2014年11月12日(水)17時~東京ウイメンズプラザにおいて「11月度定例会」が開催されました。
損害保険ジャパン日本興亜株式会社代表取締役副社長執行役員 磯谷隆也氏より、「経営戦略としてのダイバーシティ~~We must change to remain the same」としてご講演いただきました。
「経営戦略としてのダイバーシティ~
~We must change to remain the same」
損害保険ジャパン日本興亜株式会社
代表取締役副社長執行役員
磯谷隆也氏
(*肩書は講演当時のものです。)
●危機感を共有し、企業を、個人を変えていく
今日の講演のキーワードとして、「危機感」の話をしたいと思います。みなさんは、「202030」についてはもちろんご存知ですね。2020年までに指導的立場の女性、つまり管理職の女性を30%にしましょうという日本政府としての大きな目標です。弊社はこのJ-Winがスタートした2007年から、スポンサー企業となり、「ダイバーシティ」施策を懸命に進めてきました。そしてようやく2015年度末に女性管理職比率が10%強程度までになる予定です。そして今は、2020年の末までには30%にしよう!と本気で取り組んでいます。その理由は、この激動の時代に企業も変わってゆかなければならない、変革しないかぎり企業の存続自体が危ういという危機意識を持っているからです。
この激変の時代においては、『誰よりも早く危機感を持ち、誰よりも強いリーダーシップでピンチをチャンスに変えて行く人が真のリーダー』だといえます。国・企業・個人において危機感を共有し、この変化の大きな時代に何を守り、何を変容していくのかを、リーダーは見極める必要があるのです。
日本は、戦後長い間経済も人口も右肩上がりの高度成長社会でした。しかし今は、超高齢社会に突入しただけではなく、2011年から人口減少社会に入っています。とくに、生産年齢人口(15歳~64歳)、つまり実際に「働く年代」が減少し始めているわけです。安倍総理は女性の活躍をうたっていますが、これからは、女性も高齢者もみんながどんどん活躍して社会を担う役割を果たしていかなくては、労働力はますます不足し、日本経済は縮小する一方です。国も社会もこうした大きな変革期を迎えているのですから、企業も変わらなくてはなりません。「We must change to remain the same」=守りたいものを守るために、我々は変わってゆかなければならない。だから弊社は、経営戦略としてダイバーシティに本気で取り組んでいるのです。
●女性管理職を育成する施策を多数用意
「経営戦略として、ダイバーシティに取り組んでいる」ことを、社員一人ひとりに浸透させるために、社長も役員も機会あるごとに、メッセージを出しています。そして、大きく2つの面から「女性管理職の育成」に取り組んでいます。1つは、女性たちを早く管理職登用できるようにするための各種研修や施策です。「女性経営塾」を初め、「プレ女性経営塾」「キャリアアップ研修」などです。また女性中心の営業店を作ったり、メンター制度も広範囲に行っています。
もう1つが「働きやすい・働きがいのある」職場作りです。女性社員が結婚や出産で辞めてしまっては、女性管理職は生まれてきません。そこで、在宅勤務制度や、育児休暇中の人たちを集めてのフォーラムなども行っています。もちろん上司たちの理解を深めるための「管理職D&I研修」やワークショップなどもあります。
最後に、このJ-Winのメンバーであるみなさまにひとこと申し上げたいと思います。J-Winでは100社以上のキャリア女性が集まってしのぎを削っています。各社のカルチャーがあり、やり方があります。社内では得られない気付きがたくさんあり、みなさんの視野を広げてくれることでしょう。また、すばらしいロールモデルを見つけたり、他社の友人とのネットワークも、これからのみなさんの貴重な財産となります。せっかくの機会を社からもらったわけですから存分に活用して、大きく成長するきっかけとしてください。
自分自身が自社のファンとなることで、組織の成長と自身の成長がシンクロし、会社・人生・生活を楽しくしてくれます。そのためにも皆さんに上昇志向を持ってほしい。バイタリティを持ち、ガラスの天井をぶち破り理想を実現して欲しい。上に行かなければ見えない景色がある。だからみんなさんにその景色を見ていただきたいと思います。
【磯谷隆也氏プロフィール】
1979年日本火災海上保険株式会社入社。名古屋、静岡、千葉での保険金サービス(保険金支払い)部門勤務ののち、本社損害調査部、総合企画部、人事部部長などを経て、2008年より執行役員に就任。2014年より代表取締役副社長執行役員、現職。