「2020年度 第1回ダイバーシティ推進責任者会議」を5月21日(木)にWEB中継形式にて開催。84名のダイバーシティ推進責任者、担当者、そして人事関係の皆さんに参加いただきました。
ダイバーシティ推進責任者会議のキックオフとなる今回は、新型コロナウイルスの感染を防ぐためJ-Win会議室からのリモート開催です。
会議は内永理事長の挨拶「2020年度活動に向けて」から始まりました。社会を一変させたコロナ渦が女性活躍推進に及ぼす影響について触れ、J-Winが2020年度に取り組んでいく活動目標が発表されました。引き続きJ-Win事務局より、女性ネットワーク活動、D&I推進活動の紹介、そして男性ネットワークからは3分科会の活動報告がおこなわれました。
3分科会の代表者からは、女性活躍を阻む壁「オールド・ボーイズ・ネットワーク」を議論し、それぞれが自分事として受け止め、行動変容へと結びつける対応策の立案、チェンジエージェントとして行動指針などが報告されました。
■ 内永理事長挨拶
●ダイバーシティ推進はイノベーションを起こす企業戦略の要です
皆さんがご存知の通りグローバル・ジェンダー・ギャップ指数で日本は121位となりました。日本でも女性管理職が増えてきたように思われがちですが、世界は企業競争力を高めるために女性活躍が大切であることを理解し、真剣に取り組んできた結果として日本がランクダウンをしています。世界経済は激変しており、新型コロナウイルスの感染拡大がこの変化にも影響を与えてくるでしょう。
これまでのビジネスモデルは通用しなくなり、イノベーティブな発想、新たなビジネスモデルへのチャレンジ、新たな経営戦略へのかじ取りが必要です。多様な考え方を積極的に受け入れること、過去に成功体験を持たない人をデシジョンメイキングのメンバーに加えることが重要であり、その多様性への第一歩となるのが女性活用です。
●女性活躍を阻む3つの問題とアフターコロナ
コロナ対策の一つとして多くの企業がテレワークを導入したことにより、これまでの仕事のやり方が問題点として浮き彫りになりました。チームワークで仕事をおこなうことが多かった日本のメンバーシップ型雇用では、個人の仕事の範囲が不明確で、やるべきことがはっきりしていません。
テレワークの導入により、個人の成果が公平に評価されるジョブ型雇用が注目され、これからの働き方のベースとなっていくことでしょう。
J-Winが考える女性活躍を阻む3つの問題点。仕事と家事/育児のバランスについてはテレワークを体験したことにより、多様な働き方に対する理解を深めることが出来ました。残りの2つの問題、将来像が見えないという女性の意識、モノカルチャーが生み出したオールド・ボーイズ・ネットワークに取り組んでいくことが、より重要となりました。
●女性活躍を阻む3つの問題とアフターコロナ
2020年度のJ-Win活動は2つの大きなテーマを掲げています。
1つが男性ネットワークの強化、オールド・ボーイズ・ネットワークの壁を薄くするための活動をさらに拡大したいと考えています。そのためにトップ自らが発信する「Male Champion of Change」を発足させる準備を進めています。そしてもう一つは、アフターコロナでさらに重要性が増す「女性の意識改革」に向けた活動プログラムの強化です。
ダイバーシティというのは、ゲームを変える、やり方を変える、競争の仕方を変えることであり、それをおこなうタイミングは、まさに「今」となりました。
■ 2019年度男性ネットワーク活動報告
女性活躍を推進するために、男性管理職として課題を考え、今後取るべき具体的な施策や行動を導き出すことを目的とした男性ネットワーク活動。2019年度は職種、年齢、役職が様々な男性メンバーに参加いただき、定例会のほかに3つの分科会に分かれ、各チームの自主的な運用で活動してきました。女性活躍を阻む「オールド・ボーイズ・ネットワークを考える会」をOB組織として新たに発足しようとする提案もあり、男性ネットワークは重層的にその活動の場を広げていきます。
●チーム名:e-quality
佐川急便株式会社 犬塚 雅彦 氏
e-qualityでは、女性活躍を阻害する男性管理職の行動、考え方やその要因を探ることをテーマにしました。アンケート分析、職場ヒヤリングの結果より、男性管理職の女性活躍阻害要因として自分至上主義や自己防衛心、マイノリティ排除などが浮かび上がってきたことから、これらの行動、考え方を男性管理職自身に気づいてもらうための問題行動「チェックリスト」を作成。さらに問題行動に対応すべく「処方箋」をまとめていく予定です。男性管理職自身が気づいていない女性活躍阻害要因の見える化とその解決策の提示となります。発表の最後には「チェンジエージェントとして社内のオールド・ボーイズ・ネットワークをぶっ壊します」と、力強い宣言までが飛び出しました。
●チーム名:WINWIN
有限会社 監査法人トーマツ 栗原 健輔 氏
女性活躍が進まない原因について制度、運用の観点から解決法を考えることからスタートしました。仮説としては制度では充実しているが運用に問題があるのではないか、というもの。運用を阻害し排除すべき、と考えたのは、長時間労働、昇格に関する男女意識差、アンコンシャスバイアス、そしてオールド・ボーイズ・ネットワークなどになります。議論の末に一番の本質的な課題が「オールド・ボーイズ・ネットワーク」であると気づき、このオールド・ボーイズ・ネットワークをさらに深堀していく必要があるのではないか、という結論に至りました。
新しく男性ネットワークメンバーのOBを中心とした「オールド・ボーイズ・ネットワークを考える会」を設立し、日本企業における女性活躍推進の活性化を図っていくことになりました。
●チーム名:男性を科学する
株式会社 東レ経営研究所 宮原 淳二 氏
日本の女性管理職比率は低い。女性たちがキャリアアップを目指そうとしない、やる気をなくしているのであれば男性上司の振る舞いにこそ問題があるのでないか、と考えました。
アンケートの分析結果より、12にカテゴライズして傾向を見てみると、指摘の多い問題行動は、自分の思考・行動特性の押しつけ、上司への忖度など。これらの行動を起こすに至った背景や理由についてメンバー自身が自らの経験をもとにした考察を加え、男性管理職に向けた「変えられる行動10か条」にまとめ上げました。第1条は行動、成功体験の押しつけ、『成功体験はあなたの宝物として心にしまっておきましょう』というもの。この「変えられる行動10か条」はマニュアルとしてまとめ、J-Win加盟企業に向けた配布を予定しています。
■ 2020年度J-Win活動方針
●女性ネットワーク活動の目標・重点取組
<Executiveネットワーク>
-変革を巻き起こす影響力を持つTOPリーダーへ
<Next Stageネットワーク>
-考え抜いて実践/自らの実行力を高め職場・ビジネスで実践
<High Potentialネットワーク>
-自ら考える力をつけ、自律的に動けるよう育成
●D&I推進支援活動
-最大の壁「オールド・ボーイズ・ネットワーク」へのチャレンジ
-経営トップコミュニティ「J-Win Male Champion of Change」の立ち上げ
-男性ネットワーク活動の拡充(Change Agentを増やす)
-J-Winアワード 新たな取組