2017年5月26日(金)に「2017年度 第2回 J-Winダイバーシティ推進責任者会議」がTKP市ヶ谷カンファレンスセンターにて開催されました。今回は、「2017 J-Win ダイバーシティ・アワード」結果分析から得られた気づきの共有と、受賞した4社によるベストプラクティス紹介発表が行われました。続いて、4社の発表者を囲んだQ&Aセッションが開催され、活発な議論が行われました。先進企業のD&Iの取り組み事例の詳細や工夫したポイントなどを共有し合い、自社へのヒントを持ち帰る、充実した会議となりました。
■「2017 J-Winダイバーシティ・アワード」分析結果
J-Win事務局より、「2017 J-Winダイバーシティ・アワード」分析から得られた気づきとして、以下4点を報告しました。
① 各社のD&I推進のレベル分布と進捗状況の経年経過から、8領域※の取り組みと実績(女性比率)の相関関係が明確である
② 取り組みの結果として1~2年後に実績(女性比率)の向上が現れるため、8領域※に対する取り組みの継続が重要である
③ 8領域※への取り組みを持続的に実施すると、女性リーダー輩出のパイプライン形成が進む
④ 実績(女性比率)の伸び率が高い企業に共通してみられる具体的な取り組みとして
管理職候補リストを作成して、育成していることが挙げられる
※J-Winが提唱する取り組み8領域
(1)経営トップのコミットメント
(2)D&I推進実行体制
(3)管理職のアカウンタビリティ
(4)女性の育成
(5)女性の意識改革
(6)働き方の変革
(7)業務プロセス・評価プロセスの見える化
(8)組織風土の変革・男性の意識改革
■受賞企業の取り組み事例紹介
「2017 J-Win ダイバーシティ・アワード」を受賞した企業4社より今回発表された取り組み事例をご紹介します。
(*発表者の肩書き等は発表当時のものです)
●日本たばこ産業株式会社【ベーシック部門 ベーシックアチーブメント 準大賞】
多様化推進室 室長 和中 悠子 氏
2013年を女性活躍元年とし、D&I推進を経営課題として掲げて実施してきた。経営トップの強力なリーダーシップのもと、管理職の意識改革など、重要な施策はまずは経営層から研修・セミナーを行う仕組みとなっている。加えて、管理職の評価項目には、「多様な人財の成長支援」に関する項目を組み入れている。また、女性の意識改革として階層に応じた社内外の研修やセミナーへの派遣を通じて成長支援を行っている。
●日本航空株式会社【ベーシック部門 ベーシックアチーブメント 大賞】
人事部 副部長 蘆野 健 氏
ダイバーシティ推進の意義として「新たな価値の創造」を掲げ、経営トップからのメッセージ発信などのトップダウンと『JALなでしこラボ』活動などのボトムアップの2軸でJALグループ全体を巻き込みながら実施している。女性活躍推進目標達成までのステップとして、現在は「就労継続推進期」から「登用推進期」へ移行中。またD&I推進施策は、「休み」を応援する施策から「働く」を応援する施策へと転換。その中で、「女性社員の意識改革」「働き方改革」「管理職のアカウンタビリティ」の3つの課題に重点的に取り組んでいる。
●損保ジャパン日本興亜株式会社【アドバンス部門 準大賞】
人事部 ダイバーシティ推進グループ 業務課長 上西 優子 氏
2003年に国内の大手金融機関で初の女性活躍推進専門部署を設置してから、積極的にD&I推進活動を、主に以下の3つに注力して行っている。まず「女性の育成・登用」では、階層に応じて研修で女性管理職輩出パイプラインを形成。また、全国に拠点を有する損害保険会社として、地域と連携し、異業種交流会を通じて女性のネットワークを構築。「管理職の意識改革」では、『部店長道場』や『マネジメント道場』などトップダウンで意識改革を進める。3つめの「全社員の働き方改革」は、全社員がテレワークできる環境を整備した。
●株式会社リクルートホールディングス【アドバンス部門 大賞】
サステナビリティ推進室 室長 伊藤 綾 氏
現在の課題は女性管理職数を増やすだけでなく、パイプラインの拡充と、女性自身の活躍を支援し、成果を出せるような仕組みを作っていくこと。そのために、女性管理職の意識改革などに今までも取り組んできたが、更に一歩踏み込み、成果につなげられるように実施している。例えば、現場からの要望も高い、「次世代マネージャー向けスキル講座」。より実務的なスキル獲得のための講座を、外部講師に加えて経営トップが自らプロデュースして実施している。また推進を一層加速していくために、これらの取り組みの成果を徹底的に見える化することに努め、「従業員アンケート」「女性管理職の任用率」「社外評価」という3つの指標を導入。社外評価として、J-Winアワードに毎年応募させていただき、経年で推進の結果をモニタリングしている。