J-Win7月度定例会が7月21日、東京・田町の「女性と仕事の未来館」で開催されました。 今月の講師は、各種コンサルティングをはじめ、会議におけるファシリテーション技術の指導も行っている、 株式会社日本能率協会コンサルティング チーフ・コンサルタントの佐伯学氏。「会議の成果を最大化! 今日から使えるファシリテーション術」というテーマでお話しいただきました。
「会議の成果を最大化! 今日から使えるファシリテーション術」
株式会社日本能率協会コンサルティング チーフ・コンサルタント 佐伯学氏
出席した会議が有意義に感じられない場合、当然そこには何かしらの問題点があると考えられます。 その原因、つまり会議の問題現象として、「話題の脱線」、「発言者が要領を得ない」、「何にでも反対する人がいる」、 「結論は結局上のポストの鶴の一声で決まる」と言った事柄がよく挙げられます。こういった事柄を防ぐ、 あるいは解決するファシリテーション技術は大変有効です。
例えば、会議は3~4人で行うと参加メンバーの発言数はほぼ均等になり理想的な状態で、 5人以上になると独壇場の人が現れるというデータがあります。こういった状況に陥った場合も、 途中で臨席の3~4人同士で意見交換をしてもらったり、1~2分ほど時間を作って各自の意見を紙に書きだしてもらう、 さらに意見を引き出すような刺激情報を与えるといった工夫が効果を奏します。さらに、そこで挙がった意見をきちんと 聞きとることができれば、全員が会議に参加しているという気持ちになり、また色々な考えを引き出すことができます。
この一連の流れを整理して行うのが、ファシリテーターであり、ファシリテーションを言葉で定義するなら 「個人やチームが持っている力を最大限に引き出し、限られた時間の中で場の目的達成を促進する働き」と言うことができます。 そしてこれがうまく行きますと、議論の効率化、参加者ひとりひとりが持つ多用性の活用つまり「ダイバーシティ」の推進となり、 主体性の向上、メンバー同士の信頼度の増大といった効果も期待できます。
ファシリテーターは会議に1人いればいいというわけではなく、全員がファシリテーションというものを 理解したうえで参加していると、その会議は当然効率的になり、より有意義なものになります。
さて、私たち日本能率協会コンサルティングではファシリテーターの基本スキルとして主に次の3点を挙げています。 ①デザインスキル……会議を事前に設計する技術です。何のための会議なのか目的を明確にし、必要なメンバーや時間について考え、 資料などを用意することです。 ②インタラクションスキル……会議の最中に方向性をさし示していくことです。 話の内容が行き詰った時や脱線した時に、議論の本質を改めて提示したり、新たな視点を投げかけたりします。 ③グラフィックスキル…メンバーの発言を書きとめ、それを見せる。ただし新しい発想を引き出すような形で見せることを言います。
さらにファシリテーターの基本姿勢として大切なこと、「主体性を持つこと」、「第三者としての姿勢(議論や対立には介入せず、 自分の意見も客観的に扱う)」、「場にかかわっていくこと」、「すべてのメンバーの意見、資料を尊重すること」そして 「自分らしいファシリテーションを行う」ということも忘れてはいけません。
また、メンバーから意見やアイデアを十分に引き出すためのコツとして、①発言者の話をよく聞く、 ②発言者の思考が活性化するような質問を多用する、③刺激となる情報をタイミングよく提供する、 ④小グループに分かれて議論する場を作る、⑤書くことを活用する、⑥メンバー同士の距離を縮める、 ⑦同質なメンバーばかりでなく異質なメンバーも意識的に交える、といったことも是非取り入れていただきたいと思います。
そしてもう1点、会議に参加するリーダーはとくに、議論を強引に方向付けていないか、結論を急いではいないか、 落としどころを決めつけていないか、という振る舞いに気をつけることが大切です。 こういった事柄にメンバー全員が留意して行われると、会議は何倍も何十倍もクリエイティブな場になることでしょう。
【佐伯学氏のプロフィール】
(経歴)
1987年3月、明治大学商学部商学科(経営学・マーケティング専攻)卒業。オリックス株式会社に入社し、
審査部、営業本部を経て、1991年1月、株式会社日本能率協会コンサルティング入社。1997年4月よりチーフ・コンサルタント。
(主要領域)
営業競争力強化、マーケティング、戦略マネジメント、リーダーシップ開発、情報系システム構築、
コンタクトセンター、公共マネジメント、ホワイトカラー生産性革新、経営幹部養成、次世代リーダー養成、
メンター養成、トレーナー養成、プレゼンテーション、ファシリテーションの領域で、コンサルティング、
研修、講演、執筆、コーチング、研究活動を行う。
(資格等)
日本のコンサルティング業界でもっとも権威のある社団法人全国能率連盟主催、
第48回全国能率大会論文発表で最高の通商産業大臣賞受賞。
全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント(認定番号:J-MCMC20020)。
国際機構ICMCIによる国際資格称号CMC(国際ライセンス:CMC20039)。
CTIジャパン(the Coaching Institute Japan)のコーアクティブ・コーチング応用コース修了。