2017年3月3日(金)、「2017 J-Winダイバーシティ・アワード」の表彰式が行われました。
企業賞受賞4社、個人賞受賞2名の授賞理由、および審査委員長 樋口 恵子氏(東京家政大学 名誉教授)の講評をご紹介致します。
発表資料はこちら(ニュースリリースへリンク)
企業賞:
大賞 | 株式会社リクルートホールディングス |
準大賞 | 損害保険ジャパン日本興亜株式会社 |
ベーシックアチーブメント 大賞 | 日本航空株式会社 |
ベーシックアチーブメント 準大賞 | 日本たばこ産業株式会社 |
個人賞:
経営者アワード | アフラック 日本における代表者・社長 山内 裕司 様 |
リーダー・アワード | SGホールディングス株式会社 取締役 管理・統制担当 漆崎 博之 様 |
「2017 J-Winダイバーシティ・アワード」企業賞
【アドバンス部門】
■ 大賞:株式会社リクルートホールディングス | |
代表取締役社長 兼CEO 峰岸 真澄 様 |
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<授賞理由> 経営理念にある「個の尊重」の実現に向け、経営トップのコミットメントとグループのシナジー効果を生み出す推進体制により、グループ全体でD&I推進活動が進化、加速している。女性の意識改革や育成、管理職の意識改革、働き方の変革への新たな取組みに加え、全ての多様性への展開など、その活動は社内にとどまらず、社会全体への貢献を目指した新たな挑戦を始めており、今後さらなる発展が期待できる。 特に評価された施策・取組みは、次の通り ● 女性の意識改革および育成への取組み - 経営TOPプロデュース・次世代マネジャー向けスキル講座 ● 管理職の意識改革への取組み - 育ボスブートキャンプ (ワーキングマザーの理解を深める管理職向け研修) ・ 「育児をしながら働く人」の生活体験をきっかけに管理職のD&Iに対する理解促進 ● 働き方変革への取組み強化 - サテライトオフィス ・ 東京近郊に35拠点展開、キッズスペース付きサテライトオフィスの実証実験 - 全ての従業員を対象としたリモートワークを本格導入(*) * 導入企業:㈱リクルートホールディングス、㈱リクルートアドミニストレーション、 ㈱リクルートマーケティングパートナーズ、㈱リクルート住まいカンパニー、 ㈱リクルートコミュニケーションズ ● 社外へのナレッジ提供 - 「子育てしながら働きやすい世の中を、共に創る。」iction!プロジェクト ・ 『タウンワーク』主婦・主夫歓迎の仕事特集や4時間以内勤務等の短時間勤務JOBの創出 (1.5万件以上掲示) ・ 妊娠/出産から職場復帰まで応援する両立支援アプリ「カムバ!」(2万人以上使用) |
■ 準大賞:損害保険ジャパン日本興亜株式会社 |
取締役常務執行役員 伊東 正仁 様 |
<授賞理由> ダイバーシティ推進のスローガン「Diversity for Growth」実現のため、経営トップが強いリーダーシップを発揮して、経営戦略としてD&Iを推進している。経営層の関与に加え、各地の自治体や異業種交流によるネットワークの構築により、女性リーダーの育成強化や管理職の意識改革、時間と場所に捉われない柔軟な働き方など企業の組織風土改革を推し進めており、今後さらなる進展が期待できる。 特に評価された施策・取組みは、次の通り ● 女性リーダーの育成・登用にむけた取組み - 経営層が女性リーダーの育成に直接関与 ・ 女性経営塾(役員候補者向けの選抜型プログラム、受講者累計88名) ・ メンター制度(メンター経験者181名、メンティ経験者367名) ・ プレ女性経営塾(マネジメント層を育成する選抜型プログラム、受講者累計362名) - 地方自治体や各地域での異業種交流による、女性ネットワークを構築 ● 管理職の意識改革 - 社長と部店長のダイバーシティマネジメントに関する直接対話 - イクボスの育成(セミナー、ネットワーキング、異業種交流会、介護との両立セミナー) ● ワークスタイルイノベーション - テレワークとシフト勤務の適用者を全社員26,000人に拡大 ・ テレワーク利用者は前年比約3倍、シフト勤務は約1.5倍 |
【ベーシック部門】
■ ベーシックアチーブメント 大賞:日本航空株式会社 |
代表取締役副社長 藤田 直志 様 |
<授賞理由> JALグループ社員の基盤となる考え方「JALフィロソフィ」のもと、経営トップの強い覚悟とリーダーシップによるトップダウンと、グループ国内全社での数値目標・行動計画の策定・公開や「JALなでしこラボ」をはじめとするボトムアップにより、グループ全体を巻き込んだ推進体制を整え、女性リーダー輩出のパイプライン強化を進めている。女性のみならず、管理職の意識改革をはじめ働き方や組織風土の変革への取組みにより、さらなる推進が期待できる。 特に評価された施策・取組みは、次の通り ● 経営トップのコミットメントと強力な推進体制 - 数値目標の公表(2023年度末までに、JALグループの女性管理職比率20%) ・ 2023年度末までに、JALグループの女性管理職比率20% ・ 2023年度末までに、日本航空における課長職以上の女性組織管理職比率15%以上 - 経営トップとグループ各社のダイバーシティ推進担当者に至る網羅的な推進体制 - 管理職向け研修・フォーラム実施と女性リーダー候補者の育成計画 策定 ● 「JALなでしこラボ」に代表されるボトムアップ - なでしこラボプロジェクト ・ ダイバーシティ推進に関する研究、提言、提言の具現化 ・ 社内外との連携、発信 - グループプロジェクト ・ JALグループ国内全社の現状把握と行動計画策定、進捗管理 - 働き方改革 ・ ワークショップを通した働き方、業務効率化の取組み |
