【活動・収支報告】
2019年度、NPO法人J-Winは設立13年目を迎え、110社にご参加いただき活動をすすめて参りました。企業における女性管理職候補のパイプライン拡充に加えて、意思決定層への女性登用促進のために、三層の女性ネットワーク活動の連携、各層の女性ネットワークの価値の理解促進、男性ネットワーク活動の本格始動、経営層の巻き込み、並びに、認知度向上・裾野拡大を活動方針として以下の活動を行いました。
■女性リーダー育成活動
J-Winの女性リーダー教育の最大の特色である、三層の女性ネットワーク活動では、2019年度は、「第9期High Potentialネットワーク」のメンバーによる活動(269名)が、職種、年齢を越えて展開されました。 また、部長層・課長層を中心に、High Potentialネットワークの卒業生並びに会員企業の同等職位の女性社員を対象とした「Next Stageネットワーク(290名)」、さらに執行役員以上を対象とした「Executiveネットワーク(46名)」と、3層あわせて総勢605名の女性ネットワーク活動を行いました。
地方におけるダイバーシティ推進支援を目的とした活動では、J-Win関西支部は3年目を迎え、High Potentialメンバー35名、Next Stageメンバー24名の59名が参加し活動を行いました。活動2年目を迎えたJ-Win九州支部ではHigh Potentialメンバー13名が活動を行いました。活動の一環として2020年2月には「九州女性の活躍、九州の元気、日本の元気」をテーマとしたフォーラムを開催し、J-Winの女性メンバーとその上司など会員企業の皆さま、九州の企業の経営層や人事部門の皆さま、自治体、メディアなど約120名の方々にご参加をいただきました。
1) High Potentialメンバー活動
「Women to the TOP!」の実現に向けた最初の一年の活動で、キャリアアップに向けたSwitch-onが活動の目標です。2019年度9期メンバーは、「We are the TOP ! Let's change our mindsets and inspire each other ! ~私たちはトップを目指します!意識を変えて、刺激し合おう!~ をスローガンに一年の活動が行われました。それぞれのプログラムは幹事会を中心に、実行委員会を組織してメンバー自身が企画・運営に携わり全員がHigh Potentialネットワークの自主活動に参加できるよう運営・役割を見直したことで、より多くのメンバーが企画運営に参加し、自主活動から学びを得ることができました。
分科会活動では、10の分科会に分かれ年間を通じて活動を行いました。多くの仲間と議論を繰り返し、ゴールに向かって進むプロセスを通し、課題解決力とリーダーマインドを身につけました。
定例会は、東京・関西・九州の3拠点で実施し、東京で開催される定例会は関西・九州にも中継され、同内容の研修が同時に関西・九州でも受講が可能となりました。
11月にはオーストラリア・シドニーへ4泊6日の日程で「海外研修」を行い、43社より93名のメンバーが参加しました。
メンバー自らが " Expanding horizons ! " ~draw our career for brighter future by collaborating together~(外の世界に出て視野を広げ、受け身ではなく、関わる相手とwin-winの 関係で成長できるよう、自分達からも自発的に発信していきます!)をスローガンとして掲げ、全員参加型の研修を作り上げました。オーストラリアのマルチカルチャリズム(多文化主義)をベースとしたダイバーシティ&インクルージョンに触れ、また政府機関・企業・研究機関など様々な組織を訪問し、金融・ITを中心としたサービス産業におけるイノベーション・テクノロジーにも触れることが出来ました。
2019年度の活動の総括発表の場である拡大会議は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2020年6月26日に延期されました。初めて会場とオンラインの二元で開催され一年間の活動報告が行われました。
2) Next Stageメンバー活動
Next Stageネットワークは、「企業で上級管理職として活躍し、私たちが企業・社会を変える原動力になる」というビジョンのもと、2017年度に活動内容を従来の「女性活躍」のテーマから「ビジネスパーソンとしての視点を養う」に大きくシフトしました。企業の課題認識が女性の管理職登用にあることに加え、上級管理職への登用にも広がってきました。これを受け、ビジネススキルを強化するためのセミナー開催を検討し、2020年2月に初の試みとして「今さら聞けないセミナー」を実施しました。
