2015年6月12（金）～13日（土）の2日間にわたり、大磯プリンスホテルに於いて第5期女性メンバーの合宿が行われました。
この4月にスタートした第5期ですが、4月度定例会でオリエンテーション、5月には先輩たちの体験談、そしていよいよ活動開始のための合宿です。合宿の目的は、①メンバー自身にとっての「J-Win活動」の意義を考える機会　②第5期ネットワーク活動の本格的なキックオフ　③キャリアアップについてポジティブな意識を持つ　④メンバー間ネットワーキング。とくに分科会については、1年後に良い成果が出せるよう3回のMTGが行われ、メンバー同士共通認識に立てたのではないかと思います。
合宿1日目のスタートとともに、内永理事長による「仕事からの贈り物」というテーマでの講演がありました。

「仕事からの贈り物」

J-Win理事長　
内永　ゆか子


●目標を高く！そこから今年やるべきことを考える


　　
　　 　私は25歳でIBMに入社し、60歳の定年まで35年間働き続けました。最後は取締役専務執行役員になりましたが、自分が役員になれるなんて思ってもいませんでしたし、その道のりが順調だったわけでもありません。山あり谷ありで、それでもあきらめずに頑張り続けた結果が初めての女性役員になれたということで、今回は私の体験談を中心にお話いたします。
　 　入社して1年間はSE（システムエンジニア）の勉強をしました。私は物理学科卒業ということもあって、当然SEとか開発に行けると思っていましたが、最初は広報に配属。でも異動希望を出して27歳で開発エンジニアとして研究所へ行けたんです。うれしかったですね。本当に張り切って仕事をしていたのに、なんとわずか4年、31歳でマーケティングへ異動になったんです。後から考えると、いろいろな部署を経験しておくことは、管理職としてはとても大切なことなんですが、若い私にはそんなことは分かりません。何でこの私がマーケなのよと、悲しくて辛くて席に座っていると自然に涙がこぼれてくる。メンタル障害になりかけていました。それを克服しようと社の階段を上ったり下りたり。ともかく身体を動かすことで、気持ちの転換を図りました。
　 　37歳で課長になりましたが、この頃私は素晴らしい外国人上司と出会うことができました。彼は「定年まで働き続けるとして、最後はどのポストまでいくつもり？」と目標を明確にするよう迫りました。当時、女性の部長はいませんでしたから、「部長くらい……」と答えると、「そんな目標の低いことでどうする」とどんどん引き上げていって、とうとう最高ポストを言わされたのです。30代半ばの私にとって役員なんて遠い夢の話でしかありません。ところが彼は、「最高ポストに着くとしたら、遅くても50代初めには役員になっていなくてはならない。それには45歳までに部長になる必要がある。では、5年後に部長になるには今のあなたには何が不足しているのかを考えましょう。そうすれば今年の目標が見えてきます。」というわけです。今やっている仕事の延長で考えるのではなく、逆算方式で考える。そうすると、課長としてもいろいろなポストを経験する必要性が分かる。見方も180度変わってくるんです。私は今も彼のアドバイスにしたがって目標を高くし、お正月には昨年の目標がどこまで達成できたかをチェックし、今年の目標を列記します。案外8割くらいは達成できているものですよ。
　
●Good Old Boys Network の仲間入りを
　
　 　管理職になって会議に出てみると、私の意見は全く通りません。女性だから軽く見られているんだとふてくされて、黙って会議のなりゆきをみつめていました。それで、気付いたんです。反対する場合でも、私のように「その提案には反対です！」なんてストレートには言わない。「素晴らしいご提案だと思います。ただ・・・・」と結局は反対しているんですが、枕言葉をつける。そうか、言い方１つで聞く耳を持ってくれるんだとわかりました。こんなルールとも言えない暗黙のルールは、男性ならきっと先輩の誰かが注意してくれたことでしょう。アメリカではこうした暗黙のルールを教え合う仲間を皮肉を込めて「Good Old Boys Network」と呼んでいます。男性なら、入社のときから先輩や上司が、「おい、その服装は何だ！ワイシャツはピンとしたものを着てこい」とか、「昨日上司にたて着いていたけど、あんな言い方はないぞ」とか、さまざまなアドバイスをもらえ、暗黙の社内ルールを身につけてゆきます。でも女性にはそれがない。女性はそうした不利な立場にいるということを意識して、たまには飲み会につきあうことも大事です。
　 　皆さんの中には、部長や役員なんかになったら大変だわと思っている人も多いことでしょう。でも、仕事は一人より10人、10人より100人、1000人の方が大きなこと、世の中に影響力のあることができるんです。確実に面白い。自己実現の手段です。そのためには、キャリア目標を明確にし、自分の強み、得意分野を磨きましょう。皆さんも夢は大きく、「Women to the Top !」を目指しましょう！