「J-Win Executive ネットワーク7月度定例会」を、2019年7月17日(水)に港区のアークヒルズで開催し、33名のメンバーが参加しました。
![]() |
日本の女性活躍推進をグローバルと比較すれば、そのスピードは遅いと言わざるを得ない。もっと多くの女性が企業の意思決定が出来る役職に登用されなければならないが、現実は管理職に上がったとたんに放り出され強い孤独感を味わう。だから女性管理職はなかなか育たない。
今一人暮らしの高齢者は1000万人を超え、病気が理由で学校に通えない人は6万人、18歳以下の引きこもりは14万人いると言われています。こうした人たちがどうしたら孤独にならずに社会参加できるかということを考えながらロボットの研究に取り組んでいます。
最初に考えたのは、話し相手になるようなロボットがいたら良いのではないかということ。それには人工知能を学ぶ必要があると思い、香川の高専に編入しました。そこでの人工知能の研究そのものはとても楽しかったのですが、次第に、人の孤独を解消し癒やしてくれるのは人工知能ではないと感じるようになりました。例えば、引きこもってしまったときに、話し相手になってくれる人工知能を備えたロボットがいたら孤独を解消してくれるでしょうか。私自身の経験を振り返っても、両親や数少ない親友、学校の先生、車椅子づくりを教えてくれた師匠、世界の高校生、広島のおばあちゃんなど、人生の転機には「人」がいました。人は時にはストレスになることもありますが、人は人にしか癒やされないというのが、人工知能を研究した私の結論です。
私の会社では、「OriHime」を使って働いているメンバーもいて、今日の講演会にも一緒に来てもらっています。病院で過ごしている人が、外に出て名刺交換をして知り合いが出来たり、シンポジウムに参加したりすることもできます。テレビ電話と違うのは、その瞬間だけではないという点です。常に私と一緒にいるので、タクシー移動をしながら雑談をしたり、隣で相槌を打ったりすることもできます。また、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気を知ってから、目の動きだけで「OriHime」を操作する研究にも取り組んでいます。将来は、ALSで頷くことしかできなかった人が、目の動きによって自由に走り回り、自分の意思で近くにいる人にコーヒーを入れたり、荷物を受け取ったり、自分の事だけではなくて誰かの役にたてるようなロボットに育てていくことが目標です。【吉藤 健太朗氏のPROFILE】
高校時代に電動車椅子の新機構の発明に関わり、2004年の高校生科学技術チャレンジ(JSEC)で文部科学大臣賞を受賞。翌2005年にアメリカで開催されたインテル国際学生科学技術フェア(ISEF)に日本代表として出場し、グランドアワード3位に。 高専で人工知能を学んだ後、早稲田大学創造理工学部へ進学。自身の不登校の体験をもとに、対孤独用分身コミュニケーションロボット「OriHime」を開発(この功績から2012年に「人間力大賞」を受賞)。 開発したロボットを多くの人に使ってもらうべく、株式会社オリィ研究所を設立。自身の体験から「ベッドの上にいながら、会いたい人と会い、社会に参加できる未来の実現」を理念に、開発を進めている。ロボットコミュニケーター。趣味は折り紙。