J-Win 第7期女性メンバーネットワーク9月度定例会が、2017年9月11日（月）に東京ウイメンズプラザ・ホールで開催され、215名のメンバーが参加しました。

1年間の活動の中盤となる9月の定例会は、「視座を高める・視野を広げる」がテーマ。トップを目指す上で欠くことのできないファイナンス知識の必要性を理解することをねらいとし、講演とワークショップを実施しました。

講師として、2014年から2016年までJ-Win Next Stageネットワークの「ファイナンス研究会」をご支援いただいた、みずほ証券株式会社　杉浦 秀徳氏をお迎えし、前半の講演では、コーポレートファイナンスを理解するために最低限抑えておくべき「投資決定」「資金調達」「株主還元」といったポイントを、財務データを交えてわかりやすくご説明いただきました。
後半のワークショップでは、事前課題として提示されていた4つの財務指標・データに基づいて、
以下3つのワークを行いました。
　1．少人数のグループで気付きと講演後の自身の意識の変化についてディスカッション
　2．全体でその共有と質疑応答
　3．杉浦氏による事前課題の解説と総括

「トップは経営判断を行う際どのようにファイナンスを活用しているか」を学び、経営者視点の理解につなげるという目的について、「事前課題の時はなかなか頭に入らなかった数字の見方について、杉浦先生のお話を聞いたことで自分なりの指標ができた」など、多くのメンバーがファイナンスに対する意識を高めるきっかけとなりました。

以下に講演の様子をダイジェストでご紹介します。
(＊社名・肩書き等は講演当時のものです。)

「管理職のためのコーポレートファイナンスの理論と実務　
　　　　　　～経営戦略実現の手段としてのファイナンス理論」
　みずほ証券株式会社　市場情報戦略部　上級研究員　杉浦　秀徳 氏

●管理職が必ず理解するべきファイナンス知識

「管理職のためのコーポレートファイナンス」というと、「財務部の人を育てるための話ですか？」と考える人がいますが、決してそんなことはありません。今回お話しするのは、将来、管理職になりトップを目指す皆さんが必ず知っておかなければならない知識です。普段ファイナンスの世界に接することの少ない方にとっては、最初はハードルが高く感じられるかもしれません。しかし、理解不足で判断を誤れば、会社を傾けてしまうこともあるのです。そこで、管理職として最低限理解していただきたい部分を、理論と実践の両面からお話しします。

●ファイナンスの3つのポイント－「投資決定」「資金調達」「株主還元」
コーポレートファイナンスとは、事業の未来を見て企業価値向上の実現をサポートする手段であり、3つのポイントからアプローチすることが重要です。
たとえば、「今、100億円投資をしたら、3年間で40億円ずつ儲けが出てきます。あなたは投資しますか？」というときに、「投資決定」「資金調達」「株主還元」というファイナンスの3つの構成要素から判断することが必要になります。一般的に考えれば、「3年で120億円になるのだから投資した方がいい」と思われるかもしれませんが、1年目と2年目、そして3年目の40億円の価値は違いますし、投資先によってリスクも異なります。表面上は120億円に見えても、実際には割り引いたら80億円にしかならないこともあります。それらを考えて、100億円の投資をするかを検討するのが「投資決定」、投資をしようと決めたときに、株で調達する、社債・銀行から借りるなど、お金の性質を考えたうえでどういう形で資金を調達すればいいかを判断するのが「資金調達」です。そして、儲けが出たときに、再投資するのか、株主に配当するのか、留保するのかなどを考え、決定するのが「株主還元」となります。

このようなポイントをおさえながら、さまざまな状況に応じた的確な判断をするためのファイナンス知識を深めていってください。的確な経営判断を行い、戦略を数字で語れるトップを目指し、実践で生かせるスキルを磨いていっていただきたいと思います。

＜講演の感想 ～アンケートコメントより～＞
- 　決算書から経営者の描く戦略が読み取れるということが理解できました。単なる数字として
　　見るのではなく、戦略とどうつながっているのかという観点で見ていきたいと思いました
- 　今やっている業務やプロジェクトの価値判断を行う際に、ファイナンスの視点を取り入れる
　　重要性を学びました
- 　「お金には色がある」という言葉がとても印象に残っており、日本企業の特徴、欧米企業の
　　特徴、投資家の考え方などについて、学ぶことができました
-　 新聞・ニュースと紐づけて財務諸表が読めるようになると、実践的な力につながっていくと思う。
　　継続的な勉強をしていきたい