J-Win8月度定例会が、2016年8月3日(水)に東京ウィメンズプラザホールで行われました。今回は、東京電力パワーグリッド株式会社 茨城通信ネットワークセンター 所長 小菅美佳氏によるロールモデル講演、キャリアビジョンに向けたワークショップなどが行われました。
ここでは、ロールモデル講演をダイジェストでご紹介します。
講演
東京電力パワーグリッド株式会社
茨城通信ネットワークセンター
所長 小菅美佳氏
●女性技術者採用の第一号として入社
安定した電力が人々の暮らしや日本の産業を支えること、そして最先端の技術に触れられる環境に魅力を感じ、1988年に東京電力に入社しました。技術系の女性の採用の第一号だったということもあり、社内でも珍しがられ注目されました。1年の現場経験の後、本社に移動して開発の仕事に携わりましたが、技術だけではなく現場の運用がわからないと良いものは作れないことを実感しました。
●「4年でマネージャーになる」という目標を立てて管理職へ
28歳で結婚し、一年の育児休暇を取得した後、復帰しましたが、経験がないことに不安があったので、現場の"鬼軍曹"たちに教わりながら「技術認定」を取得しました。この後、現場指導職になりましたが、ミスをしないで仕事をするだけで精一杯。ある時上司から「お前は女性技術者採用の第一号だけど伸びていない。何年後にどんな職位でどこに行くのか目標を立てなさい」と言われました。その言葉に目が覚め、「4年でマネージャーになる」という目標を立て、4年半で技術系現場初の女性マネージャーになることができたのです。それから、さまざまな仕事に携わっていますが、転勤するたびに「夢に日付を打つこと」の大切さを実感しています。
●育児のせいにしない覚悟を
仕事と育児の両立においては、「①人(夫)にも任せ、任せたら出来上がりにはケチをつけない」「②お金で解決できることは利用する」「③ないものは作る」の3つを徹底してきました。両立に悩んで仕事をやめようかと思った時もありましたが、夫と娘が「こんなに協力しているのだから頑張れ」と逆に励ましてくれました。
仕事においては、できると思っていたことができないとつい「育児で時間がないからだ」と思ってしまいがちですが、育児のせいにしない覚悟を持つことが大切だということにも気づきました。仕事を頼まれたら何日で仕上げるかを宣言して、自分がやり遂げる覚悟を固め、周りを巻き込みながら進めていく方法も学びました。
●J-Winは本当のリーダーシップが学べる場
ある時、会社の先輩に「後輩を育てるのがパイオニアの役割だ」と言われたことが、J-Winに参加したきっかけです。J-Winでは上司・部下ではないフラットな関係だからこそ、本当のリーダーシップを発揮して学ぶことができます。活動を通して内永理事長やトップリーダーの方々の言葉で印象に残っているのは、「チャンスは活かす」「Noとはいわない。YESといって走りながら考える」「失敗しても落ち込まない」。忙しい中での活動は大変かと思いますが、自分の最大処理能力、最大瞬間風速を知り、さらに成長できる機会としていってください。
●目指していた「後輩の育成」にも着手
現在はJ-Win Next Stageで活動しています。企業のトップを経験された方の講演会などを通して、視座の高さや視野の広さ、人間性を学ぶ自己研鑽の場になっています。会社では、技術者ネットワークを立ち上げて事務局長を務め、「後輩を育成すること」に、ようやく着手できる立場になりました。トップになったら何をやりたいのか、将来の夢を持つことの大切さを実感しながら、日々チャレンジを続けています。
【小菅美佳氏のPROFILE】
東京電力パワーグリッド株式会社 茨城通信ネットワークセンター 所長。 1988年、東京電力株式会社入社、同社初の電気系女性社員として採用され注目される。本店での電力保安通信機器の開発、支店での現場対応、指導職業務などを経て、2008年に技術系現場初の女性マネージャーに就任。東日本大震災後に発足した原子力システム強化プロジェクトにグループマネージャーとして携わった後、茨城通信ネットワークセンターへ。53人の男性部下とともに、茨城県域の通信設備の保守、建設、運用などに取り組んでいる。