6月に行われたキックオフでは、2019年度活動テーマ 「立志・深交・学思(さとし)」とプログラム内容が発表され、活発なグループワークやパネルディスカッションを行いました。企業の意思決定に関わる人材を目指して活動する「Next Stage」はJ-Winの本丸であるとのメッセージが内永理事長から共有され、参加した135名が1年の活動開始に向けて気持ちを新たにしました。
定例会のテーマを「経営者視点・未来予測+先人の教え・普遍的なもの」とし、自身の軸・考え・判断力を身に着けることを目的に、経済界・教育機関・省庁のリーダーの方々を講師としてお招きし、7回の定例会を実施しました。定例会の企画・運営は幹事会メンバーを中心に行っており、これまで東京の会場で行われる定例会は関西支部のみに中継配信されていましたが、昨年から全国のメンバーに中継配信され、これまで会場に来られないことから参加できなかったメンバーも参加できるようになりました。
また、2019年度は新しい研究会として「歴史研究会」「[関西支部]人財マネジメント研究会」「シニアビジネスの可能性を探る研究会」「組織に活かす心理学研究会」が発足し、ビジネス・社会課題・イノベーション・リベラルアーツの4分野11研究会で活動を行いました。委員会は「スキル強化委員会」が発足し、駆け足で昇格してきたNext Stageメンバーが足りないスキルを補い、自信をつけるための新たな研修を考案、実施いたしました。
3) Executiveメンバー活動
2019年度Executiveネットワークは、これまでの「Challenge」に加え、新しく「グローバルネットワーク構築」「メンバー拡大」をテーマに、経営リーダーとしての力をつけるとともに更に上をめざすために1年間の活動を行いました。
5月に行われたキックオフでは、理事長が講演を実施し、エグゼクティブとしての成長への期待や目的を確認して1年間の活動がスタートしました。
定例会は『経営者視点・社会的課題・研究会関連・女性としての生き方』をテーマに6回行われ、知見・視野を広げることだけではなく、ディスカッションを通じて学びを言語化し身につけることを目的として、講師とのコミュニケーションや、メンバー同士の交流を積極的に行いました。
2月に行われた合宿では、外部から講師をお招きして見識を深めた後、2018年度の活動の振り返り、研究会・委員会の活動成果を発表しました。後半はメンバーにとってのExecutiveネットワークの意義や、来期以降の方向性について活発なディスカッションが行われました。
研究会では、国内外で自身の本業以外の領域において自らの言葉で語れる領域を持つことを目的に3つの研究会が立ち上がり、1年間の活動を行いました。
2019年度最も注力した活動として、日本のエグゼクティブリーダーとして国内外の団体との連携を強化し、自身のレベルアップをはかるとともに、ExecutiveネットワークのVisibility向上に取り組みました。海外の様々な組織、各国の駐日大使館を訪問し、積極的な交流を行いました。特に、カナダ大使館と、APFC(Asia Pacific foundation of Canada)とは2020年4月の共同でイベントを実施したほか、大使館主催のイベントにも参加をしました。EU関係ともEuropean Innovation Dayへの内永理事長のパネルディスカッション登壇参加をはじめとした活発な連携を行いました。
■企業内D&I推進支援活動
ダイバーシティ進責任者会議は、ダイバーシティ推進責任者・担当者の多様なニーズに対応するため、4つのプログラム(講演や報告などの情報共有、ワークショップ、情報交換会を含む課題検討、理事長とのラウンドテーブル)を計10回開催しました。 また、会員企業様とのコミュニケーションを強化し、課題を把握するために、2017年から行っている会員企業様訪問を33社に実施しました。
3年目を迎えた男性ネットワークは19社22名が参加し、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」をキーワードに、定例会と分科会の二本柱で活動を行いました。男性管理職であるメンバー同士の議論に加え、内永理事長や男性・女性エグゼクティブの方からの講話や意見交換をおこなうことで、「なぜD&I推進なのか、なぜ女性活躍推進なのか」を自らが理解・腹落ちし、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」に気づき、自分事として受け止め、新たな気づきを得て、具体的な行動に結びつけることを目指しました。
