2015年1月9日(金)~10日(土)の2日間にわたり、つくば国際会議場に於いて1月合宿が行われました。合宿1日目に、J-Win内永理事長から「グローバルリーダー」と題しての講演がありました。
「グローバルリーダー」
J-Win理事長
内永 ゆか子
今日は、これから求められる人材、グローバルリーダーの話をしようと思います。企業環境の変化のスピードはますます速くなり、グローバル化も確実に進みます。「ムーアの法則」では、テクノロジーは10年で100倍進化する、ネットワーキングは1000倍拡大するといっています。決しておおげさではなく、ここ10年で証明されていますね。この情報の変化が国の壁を越えて、トーマス・フリードマンのいう「World Is Flat(フラット化する世界)」になるわけです。
そうした中では、企業のあり方も変わってくる。今までは、三角すいの組織で「垂直統合型」。上から下へと情報が流れ、1つの会社の中に、企画・開発・人事・経理・営業・物流・・・・と必要と思われるセクションは全部ありました。でも今は、コアになるもの、本当に必要なもの、得意分野だけを残して、どんどんアウトソースし始めています。そのほうが安かったりするし、固定費ではなく、変動費で済む。弱みを切り捨てて外注化する、「水平分散型」になってきています。
10年以上前ですが、IBMで「ワールドチャット」というのをやりました。世界中のIBM社員が「今後IBMは何をするべきか?」について、72時間ぶっ続けで真剣に議論しました。参加した社員の数では、アメリカ、インド、日本~という順で、日本人社員はそれなりの参加がありました。しかし、発言数でみると、日本はずっと後。つまり黙って聞いているだけの日本人が非常に多かった。コミュニケーション力とかリーダーシップとなると日本人は苦手ですね。
また、日本の製造業は、ブラッシュアップするのは得意だが、新しいコンセプトを作りだすのは不得意です。でもこれからは、イノベーションが必須です。革新につながる構造改革やアイディアが重要になります。だからダイバーシティ=多様性に活路を見出すのです。違った発想、違った価値観、違った文化が求められる。世界中がそれに気づいてどこの国もダイバーシティを真剣に進めている。日本はモノカルチャーで成功してきただけに転換できずにいる。だからこそみなさん、女性が日本を変えるのです。会社を変えるチェンジエージェントなってください。
●グローバルリーダーになるには?
では、どういう人がグローバルリーダーになりうるのでしょう?日本国内のリーダーと海外にも通用するグローバルリーダーとは、もともとは変わらない。ただ、多様な人種となると、道徳、価値観、文化、みな違う。その中で唯一のコミュニケーション方法は、「論理性」です。論理的に物事を考え、分析し、検証することです。例えば、女性はなぜ活用されないの?というと、「ワークライフバランスだよ」と簡単に答える人がいる。でも本当にそうでしょうか?物事をもっとつきつめて考えること、本質をきちんと追求していることが必要です。さらに、それを全体で共有するために「見える化」することです。コンセプトが共有できて、そのうえで実行するチームを作り上げるのです。
またグローバルリーダーは、自分自身の哲学、文化、価値観をきちんと持っていないと、リスペクトされない。私もかつて、大幅な人員削減の命を受け私自身リーダーとして、ずいぶん葛藤し苦しみました。そんなときに、アメリカ人の経営者に相談すると、彼女は「経営者には、本当にこれでよいのかと悩む決断がたくさんある。そんな時はバイブルを読むの」と。宗教を持っている人は強いですね。私はバイブルに変わるアイデンティティを見つけなければなりません。まだまだ模索中ですけれど……。そうした「人脈」、世界中のトップエグゼクティブと人脈を持つこともとても大事、財産です。
そして、価値観が違うからこそ発見があるので、多様性、不確実性に対する許容度や包括力を持ちましょう。相手の価値観をリスペクトしながら共通の価値を作り出し、目標に向かって一緒に協働できる、そんなグローバルリーダーをみなさんもぜひ目指してください。