2015年8月3日(月)17時~東京ウィメンズプラザに於いて、8月度定例会が開かれました。今回の講演は、J-Win第1期女性メンバーであり、三井住友銀行の執行役員に就任された浅山理恵氏より、ご講演いただきました。
「『働く!』を『輝く!』へ~
~頑張る今日が明日への一歩~~」
株式会社三井住友銀行
執行役員
浅山 理恵氏
(*肩書は講演当時のものです)
●両立のコツは、効率化マネジメントのポイントと似てる?
私のキャリアは、「法律」というか時代の動きが後押しをしてくれたと思っています。まず最初が「男女雇用機会均等法」が施行されたおかげで、当行の女性総合職の一期生として採用されました。2007年にこのJ-Winの女性メンバー1期生になったときも、会社が「女性活躍推進」の組織を立ち上げたところでしたが、社会の女性を後押しする動き、そして金融が規制緩和していく大きな動きの中でキャリアが形作られたと思っています。
今回の講演に当たり、皆さんからいただいた質問を見せていただきましたが、「皆さんとてもしっかりしている。管理職への意識を既にきちんと持っていらっしゃる」と感心しました。私は管理職になるまでは無自覚で、若いうちにもっとしっかりと意識して、いろいろ勉強しておけばよかったと、今頃反省しています。
今日お話しする両立などの話も、個人によって事情も違いますので、あくまでも「浅山の場合」という、一つの例としてお聞き頂ければと思います。
結婚は、20代でしたが、出産は結構悩みました。家事が行き届かずとも、夫が飢えることはありませんが、子どもの世話はそうはいきません。また、女性にはどうしても出産できる年齢に限界もあります。第1子を産んだのが37歳、その後支店長になったりして、第2子は40代でした。ここは、皆さんも悩むところかと思います。ただ、私は、社会や職場において、子どもを持っているかどうかで女性を分断するような風潮はいやだな、と感じています。それぞれの選択として自然に受け止める社会になってほしいですね。両立については、実は管理職対象の事務効率化研修を受けたときに、「これだ!」と思ったポイントがあります。①やらない ②アウトソースする ③機械化する ④練度・スキルアップ ⑤多役化する、です。以来、家事にもこの要素を考えます。アイロン不要のものを購入、子育ては一部、シッターさんにもお願いしましたし、自動掃除機はもちろんすぐに買いました。小学生の娘も、食卓の準備や片づけをしますし、中学生の息子は炊飯器のセットくらいはやっています。今は女性の先輩がたくさんいる時代になったのですから、両立についてもどんどん聞いて、多くの方のケースからいいアイディアをもらったらいいと思います。J-Winは、そういう意味でも私にはありがたいネットワークでした。
●管理職の役割は、自分の思いを「人」に実行してもらうこと
女性総合職第一期生ですから、管理職になった時にはとてもあせり、また不安でした。全く心の準備ができていませんでしたが、それでもいろいろな助けを借りて何とかやってきました。
ただ、「マインドチェンジ」は必要だと、今になって痛感します。管理職は「自分の思い、考え」を「人に実行してもらう」わけですから。そのためには、「発信力」、「組織認識力」、「自信=腹の据え方」が大事だと考えています。ビジョンを示すことはもちろんリーダーの仕事ですが、支店長になって初めて「思っているだけではわかってもらえない」と痛感し、実行してもらうためにはきちんと説明し、納得してもらう「発信力」の大切さを思い知りました。
また、大きな仕事になればなるほど、自分のセクションだけでなく、関連部署との連携や上司の了解を得る必要が出てきます。そうした時に、公式の会議だけでなく、事前に関連部署に相談に行くとか、少なくとも自分の上司に十分理解してもらうなど、組織をうまく回していけるような体制を作ることが実はとても大切です。私自身管理職になってみると、「もう少し早く相談に来てくれたらいいのに」などと思うことがたまにありますが、正直若いころは、誰を味方にしたらうまくいくかなど、組織認識力をあまり意識していませんでした
また、男性に比べ女性は「自信」を持てない人が多い・・・と言われますが、私自身、この点は今も課題です。多くの人を束ねていくには、やはり自信あふれる態度でないと、ついてゆく人が不安になります。なかなか難しい課題ですが、アメリカの女性ジャーナリストが書いた「なぜ女は男のように自信が持てないのか」(クレア・シップマン著)といった本を読むことで、私だけではないのだ、と参考になりました。
内永理事長は、管理職への挑戦を山登りになぞらえ、「上に登ると、地上とはまったく別の景色が広がっている」「イタキモ(痛いけど気持ちいい)」と表現されました。仰っていた意味が、ようやく少しわかりかけてきた気持ちです。
悩みは尽きませんが、悩んでいるより、「いい仕事をしよう」という姿勢が悩みの解決に繋がると感じています。これからも、与えられた機会を活かし、いい仕事をしていきたいと思っています。
【浅山理恵氏プロフィール】
1987年株式会社住友銀行に入行。人事部、法人営業部、支店などを経て、2003年株式会社三井住友銀行港北ニュータウン支店長、その後、あざみ野支店長、ダイバーシティ推進室長、田園調布ブロック部長などを経て、2014年、品質管理部長、2015年より執行役員品質管理部長、現職。