「J-Win第9期High Potentialネットワーク 9月度定例会」を、2019年9月12日(木)に機械振興会館、大阪中継会場、福岡中継会場で開催し、計221名のメンバーが参加しました。
■世の中の動きのとらえ方を知る
9月度定例会のテーマは「視座を高める/知見を広げる」。
外務省で外交の前線に携わってきた、株式会社日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長、公益財団法人日本国際交流センター シニア・フェロー、元外務審議官の田中 均氏を講師に迎え、「国際情勢の読み方」というテーマで講演が行われました。
国際情勢を大きな流れのなかでとらえる方法や、冷戦終結から現在までの流れ、そして今後の展望や課題などをわかりやすく解説していただきました。
参加者からは、講演を通じて、国際情勢と自身との関係性が深く、国際情勢を読むことの重要性に気づいた、情報をすべて鵜呑みにするのではなく、読み方や対応方法を探り、得た情報を自分なりに分析・評価する習慣をつけたい、といった声が多くあがりました。講演後のワークも含めて、今の自身の在り方・考え方に対する内省と今後の意識を変えていこうという決意につながる意見もあり、「世の中の動きをどう読むか、どう対応するかを考える習慣をつける」という定例会の目的を多くのメンバーが達成できたようです。
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国際情勢を読む際には、大きな流れを把握することが大切です。今、日韓関係は悪化していますが、新聞やインターネットを見ると、背景に徴用工のことや経済的な問題などがあるといった情報を簡単に得ることができます。情報を収集したら、次は分析です。日韓関係がなぜ悪くなっているのか、その要因を分析します。そして、必ず実行してほしいのが評価、アセスメントです。日韓関係が今後、どう変わっていくのか、そして、それが両国の関係にどのような意味をもつのかを評価することが重要です。
続けて、今後の動きと日本への影響を考えてみましょう。米国は今までは圧倒的な地位にあり、国際社会のリーダーとしての役割を果たしてきました。しかし今日トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げ、国際協調路線からは離れ二国間主義を追求しています。果たして今の米国は、日本にとって信頼にたる同盟国なのかどうか疑問も生じています。中国は3つの矛盾を抱えています。1つ目は高い経済成長を達成するために改革開放政策をとらざるを得ないが、国内の締め付けは強めています。2つ目は同じ国のなかに香港と台湾という別制度の地域がある「一国二制度」。香港で起きている騒動を中国は制圧したいと考えているはずですが、強権を使えば国際的な制裁を受けることになり、経済成長は止まります。3つ目は国際関係です。中国が大国化していく中で、他国との衝突は避けて通ることはできず、その最大の衝突相手が米国です。これまでは寛容だった米国も、今後は厳しい態度を示すでしょう。~参加者の感想 ~アンケートコメントより~
【田中 均 氏のPROFILE】
株式会社日本総合研究所 国際戦略研究所 理事長、公益財団法人日本国際交流センター シニア・フェロー、元外務審議官。1969年京都大学法学部卒業後、外務省入省。北米局北米二課長(1985-87)、アジア局北東アジア課長(87-89)、英国国際戦略問題研究所 研究員(89-90)、在連合王国日本国大使館公使(90-93)、総合外交政策局総務課長(93-96)、北米局審議官(96-98)、在サンフランシスコ日本国総領事館総領事(98-2000)、経済局長(00-01)、アジア大洋州局長(01-02)を経て、2002年より政務担当外務審議官を務め、2005年8月退官。同年9月より(公財)日本国際交流センター シニア・フェロー。2006年より2018年まで東大公共政策大学院客員教授。2010年10月に(株)日本総合研究所 国際戦略研究所理事長に就任。オックスフォード大学より学士号・修士号(哲学・政治・経済)取得。著書に『国家と外交』(共著・講談社、2005年11月)、『外交の力』(日本経済新聞出版社、2009年1月)、『プロフェッショナルの交渉力』(講談社、2009年3月)、『日本外交の挑戦』(角川新書、2015年8月)、『見えない戦争』(中公新書ラクレ、2019年11月)などがある。