「第4回ダイバーシティ推進責任者会議（課題検討会／情報共有会①）」を、2019年7月23日(火)に東京ウィメンズプラザにて開催しました。

■課題検討会／情報共有会①　テーマ：　「意思決定層への女性登用」

2018年度に実施した、会員企業のダイバーシティ推進責任者・担当者のグループディスカッションを主体とする「課題ワークショップ」のプログラム構成をさらに強化し、今年度は「課題検討会／情報共有会」として実施。
女性活躍推進に関する特定のテーマについて、【企業事例紹介】と【グループディスカッション】の2本だてのプログラム構成で、会員同士の意見交換を行い自社の課題解決のヒントを得ることを目的とし、開催していきます。
＜参考＞2018年度ダイバーシティ推進責任者会議　開催報告

第1回目は、多くの日本企業において喫緊の課題である「意思決定層の女性登用」がテーマ。取り組み事例として、東京急行電鉄株式会社より「メンター制度」について紹介いただき、その後グループワークで、各社における問題・課題を洗い出しました。活発な意見交換が行われ、各社の課題などを共有し合い、気づきを得る充実した会となりました。

（＊社名・肩書等は開催当時のものです）

●「意思決定層への女性登用」の現状

ITの進化によりビジネスの変化のスピードが激しい時代に、企業が競争力を維持し続けるためには、新しいビジネスモデルを創り出すことが重要であり、新たな発想・価値観を持った多様な人材の活用が必要不可欠である。その第一歩となるのが女性の活用で、企業・組織の「意思決定の場」に女性を登用することが重要である。
J－Winでは、各職位における女性比率と、正社員の女性比率が同じとなるのが望ましい構成比率としている。現在、J－Win会員企業（「2019J－Winダイバーシティ・アワード」応募企業）における各職位の女性比率は、管理職一歩手前までのパイプラインは形成されつつあるが、意思決定層（上級管理職）への登用は進んでいない状況。今後の女性活躍推進は、この意思決定層にいかに女性を輩出するかが大きな課題である。


＜意思決定層への女性登用のための施策のポイント＞
　〇役員、管理職のダイバーシティ推進の本質の理解と、具体的な数値目標を持った行動
　〇メンタリングなどの選抜個別育成
　〇人事部との連携による、人事制度に踏み込んだ施策

●企業事例紹介：　「東急電鉄のメンター制度」
　　東京急行電鉄株式会社人材戦略室 労務企画グループ ダイバーシティ推進担当　課長　
　　高橋 葉子 氏

メンタリングプログラムは、メンティの育成だけでなく、役員、管理職であるメンターにとっても、多様性の認識が深まり新たな視点や気付きが得られる活動である。具体的な運営のポイントの一つは、メンター・メンティ双方に対して、きめ細やかなサポートを行うことである。メンタリングプログラムを通じて、社で初となる女性執行役員の輩出や、女性管理職の昇進につなげている。



●グループディスカッション ：　「意思決定層に女性が増えないのは何故か」

グループワークでは、4グループに分かれ、意思決定層へ女性を登用する際の課題などについて率直な意見交換、ディスカッションをおこないました。各社における問題・課題を様々な角度から洗い出しマッピングすることで整理。以下の項目が課題として出されました。

　〇女性自身のキャリアの考え方や管理職になることへの自信のなさなどの『女性社員の意識』
　〇女性管理職候補者がそもそも少ないなど『女性社員の母数が少ない』
　〇修羅場を敬遠するなど仕事の経験の少なさ、キャリアの偏りなどからの『女性社員の経験不足』
　〇男性にアサインしていた仕事は女性に任せられない、
　　女性社員のマネジメントの仕方が分からないという 『マネジメント層の男性の意識』
　〇転勤やキャリアステップなどの『人事制度の活用』
　〇周囲の理解や会社の風土など『周囲の環境』

各社が抱える問題意識には共通するものが多く、特に「男性社員の意識」と「女性社員の意識」が多く挙げられました。全体のまとめとして、意思決定層に女性が増えないのは「マネジメント層の男性の意識」の醸成がキーポイントであると共有されました。

＜参加者のアンケートコメント抜粋＞
－メンター制度の導入を検討していたので参考になった
－各社の課題をお聞きして、また自身も言葉にする中で頭の中の整理ができました
－課題について時間をかけて討議できたことが良かったです
－人事運用に関することも男性の意識が根本にあるのだと理解した