2019年6月11日に「J-Win Executiveネットワーク6月度定例会」が行われました。

「J-Win Executiveネットワーク6月度定例会」を、2019年6月11日に港区のTEPIAニューオータニ東京で開催し、29名のメンバーが参加しました。

第一部は、Executiveネットワーク2019年度年間スケジュールが確認され、その後、研究会からは2018年度研究会活動の報告、2019年度研究会活動のサマリー・スケジュールについて、委員会からはグローバルネットワーク委員会の活動についての発表がありました。

■ 経営リーダーに求められる企業の組織論を「星野リゾート」に学ぶ

第二部では、　株式会社星野リゾート代表　星野 佳路氏をお招きして、「星野リゾートの組織論」についてご講演いただきました。
星野氏からは、1991年、31歳の時にバブルが崩壊してホテルなどのリゾート施設が供給過剰となった状況下で家業を継ぎ、社長に就任したとの自己紹介に続き、星野リゾートのビジネスモデル、組織運営の具体的な実践について、【５つのKey Word 】とともにわかりやすくお話しいただきました。Executiveネットワークメンバーにとって、今後の指針とすべく組織論をはじめ、経営者の熱き想いに触れることによって経営目線での視座を得る貴重な会となりました。

以下に講演の様子をダイジェストでご紹介します。
（＊肩書き等は講演当時のものです）


● 星野リゾートの経営戦略

星野旅館は1914年創業、ファミリービジネスである。
星野リゾートのビジネスモデルはホテルの所有と運営を分離させているところ。不動産リスクは不動産会社がとり、運営責任だけを負う仕組み。 不動産を所有しないため、展開や成長のスピードが他社と比べ圧倒的に速い。
また、星野リゾートは日本各地にホテルを分散して運営している。 日本各地にマーケットは存在する。噴火などの自然災害で客足が遠のいたり、逆に大河ドラマで急増するといった地域ごとの変動リスクを軽減できる。日本全体でみれば温泉を訪れる客数に大きな変化は起こりにくい。

● 星野リゾートの組織論 ５つのKey Word

【Key Word１】　ビジョン価値観の共有
経営者がまずやるべきことはビジョンの設定と共有である。
ビジョンが現在に近すぎると現在と変わらない将来像になってしまい、大胆なビジョンが描けない。 構成員にその組織で仕事をすることに夢を与えることがビジョンの役割であるので、大胆に将来像を描くことが重要である。

【Key Word２】 コンセプトの共感
ビジョンは経営者が自ら決定し、共有し、そして一旦決めたら頻繁に変えてはいけない。 コンセプトとは、「誰に対して何を提供するか」であり、社員に共感してもらうことが重要であるので、共感度を高めるために星野リゾートでは施設スタッフが自ら決めるプロセスを頻繁に採用している。強いコンセプトが社員の意識を高め、顧客の満足度アップにもつながっていく。

【Key Word３】 情報と意思決定プロセスの公開
社員の不満の主な原因の一つは、経営情報が伝達されておらず、意思決定プロセスが公開されていないことである。 意思決定プロセスを公開することで、経営上の選択と集中の判断の背景を知ってもらうことができる。フォーマルな場で正しい議論ができるようにするには普段の人間関係が重要。 誰でも自由に意見を述べられるフラットな組織文化が競争力になる。

【Key Word４】 醍醐味満喫
長く楽しく仕事をしてもらうためには、顧客に社員を褒めてもらうことが効果的である。
顧客満足度アンケート結果の利用方法としては、クレームの共有や犯人さがしではなく、満足している顧客の情報を共有し、モチベーションアップに利用することが継続的な競争力につながる。

【Key Word５】 キャリア・コントロール
それぞれのライフステージに合わせて勤務体系を選択できることが理想。
キャリアアップや将来のポジションを選ぶ自由についても制度的に取り組めることが多くある。管理職の立候補制度もその一つ。社員の能力を高めることを考える前に、それぞれが今持っている能力を１００％発揮してもらい、仕事を楽しんでもらうことがまず重要。