「J-Win第8期High Potentialネットワーク・九州　7月度定例会」を、2018年7月27日（金）に福岡市のアクロス福岡で開催。14名のメンバーが参加しました。

■TOPになるまでのキャリアイメージを醸成する

2018年6月に設立したJ-Win九州支部初となる単独開催の定例会。
はじめに、第8期High Potentialネットワーク・九州幹事長　鎌田　理恵さん（有限責任監査法人トーマツ）より、今年度の活動方針がメンバーに発表されました。九州支部1期生として、活発なJ-Win活動を通して、一人一人が輝き、成長する場を築きあげよう！！と言う声と共に、「Switch-On！」に向けた九州活動宣言を行いました。


続いて、「リーダーとして必要な要素を知り、キャリアアップへのマインドチェンジを図る」ことを目的とし、ロールモデル講演を実施しました。
講師は、福岡県のご出身でJ-Winの先輩でもある　西日本電信電話株式会社 常勤監査役　大賀 公子氏。時代の移り変わりの中で起きた出来事を踏まえながら、これからの社会に対応していくための心構えについて、ご自身の経験をもとにお話しいただきました。「持続的成長の担い手となり、九州の女性活躍推進の開拓者に」という力強いメッセージに、参加メンバーの意識も高まりました。


以下に講演の様子をダイジェストでご紹介します。
（＊社名・肩書き等は講演当時のものです。）


●高度経済成長からバブル崩壊、人生観を変える出来事にも遭遇

今日は、私がこれまで生きてきた64年を振り返りながら、これからの女性活躍推進についてお話ししたいと思います。私が生まれたのは1953年。前年にサンフランシスコ講和条約が発効され、「もはや戦後ではない」として、日本が新たな歩みを始めた年でした。日本電信電話公社の設立が前年の1952年。53年には国際電信電話会社（KDD）や日本航空が設立され、
日本が国際社会に再登場し始めた時期でもあります。
私が電電公社に入社したのは1977年で、約400名の大卒採用の中で女性はわずか2名でしたが、86年の男女雇用機会均等法の施行後、女性の採用も徐々に増えていきました。好景気に沸いた日本経済は、やがて1991年のバブル崩壊、2008年のリーマンショックと続き、厳しく長い景気低迷の時代を迎えます。90年代半ばからの、地下鉄サリン事件、アメリカの同時多発テロ、東日本大震災の体験は、私自身の人生観に大きな影響を与えました。通勤で乗車していた丸の内線では、全乗客に下車を指示するアナウンス。ワールドトレードセンターに機体が突入するＣＮＮ映像は、会議開催のフランスで、多種多様な国、民族の参加者とともに目の当たりに。東日本大震災発災時にいたのは新橋の自社オフィス。撓む高層ビルを外に見て、何故か希薄な現実感の一方で、何ができるかを考えた濃密な時間でもありました。

これまでを振り返り思うのは、このままでは、より豊かな日本のくらしは望めず、また、予測し得ないことは起こりうるということです。最近の世界情勢やAI、IoT を始めとした技術の進化、自然災害の多発を目の当たりにし、更にその思いは強くなっています。ビジネスにおいても、短期の業績にのみ終始せず、10年、20年、30年という長いスパンで俯瞰し、考え、多様な変化や予測しえない変化に対応しうる力を備え、持続的成長を果たしていくという観点が必要となります。その中でどのようなプレイヤーを目指すかです。

●九州で女性活躍の開拓者になることを期待

皆さんもご存知かと思いますが、世界各国の男女格差の状況を示す「グローバル・ジェンダー・レポート2017」において、日本は144カ国中114位（2016年は111位、2015年は101位）と、この数年毎年下降しています。教育水準が高く、健康で長生きだが、政治の場や企業社会での責任あるポジションでの活躍が少ないことでスコアを落としています。一方、海外の有識者からは日本女性の潜在能力は高く評価され、単に社会保障費の担い手としてだけではなく、その生産性や創造性が景気回復の追い風になると考えられています。高齢者人口は年少者人口の2倍を超え、一方、後期高齢者の医療費・介護費は年間約150万円に及び、社会保障費も現行のままでは立ち行かないことも真実なのです。

