Q)インクルージョンが上手く行っているかどうか、どのように評価すれば良いか。
A)D&IのDとIは切り離せない。多様性(D)を受け入れで、色々なポジションで活躍できるようにすることが(I)。すなわち、「ダイバーシティ推進」という言葉を使ってきたが、インクルージョンの取組を含んでいる。
Q)グローバルでのD&I推進のポイントは。
A)グローバルでの推進は、共通は女性だと思うが、国によって人種などマイノリティが違ってくる。女性は共通なので、まずは女性活躍を指標とすることを推奨する。次にLGBTや人種などあるが、各地域において何がマイノリティかをきちんと捉えることから実施すると良い。
Q)役員メンタリングも導入しており、経営層は理解が進んでいる。30代以下も意識があるが、その間の層の男性の意識改革が進んでいない。中間層のアンコンシャス・バイアスの改善策のヒントが欲しい。チャンスが均等に与えられていないようにも思う。
A)まさしく 粘土層で、チャレンジングな層。全員への教育やセミナーをやっても急な変化は難しいので、何人かチェンジエージェントをつくるのが良い。この人は理解があるというようなキーマンが男性ネットワークにいると、本当に変わる。大人数でなくても良いので、2人でも3人でもそのような人材を作り、岩盤のどこかに穴をあけ広げていくのが良いのではないか。男性ネットワークの定例会では、オールド・ボーイズ・ネットワークの壁を経験された理事や女性ネットワークのメンバーなどから多くのインプットがある。大きな岩盤にダイナマイトを入れて一気に崩すのと同じで、男性は一旦気が付くと、行動力はすごい。半年過ぎるとガラッと変わる。最初から全員を変えようとせずに、チェンジエージェントを作って粘土層を切り崩して欲しい。
Q)D&Iは重点課題のひとつとしているが、経営陣からD&Iの話が一切出ない。経営陣が自分事化していない印象。社長は理解していると思うが、優先度はまだ高くない印象。
A)そのような社長こそ、CEO会議に入って欲しい。投資家はESG、SDGs、特に日本企業のD&Iに注目しており、株価に影響するし、採用でも有効に働く。そのような外圧の影響や効果を社長に見せると良い。あとは評価で表すしかない。社長の評価は難しいが、社長の部下評価に組込むと良い。D&Iを女性の為だと思っている限り進まない、企業の為だと何回も刷り込むと良い。
Q)社内にD&Iを推進させるために効果的な社長メッセージのヒントを頂きたい。
A)自分の言葉で語ってもらうこと。全社メッセージだけでなく、ことあるごとに「君の部門のダイバーシティ推進はどうなっているか」と聞き続けてもらうだけで、役員、部門長などの意識が変わる。役員、部門長も自分事になってくる。