2012年10月10日(水)、田町の女性就業支援センターで10月定例会が開かれました。この前日の9日より、188カ国の財務相や中央銀行総裁、金融機関のトップが一同に会する「国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会」が日本で開催され、それに伴って、世界銀行グループの1つ、国際金融公社(IFC = International Finance Corporation)のバイスプレジデントであるレイチェル・ロビンス氏が、J-Winメンバーのためにご講演くださいました。
※10定例会の実行委員メンバーは以下のとおりです。
実行委員長:酒井葉子(三菱東京UFJ銀行)
実行委員:加納友季子さん(NTTデータ)、掛川さおりさん(第一生命保険)、熊佐真由美さん(KDDI)、後藤亜美さん(プルデンシャル生命保険)、高濱佳子さん(キャタピラージャパン)、川羽田裕紀さん(第一生命保険)、長久保純子さん(日本生命保険)、田中三喜子さん(NTTドコモ)、増田幸子さん(損害保険ジャパン)
担当幹事:二葉美智子(株式会社リクルートホールディングス)
2012年7月に行なわれたJ-Win海外研修で訪問した米国ワシントンDCに本部を構える世界銀行は、貧困のない世界を目指して、開発途上国の経済・社会の発展、生活水準の向上、持続的成長を支援するため、資金協力、知的支援などを提供する国際開発金融機関(加盟国188カ国)です。世界銀行グループの一員である国際金融公社(IFC)は、開発途上国の経済開発を促進することを目的とし、民間セクターの活動を支援する最大の国際機関です。
IFCは女性活躍推進においても、女性のビジネスへの参画支援を通じて、世界銀行と各国政府による取組を支援しています。また、ビジネスによる女性の地位を高めるため、戦略的パートナーと共に革新的なアプローチを見いだし、女性のビジネスの機会の創出を通じて、地域市場と世界市場の改革を目指しています。そのバイスプレジデントを勤めるロビンス氏はJ-Winと女性メンバーの活動に賛同し、今回の講演をお引き受けくださいました。
講演に先立ち、まずは内永ゆか子J-Win理事長よりロビンス氏の紹介と「グローバルに活躍する女性エグゼクティブに接し、グローバル・リーダーシップについて考える」という今回の定例会のテーマについて、導入となるスピーチが行われました。実際にグローバル・ビジネスの現場で活躍する1人の経営者として感じた、グローバル市場における日本企業の現状や、世界の女性活躍推進の最新のトピックスについても語られました。
続いてIFCの活動を紹介するビデオが上映されました。低開発国での起業や企業活動に融資することで、その国の経済的な自立そのものを促すIFCの素晴らしい活動の内容と同時に、IFC職員として世界各地で活躍する日本人の姿も描かれていました。ビデオの上映後、レイチェル・ロビンス氏がご登壇。「海外の女性活躍推進の現状」と題して、女性のエンパワーメントが企業だけでなく国の経済を活性化するという事実と、自身の経験から得た女性がリーダーとして活躍するためのポイントを語ってくださいました。
「女性のエンパワーメントの重要性はもはや誰もが認めるものなのに、なぜそれが進まないのか。それは、企業内においてリスクをはらむが自身の成長にもつながるチャレンジングな仕事の担当として、男性上司は男性の部下を指名する傾向があり、それによって女性は成長する機会を逃しています。この問題を是正するため、男性上司の意識改革と部下を指導する立場の女性を輩出する努力を企業は行うべきですが、同時に女性もチャレンジングな仕事のオファーがあったときは、それに取り組む勇気が必要です。女性は自分の能力や仕事を引き受ける体制等が"完璧な状態"でないと引き受けない傾向がありますが、男性は完璧な状態でなくても引き受けるのです」
この第1の「安全領域を出てキャリアのリスクを取る」というアドバイスもふくめ、女性がビジネスパーソンとして成長するための5つのアドバイスが披露されました。第2は「周囲に対して自信と存在感、やる気をアピールする」。リーダーとフォロワーのちがいはソフトスキル、つまり態度なのだとロビンス氏は断言しました。「女性は親切すぎる態度だと軽んじられ、押しの強い態度だと男性以上に攻撃的ととられるので、難しい。こういった状況をよくするのはユーモアです。男性を脅かさず、かつ存在感を見せる、適切なふるまい方が必要です。」
第3のアドバイスは「ネットワークの構築」。業務から離れたところ、社内外での会合などに参加してネットワークを充実させ、メンターを見つけることの大切さを挙げました。第4は「クライアント、同僚との信頼関係の構築」。自分が他者に対して動機付けやサポートができることを示すということで、職位が上がるほどに重要なスキルだと指摘されました。第5は「自分にとって快適なワーク・ライフ・バランスを見つける」。「長く働き続け力を発揮するためには、この点をおろそかにせず、パートナーとのコミュニケーションをしっかりとって理解しあい、関係を良好に保つことは欠かせない」とロビンス氏。女性は自分が思っている以上に能力があるのだから、自信をもっていろいろな事にもっとチャレンジして欲しいと締めくくりました。
講演会のあとは質疑応答の時間。英語で質問をする女性メンバーもいました。休憩をはさんで、約30分、メンバー間でロビンス氏の講演内容について分科会ごとにシェアを行いました。シェアタイムでは再び内永理事長が登壇し、ロビンス氏の講演に関するコメントと補足を行い、今日の講演内容を自分の言葉で語れるようになるくらい実践して「自分のもの」にすることが大切だと話しました。
最後は9月定例会の報告や、国内合宿、技術系分科会が参加するSWEについてなどの連絡が行われました。