J-Win第7期High Potentialネットワーク 2月度定例会が、2018年2月5日(月)に東京ウイメンズプラザで開催され、約200名のメンバーが参加しました。
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私は、1997年から約3年半の米国3M赴任を終えた後、成長が落ち込む日本の住友スリーエムの改革に乗り出しました。当時、日本と米国を比較すると、社員個人の能力に差があるわけではないが、仕事のやり方や働き方、特に事務系の生産性が大きく異なっていました。また、米国では女性が活躍しているという点も大きな違いでした。こうした背景にあるのは、職場に共通する習慣や行動、価値観の違いです。一言で言うと「企業文化」になりますがこの企業文化が個人の生産性に大きく関わっていました。そこで、日本のスリーエムの企業文化を変えることで、個人が本来の能力を発揮できるのではないかと考え、企業文化の変革に取り組みました。制度や組織といった目に見えるハード面をまず変え、その後に考え方や行動を変えるソフト面の改革を行いました。年功序列の廃止や、業績と能力による評価制度の導入、女性活躍推進なども行いましたが、大事なのはソフト面です。人事制度を変えたとしても、行動が変わらなければ文化は変わりません。「なぜ変えるのか、変えることでどのような世の中になるのか、それに対して一人ひとりはどう関わりがあるのか」ということを論理的に説明することが大切です。改革を進めるうちに、まず若い世代への共感が広がりました。また中間管理職の人たちが私の分身のようになり、自らの行動で示し伝えたことが、社員3000人の古い行動を変えていく大きな力になりました。人の考えや行動そして会社の文化を変えることは大変です。「今日変えなければ我々は生きてはいけないのだ」という危機感を伝えていく必要があります。最も大切なのは、社員自ら変えていくというオーナーシップを持って取り組んでいくことではないでしょうか。
変革のために欠かせない要素のひとつが、女性の活躍です。日本における女性の活躍推進は欧米と比較するとまだ低い水準にあると言わざるを得ません。この背景にある大きな要因の一つは、女性自身の意識改革だと考えています。職場や家庭で、男性が中心、男性がリードすべき、あるいは男性と同じように取り組むのは無理だと考えてしまうことが一番の要因ではないかと感じています。男女ともに意識改革をし、行動につなげ、解決する道を見つけていくことが大切でしょう。 ~講演・ワークショップの感想 ~アンケートコメントより~
【金子 剛一 氏のPROFILE】
1968年、住友スリーエム株式会社入社。原価部長、財務本部長、取締役財務本部長を経て、1997年、米国の3Mアジア太平洋地域ファイナンシャルディレクターに就任。2000年以降、住友スリーエム株式会社取締役人事部長、常務取締役、代表取締役副社長などを歴任した後、2009年に特別顧問に就任。2010年、中日本高速道路株式会社代表取締役会長兼社長に就任し、2014年より相談役。