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「日本の藝術産業が未来を創る」
東京藝術大学名誉教授 三田村 有純 氏
私たちが未来を創造していく上で、まずは今を創ってきた歴史について学ぶことが大切です。今から16,500年前の縄文時代の日本は、最も住みやすかったと言われています。当時の日本では、たくさんの人が住み、さまざまな物を作って暮らしていました。そこで中心となって物を作り出していたのは女性です。男性は狩りに出かけ、女性は生活に必要な物をクリエイティブな感性を働かせて生み出していた時代でした。今思えば、日本の縄文時代こそ、ダイバーシティの原点であったのではないでしょうか。また、日本の漆芸も縄文時代からの長い歴史があります。漆の樹液を木から採取して精製し、顔料を入れた色漆を作るなど、縄文時代から今の漆芸技法と変わらない技術を持っていました。漆の樹液が温度と湿度で固化することを発見した縄文人は、有益な素材として使用していたことがわかります。矢尻と矢柄をつないだり、土器を修復したりするための接着剤、土の器や木の器、編み籠などの内外を塗る塗料、土や木の粉を混ぜた粘土状のもので造形する造形素材、朱漆、黒漆で渦巻き模様などを描く絵画材料 など、幅広い目的で活用されていました。~講演の感想~
【三田村 有純 氏のPROFILE】
1949年 東京都杉並区生まれ。江戸蒔絵赤塚派 八代 祖父 自芳氏、 九代 父 秀雄氏より蒔絵技法他を学ぶ。東京藝術大学 名誉教授、江戸蒔絵赤塚派十代継承、公益社団法人 日展 理事(審査員6回)、一般社団法人 現代工芸美術家協会 理事、一般社団法人 国際文化研究院 理事長等を努め、美術団体 九つの音色 同人 漆藝を専門とし、数々の作品を発表する傍ら、国際交流にも尽力。 著書に、「藝術がいづる国・日本」「漆とジャパン 美の謎を探る」「お箸の秘密」など。