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「つくし世代(20代の若者)を動かすための新しいマーケティング手法」
株式会社 アサツー ディ・ケイ
ブランドアーキテクト本部 プランニングディレクター 藤本 耕平 氏
広告業界でも若者は攻略しなければいけないターゲットです。私は10年ほど前から、若者と付き合いながら彼らの特徴を探る研究部隊「ワカスタ」を創設し活動しています。その活動を通して、「つくす」という行為がその世代の特徴になっている点に気付き、「つくし世代」と名付けました。これは、慈善の"つくし"ではなくて、自分の居場所をつくるためだったり、自分にもハッピーをもたらしたりするための行為であるという点が注目すべき点です。つくし世代は、1985年生まれ以降の第1世代と、1992年生まれの第2世代に分かれ、いずれも「1992年」という年がキーポイントになっています。第1世代は1992年に小学校に入学していますが、かつての詰め込み教育が見直され、この92年から「個性尊重教育」がより強く推進されるようになりました。相対評価から絶対評価に変わり、競争するのではなく、自分自身がどのような価値を持つかということに重きを置いた教育に変わったのです。また、92年に生まれた第2世代は2005年に中学校に入学しています。ここで起きたことは、デジタル環境の進化に伴うコミュニケーションの変化です。中学1・2年生の携帯電話・PHSの普及率は、2005年に過半数を超えています。また、共働き世帯と専業主婦の世帯が1992年を境に逆転するなど、家庭環境も変化しました。こうした環境で育った世代の特徴として3つ注目している点があります。1つ目は、「自分らしさは何か」を問われ続けてきたことで、物事の価値基準を自分の中に持っているということです。2つ目は、人とつながるために能動的な行動が必要になり、コミュニケーション能力に優れた人とそうでない人が二極化していること。さらに、さまざまなコミュニティとつながる機会があり、"キャラの使い分け"をするケースも多く見られます。そして3つ目の特徴は、右肩上がりの経済成長を知らない時代に育ってきた中で、情報や人脈を駆使しながら賢く安いものを手に入れる"ケチの美学"が備わっているという点です。また、お金だけでなく、時間にもシビアで、時間を費やすことに納得できる理由を求める傾向にあります。~講演の感想~
【藤本 耕平 氏のPROFILE】
1980年生まれ。一橋大学卒業後、2002年に株式会社アサツーディ・ケイ(ADK)に入社。 入社から現在まで、15年間マーケティング業務に従事。 担当クライアントは若者をターゲットとしたブランドが中心。 ADK若者プロジェクトリーダーとして情報感度の高い学生メンバーで構成する若者研究部隊「ワカスタ」を創設し、"若者"をテーマに、外部セミナーの講演や新聞・雑誌のコラム連載、大学客員講師などの活動も実施。 著書に『つくし世代「新しい若者」の価値観を読む』『「つくす」若者が「つくる」新しい社会』など。