J-Win設立時から実施しております「J-Win ダイバーシティ・アワード」は本年度で13回目を迎えました。 企業におけるダイバーシティ推進を加速するため、内閣府、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、経済同友会、日経ウーマノミクス・プロジェクトの後援により、「2020 J-Winダイバーシティ・アワード」を実施しました。企業のダイバーシティ推進の進捗度合いに応じ、2部門に分けて募集をし、アドバンス部門に16社、ベーシック部門に28社、計44社に応募いただきました。
1) ダイバーシティ推進責任者会議
ダイバーシティ推進責任者・担当者の多様なニーズに対応するために、講演や報告などの情報共有主とした会議、ワークショップ、テーマを決めて会員同士で情報交換やディスカッションを行う課題検討会、理事長とのラウンドテーブルといったプログラムで全10回開催しました。また、会議の開催をネットワーク事業の定例会や活動報告会と場所、時間をあわせて行うことで、ネットワーク事業のプログラムへのオブザーブ参加をしやすくなるような工夫をしました。
2019年度最初の情報共有の会議では、今期のJ-Win活動方針を説明するとともに、2018年度の男性ネットワーク活動メンバー活動報告を行いました。男性管理職として、女性の活躍を進めるための課題を考え、今後、取るべき具体的な施策や行動について3つのグループが成果を報告しました。
また、昨年のJ-Winダイバーシティ・アワード参加企業全体のデータ分析結果から見えるダイバーシティ&インクルージョンの推進度合いや取り組みの実施状況・傾向について情報共有し、受賞企業より具体的な取り組みに状況について報告いただきました。
6月には新任のダイバーシティ推進責任者を対象とした勉強会としてワークショップを開催しました。内永理事長の「経営戦略としてのダイバーシティ」講演で「なぜダイバーシティ推進なのか」ということを再認識していただき、J-Winの活動のベースとなっている「進捗状況の見える化」についての内容を事務局より説明し、簡易ツールを使って実際に見える化の体験をしました。
2018年度実施し好評をいただいた会員様同士のグループディスカッションを主体とした「課題ワークショップ」はバージョンアップをして【企業事例紹介】と【グループディスカッション】の2本建てのプログラム『課題検討会』を企画し、「意思決定層への女性登用の現状について」というテーマでの4回にわたる連続会議として開催し、より深い課題の抽出と解決策に対する議論により、ヒントや気づきを得て頂きました。
そして、ダイバーシティ推進責任者・担当者様を対象に、日頃の課題や疑問などを、他の出席者や内永理事長と共有し、対話を通じて解決のヒントを見つけていただくことを目的として、内永理事長とのラウンドテーブルも開催しました。
2) 男性ネットワーク
2019年度で3年目を迎えた男性ネットワークは19社22名が参加し、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」をキーワ
―ドに、定例会と分科会の二本柱で活動を行いました。男性管理職であるメンバー同士の議論に加え、内永理事長や男性・女性エグゼクティブの方からの講話や意見交換をおこなうことで、「なぜD&I推進なのか、なぜ女性活躍推進なのか」を自らが理解・腹落ちし、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」に気づき、自分事として受け止め、新たな気づきを得て、具体的な行動に結びつけることを目指しました。
3) ダイバーシティ アセスメント「2020 J-Win ダイバーシティ・アワード」
2019年度も、企業におけるダイバーシティ推進を加速するため、内閣府、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、経済同友会、日経ウーマノミクス・プロジェクトの後援により、「2020 J-Winダイバーシティ・アワード」を実施しました。 企業のダイバーシティ推進の進捗度合いに応じ、2部門に分けて募集をし、アドバンス部門に16社、ベーシック部門に28社、計44社にご応募いただきました。
