「2018年度　第6回ダイバーシティ推進責任者会議」を、2018年10月23日（火）に東京ウィメンズプラザで開催しました。


■課題ワークショップ：　テーマ「上級管理職登用に向けての取組」

*上級管理職とは、部長職・役員を指します

10月のダイバーシティ推進責任者会議は、「課題ワークショップ（情報共有会）」を開催しました。この会議は、本年度から開始しているプログラムで、J-Winが提唱する取組8領域における特定の課題に特化して会員企業様同士の意見交換を通じて、解決のヒントを得てもらうことを目的としたものです。

課題ワークショップ第3回目となる今回は「上級管理職登用に向けての取組」です。
ダイバーシティが本来の強みを発揮するためには、意思決定の場に女性がもっと参加することが必要です。　しかし、多くの企業で管理職一歩手前の人材は増えてきたものの、ここでの足踏み状態が見られます。この点を課題ととらえ、上級管理職登用のための取組を今回のテーマとしました。　短い時間設定の中でも、各企業の取組事例などの情報交換や課題についての議論がなされ、大変活発な会になりました。

●「上級管理職への登用」に関する問題提起

事務局より今回のテーマに関係して、「イノベーションを起こすには、過去の成功体験からの離脱が必要であり、そのためには意志決定の場に女性を参加させることが重要ある」と強調しました。
各企業の取り組みの結果、職位毎の女性比率は確実に増加しているものの、正社員の女性比率と比較した場合、「各職位の女性比率が正社員の女性比率と同等である」という望ましい姿からは、依然として乖離した状況にあり、①非管理職から管理職への段差解消、②課長職から上級管理職への登用拡充が課題であると説明しました。
また、アワードから得た各企業の取組事例、男女のキャリアアップの意識の差を紹介しながら、上級管理職登用を進める上で、どのような問題が起こり得るのか？解決すべき課題は何か？課長職までの職位と上級管理職とでは、登用時の課題に相違点があるとしたら何か？などの問題提起を行いました。

2018年4月 J-Win会員企業へのアンケートより

●ワークショップ：「上級管理職への育成と登用」時の課題

グループワークに移り、参加者が自己紹介とともに、自社の上級管理職登用についての取り組みと、それを推進していく上での課題ついて具体例を交えて紹介。　続いて、グループ毎に参加者が出し合った課題を整理、グルーピングし、課題同士の関係性も含めて、まとめました。その中で課題についてその要因を探り、解決策まで提示したグループもありました。　
「ロールモデルの不在」、「本人（女性自身）の意識」、「女性の経験不足」などの女性に視点をおいた課題や、「トップのコミットメント不足」、「育成に対する役員の関わり」といったマネジメントに視点をおいた課題、また、「組織・風土/男性の意識」や「働きやすさ」などの環境面での課題、「人事権限」、「育成プログラム」などの運用面での課題など、色々な視点から検討・解決すべき課題が多く出されました。
上級管理職への登用は、J-Winが提唱する取組8領域の特定の領域だけを進めるのではなく、8領域すべてにまたがった推進が必要であることが再認識されました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　J-Winが提唱する取組8領域

1	経営トップのコミットメント
2	D&I推進実行体制
3	管理職のアカウンタビリティ
4	女性の育成
5	女性の意識改革
6	働き方の変革
7	業務プロセス・評価プロセスの見える化
8	組織風土の変革・男性の意識改革

最後に、グループ間でそれぞれ話し合った内容を全体で共有しました。

＜共有した内容抜粋＞
○ 「ロールモデルがいない」ことと「上級管理職へのチャレンジVS働きやすさ」を解決する必要がある
○主な課題は男女の意識と女性の育成で、それぞれに対応した解決策に取り組む必要がある
○本人の意識と役員の関わりが弱く、個別育成の内容もダイバーシティ推進部隊と人事が一枚岩でなく不整合を生じているので、女性の経験とキャリアパスに偏りが出てきているのではないか？
○上司のすべてが女性活躍に納得しているわけではなく、女性自身もロールモデルがいないため、意識や経験も上がらない。
○男女ともに無意識のバイアスが存在し、働き方の問題も存在する。またポスト自体が少なく時間がかかる。そもそもの目的も見失いがちである。

ワークショップのアウトプットは事務局で整理して今後の参考のために、参加者に配布しました。

＜参加者のアンケートコメント抜粋＞
　－様々な取り組みや課題を聞くことができ、参考にしていきたいと思います
　－日頃ゆっくり考える時間がなかったテーマを他社の方と意見交換することで、違った視点を学んだり、素直に自分の考えを深めることができました
　－女性が課長で満足してしまうこと、個別育成の重要性について、実感しました
　－取組の優先順位づけの整理に役立ちました。どれも対策が必要ですが、どこからやっていこうか、ヒントが得られました