J-Win第7期女性メンバーの4月度定例会が、2017年4月26日(水)にTKPガーデンシティ竹橋で開催されました。今年度から立ち上がった関西支部のメンバーも参加し、総勢約270名の第7期メンバーが一年間の活動をスタート。内永 ゆか子理事長の講演「経営戦略としてのダイバーシティ・マネジメント」が行われ、ダイバーシティの価値や、キャリアアップへの意識改革について、考える場となりました。
ここでは、内永理事長の講演をダイジェストでご紹介します。
「経営戦略としてのダイバーシティ・マネジメント」
J-Win理事長 内永 ゆか子
●IBMでのダイバーシティへの取り組みをきっかけにJ-Winをスタート
私は日本IBM在職中ダイバーシティに徹底的に取り組み、その経験をもとに2007年にJ-Winをスタートしました。当時のIBMには長い成功体験がありましたが、業績は悪化。経営立て直しには、まずそのカルチャーを変えることが必要でした。その第一歩がダイバーシティであり、女性活用だったのです。IBMと同様に、日本には大きな成功を収めた企業が数多くあります。しかし、今日のように急速に変化していく世界で今後も成長を続けるには、常に新たなイノベーションを生み出していくことが必要です。
●過去の常識にとらわれない発想でビジネスモデルを変える原動力に
世界のビジネスのスピードは急激に速くなっています。例えば、3Dプリンティングは7年間で400倍、ドローンは6年間で142倍など、急速に機能が向上しています。10年前と今とではスピードが全く変わっているのです。この変化を支えたのはITでありネットワークです。「ムーアの法則」によると、10年でITは100倍、ネットワークは1000倍進化し、この流れは、あと20年は続くと言われています。人間の知能と同等レベルのロボットは7、8年で出てくるでしょう。IT化が進むと仕事がなくなるということは嘘ではありません。こうした変化に対応していくためには、ビジネスモデルを変えることが必要不可欠なのです。しかし、過去の成功体験の元で仕事をしてきた人に、いきなりまったく違うビジネスモデルを作れと言っても難しいのが現状です。そこで、過去の常識や、今までの慣習等にとらわれない、違った発想が必要になってきます。新しいことにチャレンジし、ビジネスモデルを変え、イノベーションを起こそうとするなら、過去の成功体験を共有していない、異なる価値観や多様なバックグラウンドをもった人が必要です。こうした背景から、今、世界中の企業がダイバーシティに取り組んでいるのです。そして、企業の多様性を高める第一歩こそが、女性の活用なのです。
●女性の意識改革が最大の課題
近年日本においても女性活躍を経営戦略に掲げ、管理職への登用に積極的に取り組む企業も増えてきました。一方で、皆さんの中には「自分にとって何のメリットがあるのか」と疑問に感じている人もいるのではないでしょうか。私は、女性がキャリアアップする上での、最も大きな課題は、女性の意識の問題だと感じています。「管理職になる自信がない」「管理職の仕事に魅力を感じない」など、上を目指すことに消極的な女性も少なくありません。しかし、ビジネスにおいては、上のポジションから意見を発信することによって新しい風が吹きます。職位が上がれば責任も大きくなりますが、部下を使って大きな仕事もできるようになり、やりがいも増していくのです。キャリアアップすることは、仕事を通じて大きく成長し、自己実現をすることなのです。2番目の課題としては、仕事と家事・育児の両立の問題があります。しかし、現代は高機能な家電製品や、便利なサービスも生まれています。こうしたツールや仕組みを活用することで効率化できる点もあるのではないでしょうか。3番目の課題は、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」。過去の成功体験の上にある男性中心のモノカルチャーで、お互いの"あ・うんの呼吸"で物事が動いていくような暗黙のルールもあります。仕事をしていく上では、こうした世界とも上手に付き合っていくことが必要です。
●馬に乗ったら乗り続けること
上のポジションに立って仕事をすることは、時には大変なこともありますが、その何十倍も楽しいことがあります。ぜひそこを目指して、馬に乗ったら乗り続けてください。途中めげるようなことがあっても、下りないで乗り続けること。会社は、それだけの能力があると思う人にだけ声をかけているのですから、たとえ失敗しても引け目を感じる必要はありません。ぜひチャンスがきたら必ず挑戦してください。仕事をする時間は20代から60歳くらいまでと、人生の中でも長く大事な時期です。大切な時間を仕事に費やすなら、会社に大きな貢献ができるような仕事をすることで、より高い充実感が得られるのではないでしょうか。日本の企業がモノカルチャーを打ち崩さない限り、イノベーションは起きず、次の時代に乗り遅れてしまいます。ダイバーシティは会社のため、社会のためなのです。皆さんが、企業の中でキャリアアップして活躍することが触媒となり、ビジネスを変える原動力になっていくことを期待しています。