J-Win11月度定例会が、2015年11月24日(火)17時から神宮前の東京ウイメンズプラザで行われました。今回は、株式会社美・ファイン研究所の小林照子氏を講師に招き、「外見の輝きは心の輝きを作る」というテーマでご講演いただきました。コーセーの美容部員からキャリアアップを重ねていった貴重な体験談や、豊富な経験から繰り出すメイク術は参考になる話ばかり。年齢を感じさせない若々しさに驚きながら、美容研究家の第一人者として培ってきたノウハウに、参加者の多くが興味深く聞き入りました。
ここでは、小林氏の講演をダイジェストでご紹介します。
「外見の輝きは心の輝きを作る」
株式会社美・ファイン研究所
小林照子氏
(*肩書は講演当時のものです)
●与えられた仕事を夢に向かって取り組んだコーセー時代
私は演劇の世界のメイクアップアーティストになりたいという夢を持ってコーセーに入社し、一介の美容部員からキャリアを積み上げてきました。最初の仕事は、山口県で化粧品を販売することでしたが、私は店頭で自分の研究のために、お客様にメイクをしていました。会社から与えられた仕事に自分の夢を重ねて生きていたのです。こうした経験を経て、誰よりもメイクが上手になりました。それだけでなく、山口県でコーセーの化粧品が売れ始めたことが注目され、本社の教育部門でメイクの先生に抜擢されたのです。また、当時は化粧品の広告が増え始めていた時代でしたので、宣伝部からの依頼でモデルにメイクをする機会も数多くあり、さらに仕事の範囲を広げるきっかけになりました。
一方で、自分の求める化粧品を追求する意欲も高まり、商品の企画開発にも携わるようになりました。さまざまな壁を乗り越えながら、「美容液」などの世界初の商品をはじめ、コーセーから多くの化粧品を世に送り出すことができたのです。
●外見の力で運を引き寄せるメイク術
運命や人生を変えていくには、外見の力を伴うと、さらに大きなパワーを生み出します。例えば、30代の女性が、はつらつとしたメイクで20代のように、また、落ち着いたメイクで50代のようにと、印象を変えることも可能です。もしモデルを目指すとするならば、メイクの印象で活躍できる幅も広がっていきます。さまざまな仕事の場面で、メイクで表現する外見の力によって、目標に近づくこともできるのです。
では実際に、メイクアップを行ってみます。仕事で大事なプレゼンを決める日の勝負の顔、面接で合格する顔など、さまざまなテーマをメイクで表現することができます。今回のモデルの鈴木さんは、華やかさと東洋的なミステリアスさを持ち、"相談すると的確に答えてくれそうな信頼できる人"という印象があります。目鼻立ちがしっかりしているので、引き算の化粧でナチュラルメークに仕上げていきましょう。
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<メイクアップのデモンストレーション>
会場からモデル希望を募り、ステージ上でメイクアップアーティストの藤枝暁子氏によるデモンストレーションを実施。クレンジング後にホットタオルでの丁寧にスキンケアとベースメイクが行われた後、ポイントメークを施して、より知的な印象に仕上げられました。
<テーマを持って印象を作り出すメイク>
「元から持っている雰囲気を生かして、アイラインをポイントに、目元に知的な印象をプラスしました」と藤枝さん。モデルになった鈴木さんは、「一重まぶたにコンプレックスがありましたが、メイクでいつもとは違う印象を作り出せることがわかりました」と、新たな発見があったようです。メイクでの印象の変化に、会場からも驚きの声が上がりました。
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●ポジティブな脳へのスイッチと温冷美容で10年先も美しく
私は自分の経験の中から、一手間の愛情を注ぐ「温冷美容」法を発見しました。10歳のとき、東京から寒い山形に行って、ひびやあかぎれがひどい状態になっていたところ、近所のおばさんが手と足を交互に温めて冷やす方法を教えてくれたのです。それがヒントになり、後にホットタオルを使う温冷美容の発想につながりました。時間をかけてクレンジングし、マッサージとホットタオルでのケアを習慣にすると、一週間で肌が別物に変わります。美容部員として山口県でメイクしていた時も、温冷美容を実践し、その肌の変化に驚かれました。
また、皮膚は脳とつながっていますから、ポジティブな気持ちで「今日もよくがんばったわね」という気持ちでお手入れすることが大事です。シワを見つけて落ち込むなど、ネガティブなことは考えてはいけません。一日頑張った皮膚をホットタオルで気持ちよくケアして、脳に明日も頑張ろうというポジティブなスイッチを入れることが大切なのです。
人生の中で、思春期を超えて18歳から38歳くらいまでは、女性ホルモンに守られているパワフルな時代。38歳頃を過ぎると、先々の更年期に向かってシフトしていく時期になり、体にもさまざまな変化が現れてくるでしょう。50歳前後に更年期に入りますが、そのトンネルを抜けると立ち直って元気にエネルギッシュになります。今は100歳くらいまで生きる人がいる時代です。更年期の後に、女性が人生をもう一回やれるくらいの年月があるわけですから、年齢を重ねても常に10年先を生きることを考えて、美しさを磨いていってほしいと思います。
【小林照子氏プロフィール】
1958年、小林コーセー(現コーセー)に入社し、35年間に渡り美容研究、商品開発、教育などを担当。取締役、総合美容研究所所長として活躍後、1991年「会社から社会へ」のコンセプトのもとに研究を広めるべく「美・ファインの研究所」を設立。1994年に「[フロムハンド]メイクアップアカデミー」、2010年に「青山ビューティー学院高等部・東京校」、2013年に同・京都校を開校し、両校の学園長に就任。教育から商品開発、企画など、あらゆるビューティーコンサルタントビジネスを25年に渡り展開している。 「80歳のケセラセラ。いくつになっても転がる石で」(講談社)など、著書多数。