第一次審査により、アドバンス部門から4社、ベーシック部門から4社の合計8社をファイナリスト企業として選出しました。 さらに、早稲田大学総合研究機構招聘研究員井上詔三氏を審査委員長とする審査委員会(昨年までの審査員長東京家政大学名誉教授樋口恵子氏は名誉審査委員長に就任)により第二次審査(ヒアリング)、プレゼンテーション審査、最終審査会を行い、両部門合計で4社の授賞を決定し、同時に決定した経営者アワード、リーダー・アワードの個人賞も含めて授賞企業と授賞理由を2020年3月6日に発表しました。授賞式は、2020年6月26日に延期された拡大会議にて執り行いました。
詳細はNPO法人J-Winホームページでも公表しております。
(https://www.j-win0.jp/promote/award_200306.html)
*企業名・肩書などは受賞当時のものです。
企業賞 | ||
アドバンス部門 | 大賞 | 全日本空輸株式会社 |
準大賞 | 株式会社三菱UFJ銀行 | |
ベーシック部門 | ベーシックアチーブメント大賞 | 株式会社ベルシステム24ホールディングス |
ベーシックアチーブメント準大賞 | 大日本印刷株式会社 | |
個人賞 | ||
経営者アワード | 株式会社三菱UFJ銀行 取締役頭取執行役員 三毛 兼承 様 | |
リーダー・アワード | 大日本印刷株式会社 執行役員 人財開発部・ダイバーシティ推進室担当 宮間 三奈子 様 |
4)J-Winダイバーシティ・アワード調査報告書と応募各社別レポート(3月)
2020J-Winダイバーシティ・アワード実施の結果報告として「アセスメント・レポート」という応募各社別レポート(44社分)を作成、発行しました。 また、全体の傾向を記した「2020 J-Winダイバーシティ・アワード全体報告書」(全体レポート)を2020年4月に発行いたしました。 全体報告書の内容は、その概要をまとめダイバーシティ責任者会議で報告するとともに、2020J-Winダイバーシティ・アワード受賞者の取り組み内容の紹介とともに、NPO法人J-Winホームページにて2020年9月に公開しております。
■広報・渉外活動
広報事業は多くの方々にJ-Winを認知していただき、活動を理解していただくための情報発信力を強化しています。年間を通じて開催されるネットワーク活動や企業支援活動の予定や報告に関しては、メールマガジンの発行、Facebookへの投稿、J-Winホームページへの掲載などを通じて情報発信をおこなっています。なお、メールマガジン配信先は前年度より約1,000件以上増加し、約5,830件に拡充しました。
また、2019年度はPR活動の一環としてメディアとのリレーション構築を積極的に進め、マスコミ20社を訪問し、メディア露出14件を獲得しました。新たな取り組みとしてはラジオ番組への理事長出演と新聞記者6名によるメディア懇談会を開催しました。これらのメディアとのコミュニケーションの機会がその後の新聞、Webを通じた情報拡散につながっています。
また、J-Winの活動を伝えるツールとして、「活動プログラム案内リーフレット」を新規制作したほか、前年度刷新した「J-Win案内パンフレット」の部分改訂と、英語版の新規制作をおこない、新規会員への説明やグローバル活動などさまざまな場面で活用できるよう整備しました。
■拡大会議
2019年度の活動の総括発表の場である拡大会議は、新型コロナウイルスの感染拡大を鑑み、参加者の方々の健康管理・感染防止を最優先し、3月6日の予定を延期して、2020年6月26日に開催しました。昨年までの形態とは違い、全体の時間を短縮して、懇親会なし、会場参加人数の制限を行い、第9期High Potentialの卒業プログラムを中心に構成。WEB中継を行い、登壇者、ダイバーシティ推進責任者、メンバーの上司など多くの方々にご参加頂き、1年間の活動成果をご報告しました。
【活動・収支報告、貸借対照表】
2019年度の収入は、会員企業からの年会費が146,260千円、Executive、Next Stage、内永塾等のネットワーク事業への参加会費が26,462千円、男性ネットワーク等の企業支援事業への参加会費が1,100千円、進捗診断事業に係る収益が437千円、セミナー等の収入が123千円、その他の収入が67千円で収入の合計は174,448千円でした。
一方、ネットワーク事業として56,091千円、企業支援事業として24,475千円、広報として17,797千円、
拡大会議として7,458千円、進捗診断事業として978千円、セミナー等の事業として476千円を支出し計107,276千円の支出となりました。
これら事業を進めるために管理費として、事務局人件費、IT関連費、家賃・光熱費、その他法人運営費等、76,260千円を支出しました。
結果、当期経常増減額は、9,088千円の減となりました。