「J-Win Executiveネットワーク9月度定例会」をTEPIAニューオータニ東京で開催し、26名のメンバーが参加しました。Executiveネットワークでは定例会の目的を、経営リーダーとしての知見・視野を広げ、ディスカッションを通じて自分のものにすることとしています。
9月度定例会はExecutiveネットワークの定例会活動、研究会活動に関する連絡事項に続き、株式会社 日本総合研究所 理事長の翁 百合氏より「フィンテックを巡る動きと課題」と題したご講演をいただきました。
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金融の世界に多様な新規業者が次々と参入し、ビジネスが大きく変わろうとしています。例えば、中国の「アリペイ」(アント・ファイナンシャル)のサービスは、アリババグループの金融事業者です。決済手数料が低く、簡易な仕組みのQRコードを決済に使用できる加盟店を開拓。生活全般のサービスについてアプリを提供し、最後にアリペイで決済することができます。サービスの利用によってビッグデータを集め、次々と新しいビジネス展開をしていくことがねらいです。このビジネスモデルでは、決済で収益を得るのではなく、非金融サービスであるEコマース事業で稼ぎながら金融サービスを提供し、顧客視点に立った付加価値と利便性を追求している点が特徴です。また、あらゆる分野で企業同士のコラボレーションも盛んに行われ、多様なビジネスモデルが出現。新たな担い手が金融機能の一部を分担するようになり、金融業の概念や競争状況を大きく変えようとしています。一方で、大きな顧客基盤を持つ企業が個人データの分析をもとにサービスを提供することから、個人情報保護などについても課題視されるようになっています。【翁 百合氏のPROFILE】
1982年慶應義塾大学経済学部卒、84年慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了後、日本銀行入行。92年、日本総合研究所・主席研究員、理事等を経て、2018年より理事長。この間、03年から07年株式会社産業再生機構非常勤取締役兼産業再生委員、05年から14年日本学術会議会員、10年から15年早稲田大学客員教授、13年より16年規制改革会議・健康医療ワーキンググループ座長、14年より慶應義塾大学特別招聘教授などを兼務。また、未来投資会議・構造改革徹底推進会合「健康・医療・介護」会合会長、経済産業省産業構造審議会委員、金融庁金融審議会委員等も務める。京都大学博士(経済学)。