2016年4月20日(水)17時から市ヶ谷のTKPカンファレンスセンターで、4月度定例会が行われました。第6期女性メンバー活動のスタートとなる今回は、J-Winの内永理事長による講演に続き、1年間の活動についてのオリエンテーションが行われ、J-Winの概要や目的、一年間の活動内容などについて事務局からガイダンスを行いました。
ここでは、内永理事長の講演をダイジェストでご紹介します。
経営戦略としてのダイバーシティ
J-Win理事長
内永 ゆか子
近年のITの発達により、世界中で起きていることがすぐにビジネスに影響するようになるなど、"世界のフラット化"が急速に進んでいます。「ムーアの法則」によると「10年でITは100倍、ネットワークは1000倍良くなる」と言われており、市場は急激に変化し続けています。企業がこうしたスピード感の中で生き残るためには、新しい発想、価値観、知恵を入れて、新たなビジネスモデルを生み出すことが求められているのです。会社がイノベーションを起こすための源泉として、従来とは異なる発想を取り入れるうえで大変受容な役割を果たすのが女性活用です。女性が既存のしくみやルールに疑問を呈すことで、見直しを促し、変革のトリガーとなるのです。今までの古いやり方に風穴をあけることは、組織を活性化させます。また、そういった経験が、自分の人生にも良い影響を与えていくのではないでしょうか。
●女性のキャリアアップに必要なこと
女性側からキャリアアップを考える上での課題として聞かれることのひとつは「将来像が見えない」ということです。ロールモデルが身近にいないということもあるかもしれませんが、会社に貢献してキャリアを上げていくことはすばらしいことなのです。上に行くほど、自由になり、多くの部下を抱えることで、実現できることも多くなります。
2番目の課題は「仕事と家事、育児のバランス」です。かつてIBMではITを活用したフルタイムの在宅勤務を可能とする「e-ワーク制度」という仕組みを作りました。これによって、単なる労働時間の時間短縮ではなく、「時間」と「場所」から自由になり、仕事の結果もきちんと出すという働き方がスタンダードになりました。限られた時間の中で仕事をして結果を出すには、効率の良い方法を生み出すことも重要です。働き方に変革を起こすには、無駄な仕事の見直しや残業の削減だけでなく、業務フローを「見える化」し、個人の業務内容や範囲、評価基準を明確にすることが大切なのです。時間ではなく成果で評価すること、時間、場所にとらわれない柔軟な働き方を推進していくこと。それを実現するには、ITとネットワークを徹底的に使う必要があります。
3番目の課題は「オールド・ボーイズ・ネットワーク」です。企業には、長い歴史の中で男性中心の社会で共有されてきた目に見えない文化や約束事があります。組織の中でどういう態度をとれば良いのか、男性同士の中では共有されますが、女性にはなかなか継承されない傾向があります。企業の中での動き方を学ぶために、男性の元エグゼクティブなどにメンターになってもらうと良いでしょう。築かれた企業風土にうまく対応しながらも、古くなったルールは必要に応じて変えていくことも大切です。
●キャリアアップは人生における自己実現
J-Win参加者のアンケートで、「Women to the TOP! を目指したい」という人は、活動スタート時では59%にとどまりますが、1年の活動を終えると、94%の人が「目指したい」と答えています。キャリアアップして自分が会社に貢献し会社を強くし、自分の人生における自己実現もしていく、というスイッチを上げてください。自分のキャリアに対して目標を明確に持ちましょう。そして、与えられたチャンスにはぜひチャレンジして、自分のものにしてください。個人としての価値、強みを持って、お互いに助け合えるネットワークや、メンターの力を借りることが大切です。長い人生の中ではさまざまな出来事がありますが、キャリアアップという馬に乗ったら下りないこと。会社に貢献し、自分の自己実現をするという馬から下りない気持ちを持ち続けることは、人生の大きな財産になります。
今日から、いよいよ第6期女性メンバー活動がスタートします。各企業は、期待を持ってみなさんをこの場に送り出しています。この一年の機会を自分のものにするかしないかは、自分次第です。お互いに研鑽し合い、サポートし合いながら、ぜひ一生の財産となるネットワークを築いていってください。