日本の現状を変えていくためには、諸制度や保育施設等の充実もありますが、いろいろな調査で明らかになっている最大の障壁は男性中心の企業風土や男性個々人の意識です。企業の人事や教育研修も
必要ですが、育児や家事負担等、みなさんのご主人や子供等、身近なところも改革していってください。

また、女性の意識の問題も重要です。J-Winの参加企業は、皆さんに企業のリーダーとなって活躍していただくことを期待し、ここに送り出しています。今の時点で残念なのは、High Potentialネットワーク・九州メンバーのみなさんは、東京や関西のメンバーと比較すると、「トップを目指したい」という意欲を持っている人が少ないということです。私も福岡で生まれ育ちましたので、男性を立てる九州の文化や企業の保守性 は知っています。だからこそ、皆さんにはこの地で、ぜひ開拓者になっていただきたいと願います。キャリアアップすることは、責任も何倍も大きくなりますが、ビジョンを持って人・モノ・金を裁量し、やりがいのある面白い仕事を手掛けることができます。目の前のチャンスに、ぜひ挑戦していただきたいと思います。仕事はみなさんの人生自体も豊かにします。

●変革をドライブし"持続的成長の担い手"に

繰り返しになりますが、社会は、コンピュータやネットの発達を経て、AIやIoT等が活躍する「第4次産業革命」を迎えようとしています。アメリカやヨーロッパのみならず、中国もアジア諸国も技術や変化への対応を急ぎ、グローバル市場での戦いに挑んでいます。一方、国際競争力ある商品を日本は最近、どれだけ誕生させているでしょうか。人類史上かつてない変化を経験する時代に、日本が国際競争力を維持するためには、これまで埋まっていた女性潜在力を引き出し、企業社会で活用させることが不可欠なのです。AI等は仕事を奪うとも言われますが、リストラなどの被害者になることを心配するのではなく、こうした変革にチャレンジし、変革をドライブする側になってください。そのために、自らの可能性を信じて、「強み」を見つける、作るなど、専門領域の確立も目指してください。また、ワーク・ライフ・バランスの観点では、会社、家庭とともに、地域社会など、もうひとつ自分の居場所を持つと、3点起立で心身共に安定します。そして、仕事をする上で欠かせないのが健康です。基礎体力をつけて、検診は必ず受けるなど、自分自身の健康管理にも気を付けることが大切です。一度きりの人生です。ネットワークを広げ、皆さん一人一人が変革にチャレンジし、企業の、そして日本の持続的成長を支える力になっていってください。


-　経営層はやはり大きな視点で物事を捉えているのだなと感じました。今後トップを目指していくにあたり、目の前のことだけではなく、より視野を広く持っていきたいと思いました
-　自身のキャリアを振り返りながらお話をして下さったので自身にも置き換えることが出来た。キャリアアップを目指す上でのマインドが参考になりました
-　広い視野からの日本の現状や今後参考になる資料など、より具体的な話を聞けて、大変参考になりました
-　「変化をドライブする、変化に「なじむ」ではなく変化を起こす」 まさに変化についていけるように、という視座しか持っていなかった。今後より業界全体の変化は激しくなっていくとは感じており、一人ひとりが自ら変えていくという意識で考え、行動することが自身や会社の持続的な成長に繋がると感じた
-　「マクロ感からどうあるべきか」 職場ではなく、会社を代表することを意識した。会社が進もうとしている方向性を正しく理解し、求められている人材となるために自分に足りないところがどこなのか、把握する必要があると感じた。大局的視点をもち、会社を代表して語れるように、世界の動き、会社の方向性、自分のなりたい姿を関連付けて理解・把握していこうと思う