私がかつて在籍した日本IBMでも「Women's Council」というプロジェクトができ、当時ただ一人の女性役員だった私がリーダーに任命されました。そこで、女性が活躍できない原因についててってき的に調査し分析しました。その結果、問題点が明らかになりました。いわゆる「仕事と家事・育児との両立」だけではありません。むしろ、自分の「将来像が見えない」という理由で、会社を辞める女性が多かったことが判明しました。つまり、女性で管理職についているのはほんの少数だったので、10年後、20年後の展望が見えない、だからやめて別の仕事を探したという人が多かったのです。
そこで、まずは会社に対して、「経営目標」であることを認めてもらいました。女性フォーラムを開き、女性のネットワークを作って、メンターやロールモデルをみつけられるようにしました。ワークライフバランスのためには「e- ワーク」制度や業務プロセスの見直し、個々人の業務範囲と求められる成果の明確化など、時間や場所に拘束されずに働ける、評価されるようにもしました。そして将来の女性役員候補をリストアップしてキャリア開発を行い、女性管理職の登用については、管理職の評価項目にも入れました。そして、数年後には女性活用について、目標設定どおりの成果を出すことができたのです。
これらの取り組みは、現在は体系化して、J-Winとして会員企業各社にそのノウハウを提供しています。皆さんの女性メンバー活動のほかに、「ダイバーシティ推進責任者会議」も定期的に会合を行い、以上の施策をどう社内に根付かせるか研究してもらっています。ダイバーシティを推進するということは、一人ひとりの社員が活躍できるような企業風土を創ることであり、その価値観の多様性を生かせる企業・社会となることを目指すということだと考えています。
みなさんはそうした社の期待を担って幹部候補生として、このJ-Winに送り出されてきたわけです。ぜひ「Women to the Top!」を目指して下さい。