準大賞:新日本有限責任監査法人 | |
経営専務理事 人材開発本部長 松村 洋季 様 |
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<授賞理由> 経済環境の複雑化、クライアントニーズの多様化が進む厳しい環境の中で、ダイバーシティを要として、持続的な成長を目指し、さらなる高いサービス品質を生み出すために、全社一丸となってD&I推進に取り組んでいる。その着実な取組から今後さらなる推進が期待できる。 特に評価された施策・取組は、次の通り ●女性リーダーの育成・登用にむけた取組 -働き続けられる環境(制度充実、運用促進) ・複線型勤務制度をはじめとする各種育児支援策の充実と男性の意識改革への取組 ・新日本有限責任監査法人を含むEY Japanの女性約2,000名によるネットワーク WindS(Women's Interactive Network for Dreams and Success) -より高いレベルへの成長支援 ・ライン系(クライアントサービスに従事する)女性職員の選抜プログラムや海外出向などの 育成機会の増強 ●ミレニアル世代を意識した働き方の変革 -労働時間の短縮ではなく、働き方の「質」の変革 -RPA(Robotic Process Automation)の積極的導入により、単純作業を自動化し、 総業務時間を削減。削減した時間を監査品質の向上など付加価値の創造に充当 |
「2018 J-Winダイバーシティ・アワード」個人賞
■ 経営者アワード: 日本航空株式会社 代表取締役社長 植木 義晴 様 |
代表取締役社長 植木 義晴 様 |
<授賞理由> 「全社員の物心両面の幸福を追求する」という企業理念の実現に向け、ダイバーシティ推進を重要な経営課題の一つとして位置付け、明確なメッセージを発信し、自らが推進のエンジンとなり、ダイバーシティ推進を加速させている。加えて、社長直轄のクロスファンクショナルチーム「JALなでしこラボ」を始動させ、グループ一丸となった女性活躍推進の拡大・浸透を進めている。その強い覚悟と強力なリーダーシップは称賛に値する。 |
■リーダー・アワード: アフラック 専務執行役員 営業・マーケティング部門統括担当 有吉 浩二 様 |
専務執行役員 営業・マーケティング部門統括担当 有吉 浩二 様 |
<授賞理由> 営業部門の統括責任者として、ダイバーシティ推進の価値を理解し、女性の活躍が困難とされていた営業部門に対して、業務プロセスを可視化するシステムを整備。女性が活躍できる職域拡大の仕組みを構築し、会社全体の持続的な成長につなげている。その行動力とリーダーシップは、リーダー・アワードに値する。 |
審査委員長講評
樋口 恵子 氏 東京家政大学名誉教授
ことしは平昌のオリンピックで、男女ともども日本選手の活躍は目ざましいものでした。女子のチームワークの良さ、国境を越えた友情と思いやり、あくなき向上心に多くの人々が心打たれ元気づきました。間もなくパラリンピックが始まり、ダイバーシティこそ世の光、世の力であることをさらに実感できる年になるでしょう。
この11年のJ-Winの活動によって、D&I活動は、企業社会の主流として根づき、経営戦略として根づいたことを実感しています。政治、行政の動きをJ-Winの活動はつねに先取りしてリードしてきたではありませんか。
この動きは、国際感覚豊かなトップの力強いリーダーシップによって進みました。トップの本気度こそこれからもD&Iの原動力です。同時にことし新たに見えたのは、中堅社員それも男性社員の中に、上から言われるだけでなく自分たちの発想で活動をすすめる例が目立ちました。育児中の父親が自主的に集い「楽しい」と言い、過去の世代の性別分業意識に男性側から終止符を打とうとしています。トップのけん引力と社員みずからの自己変革力、それが重なり合って、変化を実感できることになるでしょう。
なお、企業賞における第一次審査の結果、D&I推進の実績と取組状況が進んでいることが伺え、
先行企業として模範となる企業(ファイナリスト)は、以下の通りです。 (企業名 50音順)
【アドバンス部門】 ・アフラック ・サントリーホールディングス株式会社 ・ソニー株式会社 ・株式会社千葉銀行 ・日本航空株式会社 ・株式会社りそなホールディングス |
【ベーシック部門】 ・SGホールディングスグループ(佐川急便) ・新日本有限責任監査法人 ・全日本空輸株式会社 ・株式会社ゆうちょ銀行 |
以上