「J-Win Next Stage ネットワーク 第3回定例会」を、2020年10月28日(木)に開催し、170名のメンバーがオンライン参加しました。

■ コーポレートガバナンスの基本と実践
世の中の環境変化に対し、柔軟に対応するため、経営者が意思決定をおこなう場面が増えています。これは経営者のスキルが直接、企業経営に影響を与えることを意味します。今回の定例会では、今後求められるコーポレートガバナンスの在り方について、東京都立大学大学院　経営学研究科　松田教授より詳しくお話いただきました。





以下に講演の様子をダイジェストでご紹介します。
(＊肩書き等は講演当時のものです。)


●日本企業に向けられた３G
グローバル（事業の海外展開の加速）、グループ（意思決定の迅速化）、ガバナンス（リターンとリスクへの感度強化）による環境変化を日本企業は求められている。コロナ禍によってビジネスを取り巻く外部環境が変化している。マネジメントの在り方が変わり、企業の強みは、そのマネジメント能力によって発揮されていく。

●経営への要請
企業価値向上のために、経営システムの考え方を置き換える必要がある。
ところで、企業価値とは何か。これを定義できなければ、ガバナンスは始まらない。左脳的なキャッシュフローを生み出せる力、つまり投資家目線と、右脳的な社会に貢献する企業の志やエモーショナル、つまり企業の存在意義・企業理念がある。これらの二つを結び付けて動くようにするのが脳梁であり、経営陣の仕事である。これらの二つを創り上げていく経営プラットフォームが、日本にとっては弱点となっている。

●コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスには「将来」「組織」「人材」がキーとなる。ポイントは以下の3つの視点。「会社の目指すべきところについて、確からしい将来予測が出来るか」「取締役会において、相当の時間をかけて議論することができるか」「会社の目指すべきところを伝えるために、受け手の頭の中を理解できているか」である。
そして、予測を行ったうえで議論し、伝えていくべきなのは、企業の存在意義（purpose）、企業の持続可能性（sustainability）、企業の将来において重要な要素（materiality）である。
それらを考え合わせると、今後のコーポレートガバナンスには、「経営者の意思決定の巧拙による影響が増大するため、経営者としてのスキルアップ」、「最も大事な仕事は『将来の経営者育成』と位置づけ、持続可能な企業体になること」、「企業のリスクヘッジや成長戦略として、本質的な『多様性』を必須としていること」といった3点が求められる。

●組織と人材
組織は経営のプロがマネジメントとしていることが重要であり、グループガバナンスを適正にすることが必要である。終身雇用ではない時代に、企業が優秀な人間をいかに繋ぎ止めておけるかを考えると、キャリアディベロップメント、ゴールの在り方は変わってくる。企業のポリシーとしてそれらを可視化し、個人のプロフェッショナル化・多様な人材流入を企業理念の建て付けに置くことが極めて重要である。

―これまで自分が持っていた断片的な知識が、新たな視点と明確な切り口・ストーリーで統合され、多くの気付きがありました。また、スピーチそのものも素晴らしく、時間が経つのを忘れて集中できました。

―10月から仕事が変わり、自社の中期経営計画に関わることになった大変良いタイミングで、ご講演を聞くことが出来ました。これから求められる本社機能の役割、経営戦略の重要性をわかりやすい言葉でお聞きし、学ぶことが出来ました。

―これまで遠巻きに見ていたテーマでしたが、今回受講したことで自社について不勉強だったと反省する機会に出来ました。

―コーポレートガバナンスの基本のみならず、日本企業の実態やトレンドを織り交ぜてお話をいただき、自社のレベルを相対的に捉えることが出来ました。

―苦手意識をもっていた分野の知識を、非常にわかりやすくご説明いただけました。講師の松田様のプレゼン能力の高さ、お人柄の魅力にも非常に感銘を受けました。