2017年7月18日(火)に「2017年度 第3回ダイバーシティ推進責任者会議」を千代田プラットフォームスクエアにて開催しました。参加人数は26名(23社)でした。
今回は、会員企業の担当者の皆様が、D&I活動を推進される中で日頃抱えている課題や疑問などに対し、J-Win内永理事長との直接対話や企業様同士の情報交換を通じて解決のヒントを見つけていただくことを目的として、ラウンドテーブルを実施しました。
「女性の意識改革」をテーマに、事務局や参加各社から様々な課題や意見が提示、共有され、内永理事長の回答やメッセージなどから、参加者が課題解決の方向性を見出し、D&I推進の本質について理解を深めていただく場となりました。
■「女性の意識改革」の実現に向けての課題
はじめに、事務局より「女性の意識改革」についての現状や課題について説明しました。
「女性の意識改革」という領域は、過去数年間、企業が女性活躍推進における課題ととらえており、 「J-Winダイバーシティ・アワード」の結果から見ても、取り組みの実施率が他の領域(※)に比べて低く、女性活躍推進における重要なテーマです。
過去実施した同テーマのラウンドテーブルにおいて会員企業から提示された課題を、自責の項目として 「女性の意識」、他責の項目として「会社の仕組み」と「社会環境・働く環境」に分類し、
<キャリアアップのイメージが描けない><不安が解消できない><環境そのものがバリア(既存概念)>
の3つが、女性の意識が上がらない原因であるとする分析結果を示しました。
そして、それを解決するために実施すべき項目を提示しました。
※J-Winが提唱する取り組み8領域
(1)経営トップのコミットメント
(2)D&I推進実行体制
(3)管理職のアカウンタビリティ
(4)女性の育成
(5)女性の意識改革
(6)働き方の変革
(7)業務プロセス・評価プロセスの見える化
(8)組織風土の変革・男性の意識改革
■ラウンドテーブル
参加の各社より、自己紹介とともに、事務局が提示した実施すべき項目に関連付けて、質問や意見が発表されました。
「女性の意識」に関するものとして
・特別ではなく、自分事としてとらえることができる等身大のロールモデルの不在
・研修の効果の対象者の意識によるばらつき
・時短や育休など制度の充実に甘える女性の問題
など、様々な女性の意識改革に対する課題やそれに対応した仕組みづくりの課題、質問が出されました。
また、「社会環境・働く環境」に関するものとしては、男性自身(特に管理職)がいだく問題として
・女性のキャリアアップに対する意識の低迷
・女性活用の強力な推進の過程での男女の不公平感
・女性と一緒に働くことへの懸念
などがあげられました。
その他の課題として
・長時間労働による評価が是正されない
・現状(女性活躍推進の遅れ)に対する全社レベルでの危機感のなさ
などが提示されました。
各社からの様々な意見を受け、内永理事長からは以下のような総括的なアドバイスなどをお伝えしました。
●「女性活用」は、女性のためではなく経営戦略であるということを、D&I推進担当者自身が腹落ちして、経営トップだけでなく、役員を含め管理職や社員に周知徹底し、女性活躍推進に対する会社のスタンスを明確にすることが重要である。
●日本の女性のキャリアアップ意識が諸外国と比べて低い原因の一つに、長時間労働が評価の代替ファクターになっている事があげられる。「業務プロセスの見える化」「成果による評価」へのシフトが重要である。
<参加者のコメント ~アンケートより抜粋~>
- 時短制度を使う社員の意識等に変化があることに気付きました。会社は「制度を作る」から次のステップに移るべきなのだと感じました。
- 現状のままでは仕事がなくなる、という危機感の欠如には共感しています。 強迫にならない程度にどう切迫感をもって社員に伝えるか考えていきます。
- ダイバーシティを戦略としてとらえるならば、人事の小手先の対応ではなく、組織設計・風土、ビジネス慣習にも踏み込んでいく必要があり、それをどう社内で仕掛けていくか、考える機会がほしいと感じた。
- ダイバーシティは企業戦略であること。戦略を立ててステップを踏んでいくことが必要だと再認識しました。