■ ベーシックアチーブメント 準大賞:日本たばこ産業株式会社 | |
代表取締役社長 小泉 光臣 様 |
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<授賞理由> JTグループの持続的成長のため、ビジネスモデルの変革が求められる経営環境のもと、経営トップが経営戦略としてD&Iの重要性を宣言し、強力な信念とリーダーシップのもと、グループ一丸となって短期間で一気に推進している。"働きやすさ"をベースに"働きがい"の実現を目指し、意識改革、成長支援、環境整備の3本柱で女性活躍にとどまらず多様化に取組み、さらなる推進が期待できる。 特に評価された施策・取組みは、次の通り ● 3本柱による多様化推進 - 意識改革 ・ 経営トップのメッセージ発信/管理職の意識改革/社員全体の意識醸成 - 成長支援 ・ CDP(Career Development Program)管理 人財のリスト化、個別CDP管理⇒経営トップによるモニタリング ・ 階層に応じた女性社員の成長支援 - 環境整備 ・ 育児、介護に関する支援施策の拡充 ・ 多様な働き方の実現に向けた拡充 "働きやすさ"の担保/"働きがい"を支援/"働き方を選択" |
「2017 J-Winダイバーシティ・アワード」個人賞
■ 経営者アワード: アフラック 日本における代表者・社長 山内 裕司 様 |
日本における代表者・社長 山内 裕司 様 |
<授賞理由> ダイバーシティ推進を、重要な経営課題の一つとして位置付け、女性活躍推進のための仕組みを構築し、役員以下すべての階層で女性登用の実績を伸展させた。自ら率先して女性の活躍推進に取り組む姿勢は、部門の自発的なD&I推進の活動を誘発するなど、多大な影響力を発揮しており、その強力なリーダーシップは、称賛に値する。 |
■リーダー・アワード: SGホールディングス株式会社 取締役 管理・統制担当 漆崎 博之 様 |
取締役 管理・統制担当 漆崎 博之 様 |
<授賞理由> 「わくわくウィメンズプロジェクト」の統括責任者として、経営層・マネジメント層がプロジェクトに必ず参画する推進体制を構築した。社長や経営層の評価に女性活躍進捗度を入れるなど、各社が主体的にプロジェクトを推進するよう働きかけ、女性取締役輩出につなげた。グループ企業文化の変革のみならず、業界のイメージアップに貢献した行動力とリーダーシップは、リーダー・アワードに値する。 |
審査委員長講評 樋口 恵子 氏 東京家政大学名誉教授
J-Winダイバーシティ・アワードが立ち上がって10周年。私は、最近の7回を担当させていただき、今さらのように、企業のあり方、人間の働き方にこの賞が変化の波頭に立ってきたことを実感しています。今、会社が変わる、社員が変わる、ダイバーシティが進む、人間と社会が変わり、という現場に立ち会えたことを心から幸せに思い、この活動に敬意を捧げます。
今、政府の政策の中心に躍り出た、女性活躍推進法、働き方の改革、育ボスの推進による子育て環境の整備、介護離職ゼロ作戦。みんな女性、ひいては男性、多様な働く人々の能力を生かす土台作りであり、人材確保の要です。かつて、社員の特典と思われた「厚生福祉」が「経営戦略」の最前線に位置づけられているではありませんか。
今回、ファイナリストに残った10社は、それぞれ普遍性も独自性も甲乙つけがたく、各賞ごとに1社を選ぶのは至難の業でした。
共通して変化を感じたのは、トップの方々自身が柔軟な生き方を自らの人生に取り入れておられること、男性管理職の方々から、初期には多少見られたぎこちなさが払拭されて、自然体でD&Iを進めていらっしゃることでした。
今年初め、駐日大使館の女性高官の方から以下のようなお話をお聞きしました。「それまで数回日本に赴任し、直近は2012年だった。来てここは日本かと目を疑った。ベビーカーを押す父親が車内に、路上にこんなに増えているとは」。
長く変わらなかった日本の風景が、今は時々刻々変わりつつあります。
なお、企業賞における第一次審査通過の企業(ファイナリスト)は以下のとおりです。
(企業名 50音順)
【アドバンス部門】
・アフラック
・イオン株式会社
・損害保険ジャパン日本興亜株式会社
・ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社
・株式会社リクルートホールディングス
【ベーシック部門】
・グラクソ・スミスクライン株式会社
・株式会社ジェイティービー
・全日本空輸株式会社
・日本航空株式会社
・日本たばこ産業株式会社
以上