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「AI時代の企業経営」
株式会社KPMG Ignition Tokyo 代表取締役社長
兼 KPMG ジャパン チーフ・デジタル・オフィサー
茶谷 公之 氏
AI 時代を迎えた今、デジタル・トランスフォーメーション(DX)はどのように起こっていくのでしょうか。データをロジカルに処理する作業は自動化され、パラダイムシフトの主役はクラウドとAIです。こうしたパラダイムシフトを見送った企業は市場から退出していくことになります。一方で、新しいものを導入した直後は、どうしても一時的に生産性が低下し、コストが高くなる傾向がありますが、裏に隠れている本質的・根本的な改革を見逃すと、変革に遅れるリスクも。そして、定型業務、意思決定、共同作業の順に自動化され、コンピュータは24時間安定稼働し、人はより高度で戦略的、創造的な役割を担うことになります。DXにおいて気をつけておきたいことは、同業者だけが競合するのではなく、脅威は外からやって来るということです。例えば、タクシー業界にUberが参入したことでこれまでのビジネスモデルを変える可能性があるなど、新たに現れた存在が脅威になることも起こり得ます。DXをさまたげる要因としては、「分散開発をマネージできない」「考え方が異なる開発者チームをまとめられない」「先端テクノロジーへの投資と実行が苦手」「コンティンジェンシーを意識できていない」「技術投資ポートフォリオ経営ができていない」「技術負債が多い」など、「ヒト・モノ・カネ」に関する経営課題が挙げられます。
将棋や囲碁AIの見方を変えると、「相手の将来挙動を含めた未来予測システム」であり、ここからビジネスへの応用の視点も広がるのではないかと考えています。第三次AIブームのエースであるディープラーニングは、学習用と確認用の大量のデータが必要である点と、故障系や異常系の学習データは多くないという点が課題です。その弱点を補うために複数のAIの結果を合成する方法や、大量の学習データを必要としないアプローチなども採用され始めています。音声合成については、かなりの品質のものが出始めており、既にコールセンターでも活用されるようになってきました。一方で、子供がものを覚えていく様な概念獲得や、自由発話を完全にできるものはまだなく、今後精度を上げていくことが目指されています。自動学習やセルフラーニングについても、まだ完全なものは実現されておらず、これからの領域であり、現在のAIはかなり人手をかけて正しく学習させる必要があると言えるでしょう。~講演の感想~
【茶谷 公之 氏のPROFILE】
2003年4月(株)ソニー・コンピュータエンタテインメント CTO、 2010年3月ソニー(株)技術戦略部門 部門長 、2014年6月楽天(株)執行役員 兼 DU(Development Unit)戦略室、 2016年8月楽天(株)執行役員 兼 AI推進部ジェネラルマネージャーを経て、2019年1月KPMGコンサルティング(株)パートナーへ。2019年7月(株)KPMG Ignition Tokyo 代表取締役社長CEO 兼 KPMG ジャパン チーフ・デジタル・オフィサーに就任。 ソニーや楽天において、グローバルチームを率いつつ、ビデオゲーム・デジタルコンテンツ配信・クラウド・対話エージェントなどのプラットフォーム構想から、開発・設計・導入・運用まで幅広く担当。ソニーではゲームプラットフォームのCTOやEVP、楽天では対話 型エージェントをはじめとするAI技術の担当役員として、デジタル・AI・データ分野における技術経営を指揮。2019年7月より、(株)KPMG Ignition Tokyoの代表取締役社長に就任し、KPMG Japan各社とクライアント企業のイノベーションやデジ タルトランスフォーメーションを支援。