2014年10月度定例会が、2014年10月8日(水)17時から東京ウィメンズプラザで行われました。今回は、株式会社LIXILグループ 執行役副社長 八木洋介氏を講師に招き、「ガラスの天井を破る!」というタイトルでご講演いただきました。
「ガラスの天井を破る!」
株式会社LIXILグループ
執行役副社長
八木洋介氏
(*肩書は講演当時のものです。)
私は企業人事の役割とは「人材を活性化させて、企業を勝ちに導くこと」、これが一番大事だと思っています。だから人口の半分はいる女性を活性化しないで、そういう会社が勝つわけがない。女性も含めて人材を活性化するのは当然のことです。
私自身の仕事への姿勢として、皆さんにお伝えしたいと思うのは、「学び続ける」ということ。大切なのは次の3点、「基本」と「仕事」と「教養」です。
世界のリーダーは基本がしっかりしています。特に、戦略、マーケティング、ファイナンス。これらを学ぶと学ばないでは大違い。諸外国のリーダーの多くはビジネススクールへ行って、この基本を身に着けています。だから「戦略は?」と聞かれると、マイケル・ポーターはこう言っているとか、ボストンコンサルティングではこういう発表があったとか、グローバルリーダーからはどんどん出てくるわけです。
それから「仕事」。みなさん会社のことを意外と分かっていません。「今年のわが社の売り上げ目標は?利益目標は?今年の戦略5つは?」なんて聞くと答えられない。さらに、営業でも経理でも、自分の仕事に対して「私はこういう考えをもっています。迷った時の判断基準はこれです」と、仕事に対する自分の基準をもってください。グローバルで勝とうと思ったら、「仕事」のプロでなければいけない。
とはいえ、人事理論の教科書で全て語れるほど人事、人間は単純ではない。だから、哲学書、小説、歴史書など、「教養」が必要になります。「教養」がないとアイディアが出てこない。「教養」はアイディアの源泉です。私は常日頃から、使う言葉についても、磨く努力をしています。
ダイバーシティで大事なことは、違うアイディア、違う意見が出てくること。そこに新しいものが生まれ、活力を生み出すのです。私はある時期、何があっても毎日2時間は勉強しました。そうして2年間経ったら、圧倒的に優位になりましたね。つまり、700時間勉強すれば勝てる。
だからみなさんも本気で闘いたいなら、勉強することをいとわないでください。
●リーダーを選ぶには、年齢も性別も国籍も関係ない
日本はなぜガラパゴス化、失われた20年になったと思いますか?
今はものすごいスピードで世の中が変化している。その変化に対応できる新しい価値を生み出したところだけが生き残る。それには圧倒的な実力と、リスクをとる勇気、変革者が必要です。なのに、日本のようにみんながそうだよねと納得するようなことをやっていては遅いのです。「継続性、みんな仲良く、横並び、協調性、同質性」だけでは勝てません。変革の時代は、「戦略」と「ストーリー」で対応するのです。
世界の人口は70億人、そのうち働いている人は約40億人。日本で働いている人は6650万人。そのうち"オジサン"(45~55歳男性)は750万人。では、この時代を戦いぬいていくのに、日本企業はこれから750万人の中からリーダーを探すのがいいのか、6650万人、いや40億人の中から探すのがいいのか。どちらがいいのかは、自明です。
ガラスの天井をなくすのは、トップの仕事です。イノベーション、新しい変革が必要な時代なのです。そのためには「ダイバーシティの行動指針」をもたなくてはダメです。
世界でのターニングポイントは1975年の国際婦人年でした。それからアメリカやヨーロッパは、「変わらなくては!」と、必死になってダイバーシティに取り組んだ。日本はかなり遅れて「男女雇用機会均等法」を作ったものの本気で取り組みはじめたのはこの2、3年。結果的には40年の差がついてしまいました。
40年も遅れているのだからポジティブアクションを作らなければいけない。行動を起こさなければいけない。いまこそ、風土をつくり、組織・制度をつくり、思いっきりサポートしなければいけない訳です。当社も制度は整いました。けれど、男性や社内の意識が全部すぐに変わるわけではない。だから、相当薄くはなったと思うけれど、まだ天井はあります。あとは、みなさんの本気度次第です。薄くなった天井をぜひ突き破ってください。1歩前に出てください。今はどこの会社も優秀な女性を求めている時代です。ぜひ、このチャンスをつかんで欲しいと思います。
【八木洋介氏プロフィール】
京都大学経済学部卒業後、日本鋼管株式会社(NKK)に入社。MITスローン経営大学院で修士号を取得。のちGEにおいて、日本&アジアの人事部門を担当。2012年4月より、現在のポストに就任。人事、総務を統括。